月別アーカイブ: 2018年9月

SONY PHOTO 写真用/アルカリ乾電池 単3形 LR6/AM3(P)

ソニー(ソニー・エナジー・テック)がかつて販売していた写真用のアルカリ電池です。1980年代、ヘッドホンステレオ普及で広がった音楽用アルカリ電池に継いで多かったのが、写真用フラッシュ(ストロボ)や8ミリカメラの急増に対応した写真用アルカリ電池です。
今回紹介するソニーの他にかつて当ブログで紹介した富士電気化学のもの、そして日立マクセル(現・マクセル)も写真用アルカリ電池を発売していたことがあります。

電池の外観です。大きい“SONY(R)”ロゴの下に虹色な帯の上に“PHOTO”の文字が記載されている象徴的なデザインとなっています。背景は金色だったと思われるのですが、液漏れが外装に広がっている影響からまるで表現できない色に変化してしまっています。
注意書きは日本語と英語による表記で、日本語表記の方が多めの注意書きです。社名表記は“SONY ENERGYTEC INC.”でソニー・エナジー・テック時代の製品となります。原産国は“MADE IN JAPAN”で日本製、JISマークに“C8511 284007”という表記が見られますからソニー・エナジー・テックが自社製造していたものとなります。同社製を示す略号として“S-K”がお馴染みですが、特にこの電池に略号などは見られません。

外装は金属外装でもラベル外装でも無く、充電式電池に使われているようなチューブ外装となっていました。この外装は見た目に切れ目が見られないのがポイントで、当時のソニー自社製アルカリ電池に見られた特徴のようです。
かつてソニーが発行していた技術情報誌「DIGIC」に掲載されていたアルカリ電池製造工程の紹介では“化粧チューブ”という記載があり、チューブ外装であったと示唆される表現があります。

なお、注意書きの全文は以下の通りです。

<ご注意>この電池は充電式ではありません。充電すると「液もれ」「破損」
のおそれがあります。 「はれつ」「液もれ」のおそれがありますので
●(+)(-)は正しくお入れください。●新しい電池と使用した電池をまぜて使わ
ないでください。●この電池と他の種類の電池をまぜて使わないでください。
●「ショート」「分解」「加熱」「火に投入」はしないでください。

プラス・マイナス側です。マイナス極の絶縁リングは無いタイプです。外装チューブがマイナス極底板ギリギリまで被せられており、これなら絶縁リングは不要でしょう。マイナス極底板は「◎」となっていて、そこに製造日が刻印されていました。
この2本の電池は製造日が異なっていて「88-02(1988年2月)」と「89-11(1989年11月)」のほぼ1年違いの電池です。

【参考(引用)文献】
ソニー株式会社 広報室(1990)
ソニーの工場を訪ねて
コードレス製品のエネルギーを作る「ソニー・エナジー・テック」
『DIGIC』1990.4 Vol.15, P3-6

★関連記事
FUJI NOVEL PHOTO 写真用アルカリ・マンガン電池 LR6(AM3)
→本記事と同様の趣旨で発売された写真用アルカリ電池を紹介した記事で、こちらでは富士電気化学(現・FDK)による“FUJI NOVEL”ブランドのものを紹介している。


HIDISC 磁気研究所 単3/単4 アルカリ乾電池

各種記録メディアやメモリーカードを販売していることで知られる“磁気研究所”が発売しているアルカリ電池です。同社がメモリーカードや周辺機器で使っているHIDISCブランドをこのアルカリ電池でも使っています。
写真では白に見えるかも知れませんが、実際は薄いシルバー。文字やロゴの青色も相まって美しいデザイン。個人的に好感が持てました。サイズ表記も大きく記載されていて、とてもわかり易いです。

パッケージです。バーコードは台紙ではなくラベルで貼り付けられているタイプ。特にキャッチコピーは無さそうですが、アルカリ乾電池表記上に“HIGH POWER ALKALINE”の表記があります。輸入事業者名は株式会社磁気研究所となっており、バーコードの事業者も同社(4984279)のものとなっています。
ラインナップは写真の単3と単4の4本パック以外に10本パックと単1・単2の2本パックが用意されているようです。

型番は単3・4本パックが“HDLR6/1.5V4P”、単4・4本パックが“HDLR03/1.5V4P”となっています。

電池の外観です。デザインは前述の通り、薄いシルバーに文字やロゴは青色。注意書きは一般的なもので誤字などは見られません。社名表記はパッケージと同じ株式会社磁気研究所ですが、パッケージでは輸入事業者名となっていたのが電池では販売元となっています。
住所や電話番号などは記載されておらず、磁気研究所のURLと問い合わせ先はメールアドレスのみです。

サイズ表記は大きくてわかり易かったこの電池ですが、プラス・マイナスの表記は小さくてこの1ヶ所しか無くわかりにくい。この点が気になりました…。
この電池は海外輸出を前提とした電池ではないと思いますが(日本語表記なので)、注意書きの端には小さいWEEE(クロスドアウト・ダストビン)マークが見られました。

 

プラス・マイナス側です。マイナス極の絶縁リングは「」。使用推奨期限は単3・単4共に「07-2023」となっていました。時期的に5年期限の2018年7月製造の電池であると推測されます。ちなみに単3の方が印字が薄いように見えますね。

 

 

外装ラベルを剥がしてみました。単3には“XERH 12 011637”、単4には“FESH01 071058”のロット番号と思われるレーザー刻印がありました。

 

 

最後に絶縁リングの拡大です。薄緑の絶縁リングで切り欠きを下に置いた状態で上に数字のみが刻印されているタイプです。単3には「3-38」、単3には「4」の刻印が見られました。電池本体に刻印されているロット番号のパターンと絶縁リングの特徴を察するにGP製かも知れません。同じ特徴を持っている電池としてヤマダ電機のHERB Relaxアルカリ電池がありました。
マイナス極のガス抜き穴は一般的な2穴タイプです。


ダイソー乾電池(赤) Manganese Battery 単3形

かつてダイソーで販売されていた赤マンガン電池の単3です。『ダイソー乾電池』というとてもストレートなブランド名、さすがに現在ではこんなネーミングの電池は売られていません。
デザインは赤マンガンとひと目でわかる真っ赤なボディ。プラス・マイナス極の表記は黄色で大きくわかりやすい表示になっているのもポイントと言える特徴でしょう。
なお、このダイソー乾電池には赤マンガンのほか、黒マンガンも用意されていました。

注意書き部分です。注意書きは一般的なもので誤字などはありません。しかし「(+)(-)を間違って入れても電流は流れますが電池が熱を持ったら破裂したり大変危険です。正しくセットしてご使用ください。」というまえがきは印象的です。
発売元は“(株)大創産業”。生産国はMADE IN KOREA韓国製となっています。最近はロケット電気が廃業した影響か、韓国製の乾電池はほぼ日本で見られなくなっています。

この2つの電池は同じ電池に見えますが、製造ロットが異なるらしく住所表記が異なっていました。写真上は“東広島市西条町加茂工業団地”となっていますが、写真下は“広島県東広島市西条吉行東”の住所となっているのがわかります。
製造日が特定できないので、どちらが古い個体であるのかはわかりませんが、個人的には“東広島市西条町加茂工業団地”の方が古いのではないか?と思います。

プラス・マイナス側です。こちらも2つの電池で異なる特徴が見られます。プラス極の絶縁リングはどちらとも「」で共通なのですが、住所が“東広島市西条町加茂工業団地”となっている方はマイナス極も「」の絶縁リングを使っています。使用推奨期限はインクによる印字で、「」絶縁リングバージョンにのみ「06.04A」という印字がかろうじて見えます。

 

電池の表記では月-年の表記ということなので、使用推奨期限は2004年6月、2002年6月製造の電池であると推測されます。

★関連記事
ダイソー乾電池 マンガン乾電池 6F22 9V
→本記事で紹介した「ダイソー乾電池」の6P形バージョン。6P形としては珍しい韓国製で韓国の電池メーカー“ベクセル”製となっています。もしかして、本記事のダイソー乾電池もベクセル製かも…?


POWER FLASH(R) SUPER ALKALINE digital AA LR6

秋葉原のジャンクショップで入手した怪しげなアルカリ電池です。“POWER FLASH”というブランドの電池で“华太電池(HUATAI BATTERY)”を主力ブランドとする中国の電池メーカー“Linyi Huatai Battery”が販売するアルカリ電池のようです。
なお、当ブログでは同社が製造した最低クラスと見られる単2マンガン電池を紹介したことがあります。こちらは「HUATAI(华太)」ブランドとなっていました。

パッケージです。2本入りブリスターパック。パッケージ裏ではアルカリ電池のパッケージなのにも関わらず、アルカリ(Alkaline)とマンガン(Heavy duty)両方の用途が記載されていて変わっています。
社名表記などの記載は無くLinyi Huatai Batteryのホームページアドレスのみが記載されています。バーコードは“69”より始まる中国のコードですが、該当なしと出ました。

パッケージには開け口が付いています。が、結構開けにくい。下から開けるのかと思って下から剥がしてみたらうまく行かず、結局上から開けています。この切り口を開けても電池は取り出せないので、パッケージをこじ開けて電池を取り出すことになります。
ガチガチにパッケージングしてハサミを駆使しないと開けられなパッケージよりかは道具無しで開けられるので合格です。

電池の外観です。アルカリ電池というよりかはマンガン電池に見えるデザイン。を基調とし、プラス側のシルバーが特徴的なデザインとなっています。
注意書きは英語のみ。生産国はMade in China中国製となっています。社名表記の記載はありません。

 

表示は小さいですがMercury-Hg(水銀)Cadmium-Cd(カドミウム)Lead-Pb(鉛)が含有されていない(0.00%)ことが記載されています。日本メーカーの電池の場合、水銀が含有されていないことは記載されていてもカドミウムや鉛が含有されていないことまで触れられているものは数少ない。

 

プラス・マイナス側です。マイナス極の絶縁リングは無いタイプとなっていました。マイナス極底板の中心には丸い突起のようなものが見えます。
プラス極には使用推奨期限でしょうか、「DEC-2015(2015年12月)」の印字が見えます。とっくに期限切れです。確証は無いですが、2年期限の2013年12月製造の電池でしょうか?期限切れから3年近く経っていますが液もれゼロ。素晴らしい!

外装ラベルを剥がしてみました。特にロット番号の印字や刻印などの記載は見られません。気のせいかもしれませんが、マイナス側の凹みが通常のアルカリ電池と比べると深いような気がします。
最後にマイナス極のガス抜き穴は一般的な2つ穴タイプとなっていました。

 

★関連記事
HUATAI R14S 1.5V
→本記事の電池と同じくLinyi Huatai Battery製の単2マンガン電池を紹介した記事。R14Sの記載があり、最低クラスのマンガン電池とみられる。東日本大震災時に売られていたもの。


TOSHIBA アルカリ乾電池 LR6(E)/LR03(E) その4

本ブログでは4回目の紹介となる“ローソンストア100”で発売されている“TOSHIBA”ブランドのアルカリ電池です。
最後に紹介したのはおおよそ3年前の2015年6月。あれからインドネシア製から中国製に生産国が変わり、一旦店頭から姿を消したアルカリ電池ですが復活を果たし、現在でもローソンストア100で売られている電池になっています。
電池そのもののデザインは復活以前、インドネシア製の頃から変わっていません。

パッケージです。インドネシア製だった時代はほぼ電池が正面を向いた状態でパッケージングされていましたが、中国製になってからは不揃いでパッケージングされています。また復活以前は「バリューライン」というローソンストア100のプライベートブランド商品の位置づけとして発売されていたのですが、現在は東芝ブランドのアルカリ電池として発売されバーコードラベルも素っ気無い感じに変更されています。
ラインナップは単3と単4の4本パックのみ。単3の品番は“LR6E 4CP(LM)”、単4の品番は“LR03E 4CP(LM)”となっていました。もちろんベルマークなどあるはずもありません。なお、バーコードの事業者名は“東芝ライフスタイル(4904530)”となっています。

電池の外観です。デザイン自体はインドネシア製だった頃と同一の青ベースでマイナス極にがデザインされたものになっています。インドネシア時代のときはそんなに感じませんでしたが、この中国製では単4は青色が明るめ単3は青色が暗めに見えます。
社名表記は“東芝ライフスタイル株式会社”、生産国は中国製となっています。

プラス・マイナス側です。マイナス極の絶縁リングは「」。また、マイナス極底板の中心に小さい丸印が見える点もポイントだと思います。
使用推奨期限は単3が「07-2023」、単4が「08-2023」。5年期限と推測すると、それぞれ2018年7月、8月製造の電池であると思われます。

 

恒例、外装ラベルをひん剥いでみました。単3には“D0206804”の、単4には“A1306814”のロット番号らしき印字が見られます。このパターンのロット番号は同じ東芝ブランドのアルカリ1中国製単3でも見られた特徴であり、これも同じ製造元であると見て間違いないでしょう。
このタイプの印字は武田コーポレーションの「EXPOWER」中国製となったモリトクアルカリ電池などでも見られます。

最後に絶縁リングの拡大写真を。絶縁リングの色は薄緑。切り欠きを左に置いた状態で、単3は上「G6」下「30」の刻印が、単4には上「G7」下「13」の刻印がありました。この特徴もまた、アルカリ1の中国製単3で見られた特徴です。
なお、マイナス極のガス抜き穴は単3・単4共に一般的な2つ穴タイプでした。

 

★関連記事
TOSHIBA アルカリ乾電池 LR6(E)/LR03(E) その3
→現行前世代の電池を紹介した記事で、まだインドネシア製。デザインが本記事で紹介したものと同じものに変更された。

TOSHIBA アルカリ乾電池 LR6(E)/LR03(E) その2
更にその前の世代の電池を紹介した記事。インドネシア製でデザインも初代と同一であるが製造元がFDKのインドネシア工場製に変更された。

TOSHIBA アルカリ乾電池 LR6(E)/LR03(E)
→更にその前の世代でこれが初代モデル(インドネシア製)。この頃は同一型番でありながらも現行品とデザインが異なっていた。


HITACHI SUPER GOLD 大阪築城400年まつり SUM-3(SG)[T]

今回はちょっと珍しい電池を紹介しましょう。“大阪築城400年まつり”仕様の日立スーパーゴールドです。大阪築城400年まつりは1983年10月1日から11月30日まで行われていたイベント(地方博覧会)で別名「大阪城博覧会」とも呼ばれていたようです。
大阪築城400年まつり記念商品として、専用デザインのポッカコーヒーアサヒビールが存在していたようですが、この電池もそんな中発売された記念商品だったのでしょう。

電池の全景です。マンガン電池ですが金ベースで、中程にはカラー印刷の美しい絵がプリントされています。大阪城の下をよく見てみてください。ゴールド色に同化して見にくいですがお馴染みの“SG”マークもちゃんと装備されていますね。
写真右に見える「21」のようなロゴマークは主催元であった財団法人大阪21世紀協会(現・公益社団法人関西・大阪21世紀協会)のロゴのようです。

電池の型番は“SUM-3(SG)[T](○印の中にT)”、JISマークの表記は“C8501 M.D.B/R6”となっているので日立マクセル(現・マクセル)製であると推測されます。
社名表記は“日立家電販売株式会社”となっています。

 

 

注意書きは電池下部に記載されており、更にその下には日立マーク(亀の子マーク)付きの古い“HITACHI”ロゴも見られます。なお、注意書きの全文は以下の通り。少なめです。

<ご注意>この電池は充電式ではありません。
●充電すると「液もれ」「はそん」のおそれがあります。
●(+)(-)を正しく入れないとはれつのきけんがあります。

プラス・マイナス側です。プラス、マイナス共に絶縁リングの色は「」となっています。製造日は“83-11”となっていて、1983年11月製造の電池です。大阪築城400年まつりは1983年11月30日まで開催でしたよね?それで11月製造では遅いように感じるような…。イベント合わせならもっと前生産なのではと思いますが、イベント終了後も発売が続行していたのかも知れませんね。

日立マクセルは過去に「ピクチャー乾電池」として絵をプリントした電池を売り出したことがあり、この電池に描かれている絵の美しさはこの電池があったこそなせた技でしょう。今このプリント技術を使った萌え電池が作れれば最高や!と思うのですが、現在マクセルは乾電池の製造から撤退しており残念と言うほかありません。