今回は“松下電池工業(現・パナソニックAIS社)”が1983年に発売したアルカリ電池『ULTRA NEO』(以下、ウルトラネオ)を紹介します。この電池は「ナショナルマロリーアルカリ乾電池」、「ナショナルアルカリ乾電池(銀色の外形)」に続く3代目のアルカリ電池です。
現在の「パナソニックアルカリ乾電池」のページでは何故だかこのウルトラネオがアルカリ電池の発売の起源であることが記載されており、かなり謎です。
電池の外観。このウルトラネオは後期版のもので、初期版は表に「アルカリ乾電池」と書かれておらず、注意書き欄に「アルカリ・マンガン乾電池」と書いてあります。それを踏まえるとこれは表に『アルカリ乾電池』と書いてあるバージョンなので後期版であることがわかります。
注意書き部分は『この電池は充電式ではありません。』という表記が目立っています。JIS表記は無く、「JAPAN MABI」という表記のみです。
プラス・マイナス側。懐かしい金属外装!刻印は「86-06」なので、1986年6月製造ですね。液漏れは見られないものの、外見にサビがある。これは環境(湿気など)によるサビであると考えられる。
ちなみに、現在のアルカリ電池が金属外装ではなくシール(ラベル)外装なのには意味があります。アルカリ電池の進化の歴史はいかにして中身を詰め込むかの歴史であります。金属外装にすると、外見の金属分の厚みが取られてしまうため中身が入らない。なので、シール(ラベル)にして厚みを無くしてしまおう、というわけなのです。現に現在の“乾電池EVOLTA”では電池缶の厚みを薄くし、電池の突起までをも低くすることで、世界No.1の長持ち(自称)を実現しているのです(ただし、一部機器の互換性を犠牲にしましたが)。
このウルトラネオが凄いのは、現在でも電池の残量が残っていること。電池チェッカーで調べても満タンを指し、テスターでも1.5V近くを指しています。
ちなみにこのウルトラネオを防水MP3プレイヤーである「AQA026」に入れてみたところ(電池2本化改造済み)、なんと動作し、USBに差しているカードリーダーのLEDが点灯していることがわかります。この後風呂に入っている30分間再生し続けましたが、電池が切れることはありませんでした。水銀が入っている時代の乾電池の耐久性は強いと言われますがここまでとは…。