月別アーカイブ: 2018年7月

TOSHIBA アルカリ乾電池 ULTRA Z LR6(P)(AM3)/1.5V

80年代中期頃に発売していた東芝のアルカリ電池“ULTRA Z”を紹介します。東芝の乾電池と言えばギザギザマークがお馴染みですが、こちらはギザギザの代わりにカメラとヘッドホンステレオの絵になっているタイプで主にカメラ店の流通で出回っていた電池と記憶しています。
この電池、90年以降に製造されたラベル外装のタイプはよく見かけますが、こちらは光り輝く金属外装!ゴールドの部分がラベル外装タイプと比べるととても綺麗。コンディションも大変素晴らしい。

注意書き部分です。アルカリ電池であるせいか、注意書きは多め。社名表記は“東芝電池株式会社”となっていて日本製。JISマーク表記は“C8511 380052/T-C”の記載がありました。東芝電池のアルカリ電池と言えば、“T-U”の略号で知られる碓氷川工場製なはず。しかし同工場の認定番号は“386045”となっていて一致しません。
ちなみに注意書きの全文は以下の通りです。

 

<ご注意> ●この電池は充電式ではありません。充電すると「液もれ」
「破損」のおそれがあります。 ●はれつ、液もれのおそれがあるので(+)(-)
を正しく入れること。 ●「他の種類の電池」とまぜて使わないこと。 ●「未
使用の電池」と「使用した電池」をまぜて使わないこと。 ●「分解」「ショー
ト」「火に投入」「加熱」しないこと。
東芝電池株式会社 MADE IN JAPAN

さて、ここで判明している東芝の工場と略号をおさらいしてみましょう。わかっているだけで3工場が確認されており、それは“碓氷川工場(T-U)”、“高崎工場(T-T)”、“佐久工場(T-S)”です。今回それに続く新略号である“T-C”となっています。なお、碓氷川工場の認定番号は前述の通り一致しません。その他はアルカリ電池を製造していない工場とされており、当然ながら認定番号も一致していません。
ちなみに認定番号には一定の法則があることを発見しました。これは6桁のものに当てはまる法則です。下記の図を見てみてください。
まず、上1ケタ目は担当通商産業局を表しています。“3”なら関東通商産業局“5”なら近畿通商産業局“8”なら九州通商産業局てな具合です。
上2・3ケタ目は認定番号の登録年西暦下2桁で表しています。図の例だと“86”は1986年となり、1986年に登録されたことになります。現に東芝電池の碓氷川工場は1986年7月3日に登録されています。
上4ケタ以下は登録順の連番であると推測できます(どうでもいい所だと思ったので、詳しく調べませんでした)。
なお、これらの法則は全て推測であり妄想です。違ってたら教えてください。

これを踏まえると“T-C”の略号を持っている認定番号“380052”は関東通商産業局で1980年に登録されたと推測されます。しかも、“T-C”の略号を持つ電池としてマンガン電池も存在しており(1982年製)、アルカリ電池とマンガン電池を製造できる比較的大規模な工場であるとも推測できるのです。個人的には東芝レイ・オ・バック品川工場を表す“R-O-V”の入れ替わりで現れたような気もしますので、もしかしたら東芝電池の品川工場製なのかもしれません。

どちらにしても認定番号は判明しています。いずれ、1980年以降のJIS工場名簿一覧が発見され、“T-C”の正体が判明するのも時間の問題かも知れませんね。
ここまで書いたところで東洋高砂乾電池の認定番号はマンガン電池(C8501)で“364317”となっていて、1965年3月29日登録になっています。例外があるのかも知れません(自信が無くなってきた)。

最後にプラス・マイナス極。プラス側、マイナス側ともに「」の絶縁リングとなっています。金属外装時代のアルカリ電池はプラス・マイナス両極に絶縁リングが入っていて、なおかつ金属外装なのでコストが掛かってそうな雰囲気です。
マイナス極、底板の刻印は「86-07」となっていて1986年7月製造の電池となっています。簡潔に済ませようと思っていましたが、久々の長文となってしまいました。読みにくくて申し訳ないです…。

・追記(2018/9/15)
後にJIS表示許可工場名簿の1982年版を見たところ、C8511(アルカリ一次電池)の許可番号“380052”は東芝電池 東京工場であることが判明しました。この工場は旧・東芝レイ・オ・バック品川工場であり、同工場を表す略号R-O-Vの入れ替わりがT-Cであったことは間違いで無かったようです。


マブチ乾電池 單二 1.5V

以前当ブログで大昔のマブチモーターに入っていた注意書きに記載されている“マブチ乾電池”を紹介したことがあります。今回、遂にマブチ乾電池の実物を入手したので紹介します。
注意書きでは白黒写真であり、カラーもわからなかったのですが実際はこんなカラーだったんですね。上から「」・「」・「」3色に塗り分けられたデザイン。当時のマブチモーターのキャラクターである“モーちゃんとター坊”も描かれているレトロデザインが恐ろしく素晴らしい電池です。

電池の側面です。大昔の電池のため、注意書きなどは記載されていません。JISマークの表記があり、“JIS C8501 APP.NO. 7987 M D B”と記載されています。認定番号や略号から日立マクセル(現・マクセル)製と推測されます。おや、その下に“MADE BY MAXELL”のロゴが見られますね。当時はマクセルより日立ブランド全盛だった時代。日立では無くマクセルブランドをアピールした電池はとても珍しいと思います。ちなみに価格は1本25円

プラス側です。プラス極には“マブチ”のロゴが2ヶ所に見られます。ちなみに外装は紙巻外装。液漏れの影響からかボロボロになり始めています。一説によると、単1と単2は金属外装だったという話もあるようなので後期版があったのかもしれません。
この電池が発売されたとされる1962年は金属外装の電池はまだ登場していないようですが、これはマブチモーター用(=模型向)ということであまり性能の良くないマンガン電池だったのかもですね。

マイナス側です。亜鉛缶むき出しのマイナス極。こちら側はもっと酷い。左側の電池は小さい穴が空いている程度の腐食にとどまっていますが、右側の電池は大穴が空いていて中身が見える程に酷い腐食です。

 

 

外装がうまく剥がれたのでスキャンしてみました。これを印刷して市販の単2電池に貼り付けてみよう!表は「マブチ乾電池」と日本語で記載されていますが、裏側には英語で「MABUCHI DRY CELL」と書いてあります。社名表記は“東京化学株式会社”。これは現在のマブチモーターの前身に当たる社名です。英社名は“TOKYO KAGAKU K.K.”と記載されています。当時のマブチモーターはこの社名の頭文字を冠した“TKKマブチモーター”として発売されていました。

最後にこれは「模型と工作」という雑誌に掲載されていたマブチ乾電池の広告です。1962年4月号で、“新発売!!”と書いてあることから同年発売を開始した電池であると推測できます。単1は35円単2と単3は25円であったようです。実際の電池にも“¥25”と記載されていたことから、この広告と同一の電池であることは間違いないでしょう。
その後一旦電池事業から撤退しますが、マブチモーターに社名変更後“スーパーセル”という名の充電式ニカド電池を三洋電機カドニカのOEMとして発売、電池事業に再参入します。

 

 

 

新製品マブチ乾電池はとくに、模型用としてマブチ
モーターに合わせてつくられた乾電池です。
モーちゃん、ター坊のマブチモーターとは名コンビ
このたのしいコンビのかなでる軽快なリズムにのって
どんな模型でも一だんとすばらしくなります。
マブチモーターにはマブチ乾電池をつかいましょう。

“モーちゃん、ター坊”ってヤン坊マー坊と全く同じノリですね。思わず天気予報を思い出してしまいましたw。

★関連記事
マブチ乾電池
→TKKマブチモーター付属の注意書きに掲載されていたマブチ乾電池の広告を紹介した記事。


maxell Super POWER ACE 単3形 SUM-3(SP)

1980年代頃に発売されていた日立マクセル(現・マクセル)のマンガン電池です。これは黒マンガンに当たる“Super POWER ACE(スーパー・パワーエース)”というブランドの電池で、赤マンガンは“POWER ACE(パワーエース)”というブランドでした。
プラス側にある“★”印の数が多いほどランク(性能)が高い電池であることを表しており、このSuper POWER ACEは★×5POWER ACEは★×3となっています。

注意書き部分です。電池は1980年頃から主流となった“液漏れ補償”付きのマンガン電池です。この電池は底面表示の製造年月から2年間となっています。一般的に単1と単2が3年補償単3と単4が2年補償であるケースが多かったようです。
電池の送り先は“日立マクセル株式会社”となっており、住所は茨木市丑寅の旧本店(大阪事業所)のものになっています。JIS表記はありますが認定番号などの記載はありません(恐らく自社製でしょう)。

注意書きの文面は以下の通り。注意書きの文面は少なめで、逆に補償条件の文面の方が多くなっています。注意書きの方はひらがな多めですね。

<ご注意> この電池は充電式ではありません。
●充電するとえきもれ、はそんのおそれがあります。
●(+)(-)を正しく入れないと、はれつのきけんがあります。
●アルカリ乾電池などとまぜて使わないこと。
補償 期間:製造年月より年間●製造年月は底面に表示
この電池の液もれにより使用器具を損傷させた場合、
使われた電池と一緒に下記へお送りください。お客様が充電
したり、(+)(-)を逆に入れた場合を除き器具を修理または交換
いたします。 〒567 茨木市丑寅1-1-88 日立マクセル株式会社

プラス・マイナス側です。プラス極の絶縁リングの色は「」。底面の刻印は写真では見えにくいですが90-09」となっており、1990年9月製造の電池となっています。

 

 

これまでのマクセル乾電池はどちらかというと日立におんぶに抱っこ状態でした。つまり、日立ブランドの電池を主軸に置いた戦略でmaxellブランドの電池はあまりアピールしないという戦略を取っていました。また、電池の型番や“デラックスゴールド”、“スーパーゴールド”などのブランド名もまた日立と共有していたのです。この頃は日立の販売店が多く、今ほど家電量販店やディスカウントショップなどが無かったことも理由だったのかもしれませんが…。
しかし、この“Super POWER ACE”発売頃から方針を大きく転換、大々的な広告戦略を打ち出すことでmaxellブランドの乾電池をアピールしました。この頃からマクセルの電池がようやく有名になり始めてきます。ここからブランドも日立と差別化を図り初めました。この頃のコマーシャルではアニソン3大テノールとして名高い水木一郎氏を起用、“マクセル君”というオリジナルキャラも生み出します。


Panasonic アルカリ乾電池 単3形/単4形 LR6(XJ) / LR03(XJ)

当ブログとしては珍しい、普通のパナソニックアルカリ乾電池を紹介します。「電池コレクションブログ」は5年近く運営していますが、ちゃんとパナソニックのアルカリ電池を紹介したのは初なのではないかと思われます。
このパナソニックアルカリ乾電池はパナソニックが発売するスタンダードクラスのアルカリ電池で、“金パナ”または外装の色から“赤金パナ”として親しまれている電池です。どこの店舗でも多く見られ、お馴染みのデザインなのではないでしょうか。

今回は単3と単4の4本シュリンクパック品を購入してみました。単3が“LR6XJC/4SE”、単4が“LR03XJC/4SE”という型番でこちらはコンビニ専売モデルとなっていますが、電池自体に違いはありません。シュリンクは1本づつ電池が切り離せ、新品の電池が見分けられる“おNEWの電池を見分けるパック”となっています。単3と単4のみは乾電池エボルタから培われた、チタン化合物を採用し保存性能をアップさせています(チタンパワー)。

電池の外観です。デザインはオキシライド乾電池で先行使用されたグローバルデザインを遅れて採用、金色+赤色の特徴あるデザインは他の電池にマネされるほど有名なものです。
現在のパナソニックアルカリ乾電池は“パナソニックエナジータイ”によるタイ製。かつては日本製だったこともありました。社名表記も現在は“パナソニック株式会社”でありますが、“松下電池工業株式会社”だった時代もあり、それなりに歴史のある電池であります。

プラス・マイナス側です。マイナス極の底板はザラザラなものになっていますが、これは鉄・ニッケル合金層を形成する“タフコート”であり、長期使用による接触抵抗の上昇を半減させるそうです。
使用推奨期限は単3が「09-2027」、単4が「10-2027」。パッケージには“10年保存可能”とあることからそれぞれ2017年9月、10月製造の電池と推測されます。それにしても、単3の方、使用推奨期限の印字が薄い。昔はこんなじゃなかったと思うけど…。

外装ラベルを剥がしてみました。使用推奨期限の印字と同じく単4の方は濃くて見やすいですが、単3の方はやっぱり薄いです…。なので単3は推測ですが“0208171 07:38”?、単4には“1309172 09:34”のロット番号らしき印字が見られます。
製造時刻らしき印字が見られる点が、FDK製造の電池とよく似ていますね。

 

マイナス極の拡大です。パナソニックのアルカリ電池と言えば、単3のみマイナス極のミゾに絶縁用の樹脂(紫外線硬化樹脂)を流し込んだタイプが有名でしたが、現在は省略されています。その代りマイナス極の周りに樹脂が付いている構造に変更されていました。
これはパナソニックタイ製の単3アルカリ電池のみの特徴で、日本製の単3アルカリ電池(乾電池エボルタエボルタNEO)は引き続き、紫外線硬化樹脂を採用しています。

なお、ガス抜き穴は単3が4つ穴タイプ単4が2つ穴タイプと変則的なものになっています。


DURACELL ALKALINE BATTERY MN1500 1.5V LR6 その3

現在コストコで流通しているとされる、アメリカ“デュラセル”のエントリークラスアルカリ電池“Duracell CopperTop”最新版を紹介します。
かつてデュラセルはアメリカの大手消費財メーカーであるプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の傘下であり、日本では同社の現地法人であるプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパンが販売を担当していましたが、現在は“テクライトモバイルライティング”というメーカーが販売を担当しているようでパッケージの社名表記は同社となっています。

電池の外観です。デザインはデュラセルお馴染みの上部が銅色下部が黒となっているもの。以前当ブログで紹介した旧製品と比べると、社名表記は消え使用推奨期限も電池プラス側に刻印されるタイプに変更されたので随分スッキリしました。
デュラセルのアルカリ電池と言えばアメリカ製という印象も強いですが、こちらは“Made in China”で中国製となっていました。電池には“无汞”の表記があり、水銀は含有されていないようです。

プラス・マイナス側です。マイナス極の絶縁リングは無いタイプとなっています。他のアルカリ電池に比べるとマイナス極の突起が大きく出っ張っているように見えます。また、プラス極の突起あたりが滑らかになっている点もデュラセル製アルカリ電池の特徴です。
使用推奨期限は“ED 07-2027”となっていました。“DURALOCK”という銀色の帯がデザインされている電池では使用推奨期限10年の証でありますので、これは2017年7月製造の電池と推測されます。

外装ラベルを剥がしてみました。“7E28 6X”というロット番号らしき印字が見えます。アメリカ製だった頃は外装ラベルにロット番号が刻印してあったようですが、中国製になってからは外装ラベル下の電池缶にロット番号が印字されているタイプに変更されています。

 

 

マイナス極の拡大です。ガス抜き穴は2つ穴タイプとなっていますが、突起部分にガス抜き穴が上下2つ付いているものになっていました。

 

 

 

★関連記事
DURACELL ALKALINE BATTERY MN1500 1.5V LR6 その2
→“Duracell CopperTop”に中国製のロットが出現したことを紹介した記事。以下の記事、アメリカ製の比較を交えて紹介。

DURACELL ALKALINE BATTERY MN1500 1.5V LR6
→“Duracell CopperTop”がアメリカ製だった頃のロット違い2本を紹介した記事。


MY&OUR アルカリ乾電池 単1形 SANYO LR20SMO

家電量販店“エディオン”のプライベートブランドである「MY&OUR(マイアンドアワー)」のアルカリ電池です。当ブログではかつて、三菱電機ホーム機器+MY&OURブランドのものを紹介したことがありましたが今回は三洋電機のものを紹介します。
この電池はエディオンの前身だったデオデオで販売されていたアルカリ電池で、他にも東芝アルカリ1パナソニック金パナなど多くのコラボモデルが存在していたようです。この電池は特にコラボと言う訳もなくオリジナルデザインを採用しています。

パッケージです。パッケージ上の商品名は「MY&OUR 強力アルカリ」。4本+2本(6本)の増量パックです。シュリンクは例の軟質系フニャフニャシュリンクであり、この時点でどこのOEMだかがわかってしまいます。6本入りの型番は“LR20SMO-6SC”。
バーコードの事業者名は“三洋電機(4973934)”となっていました。国内でSANYOブランドの商品は既に消滅状態となっていますが、バーコードは未だに有効になっていたのは意外でした。

電池の外観です。デザインは他の三洋電機の電池には似ていないオリジナルデザインとなっています。金色をベースとしたデザインで、アルカリ電池としてはベーシックなものです。
供給元は“三洋電機株式会社”、型番は「LR20SMO」となっていました。生産国は“MADE IN JAPAN”となっていて日本製です。

 

プラス・マイナス側です。マイナス極には3点の突起でマイナス極同士の逆装填を防ぐ“逆装填防止機能”が装備されており、FDKエナジー(現・FDK鷲津工場)製であると推測できます。
使用推奨期限は「01-2016」となっており、期限はとっくに切れています。三洋電機の乾電池自体が古いですしね…。5年期限と推測すると2011年1月製造の電池でしょうか。

 

★関連記事
MITSUBISHI MY&OUR アルカリ乾電池 単3形/単4形 LR6ME/LR03ME
→本記事と同様にエディオンMY&OURブランドのアルカリ電池を紹介した記事。こちらは三菱電機ホーム機器供給となっている。