5月最後の今日は単5形の12V積層電池「23A」を取り上げる。この電池は単5よりも細身の電池であり、中で小さな電池(ボタン電池)が直列で接続されており、12Vになっている。主にクルマのキーレスエントリーやテスター、昔の電池点火式のライターに用いられている電池である。今回は国内メーカー発売のものを中心に取り上げてみたい。
今回は国内メーカー発売のものを中心に取り上げるのだが、このタイプの電池を国内ではいつから発売していたのだろうか?
実は、既に1982年の松下電池工業の「電池総合カタログ」に“電池ライター用積層乾電池”の名で発売されていたことが記載されている。まだ当時はマンガン電池で型番は「RV08」という型番で発売されていた。パナソニックは今でもこのタイプのアルカリ電池を発売しているが、一般的な「23A」の型番を使わず「LRV08」という型番で売られているのはかつてこのマンガン電池を売っていたことの名残であったわけです。ちなみに、このマンガン電池のRV08は電池ライター用だっただけに販路が限られており、当時でも入手困難だったと思われます(当時、渋谷の東急ハンズでは売られていた)。
●パナソニック
まずはパナソニックから。前述した経緯から、同社では一般的な「23A」ではなく「LRV08」という型番を使う。型番は違うものの両者は同じ電池なので双方で使うことが可能です。写真上が初期デザインで下が現行のデザイン。初期のほうはかつてのパナソニックの海外版のアルカリ電池のデザインと同じです。
裏側。初期デザインのものが前面英語表記なのに対し、現行デザインのものは日本語でも表記してあります。パッケージも現在発売されているものは日本語表記ですが、かつて発売されていたものは英語版パッケージで売られていました。ちなみにどちらとも中国製です。
●富士通(FDK)
いつの間にか発売されていた富士通の23A。デザインは可も不可もない普通のデザイン。上記のパナソニックに比べるとあまり店頭では見られないのがこの富士通発売のものですね。こちらも中国製ですってか、パナソニックとプラス側の刻印が同じなので両方共OEM元は同じ??
●三菱
三菱のLR23A。ちなみにこれは日本未発売なので、どこに行っても入手できないので注意。こちらは三菱のかつて発売されていたアルカリ電池のデザインを模していてなかなかかっこいいデザイン。WEEEマークの「Hg」表記や中国語の『含汞電池減少使用』という表記から若干量の水銀を含有している模様。ちなみに、上記のパナソニック製もカタログでは性能確保のため微量の水銀を含有していると表明している。
●おまけ
日本以外のその他のメーカーの電池。左から「Goldenpower A23」、「Goldenpower ALKALINE SUPER P+US A23S」、「Vinnic 23A」、「CHENER ALKALINE」。Goldenpowerの電池はロゴマーク刷新でさらに新しいデザインになっているようです。
・追記(2014/4/19)
この記事、意外に反響が多いようで、何処かから分解しろという声が聞こえてきたような気がしたので、中身を開けてみました。
積層電池と言うと、このような中身を想像する人も多そうですが、この電池はボタン電池がそのまま直列に接続されているような構造になっています。
中身の電池を取り出してバラした様子。“LR932”という型番のアルカリボタン電池が8個入っています。このボタン電池は日本では発売されていないもので、もしこのボタン電池を使う機器があるとすれば、この電池から分解して入手するしか無いと思います。