電池メーカー事情」カテゴリーアーカイブ

国内外の電池メーカー動向を掲載しているカテゴリです。

Energizer製品の販売元が小泉成器に変更へ

Energizerアメリカの3大電池メーカーの一つである“Energizer(エナジャイザー)”。いままで、同ブランドの製品はアメリカEnergizer社の子会社で日本法人の“シック・ジャパン株式会社”が販売を担当していましたが、2015年7月より“小泉成器株式会社”が輸入・販売を担当するようになった模様です。そのため、Energizer製品のサイトもページの内容はそのままに小泉成器のサーバに移転しています。

http://koizumiseiki.jp/energizer/

これは2015年にアメリカのEnergizer Holdingsが“Schick”ブランドのカミソリなどを手がけるパーソナルケア部門と電池を含む家庭用品部門を分割、前者をEdgewell Personal Careとして分社化したことによる影響のようです。
これに伴い、日本の“シック・ジャパン”でも親会社がEdgewell Personal Careに変更されると思われ、電池工業会会員の進退が危惧されますが、現状、電池工業会の会員名簿では“シック・ジャパン株式会社エナジャイザーカンパニー”のままであり、今後の動向が気になるところです。

・追記(2015/9/15)
シック・ジャパンのコーポレートサイトが更新され、その中の沿革で“(2015年)7月1日から、エッジウェル パーソナルケア インクの日本法人となる。”の記述が追加されています。7月はちょうど“Energizer”ブランド製品の輸入・販売が小泉成器に移管された時期に一致しており、親会社変更による事業移管であったことに間違いなかったようであります。


日立化成が新神戸電機を吸収合併へ

shinkobe_1日立化成が子会社である、“HITACHI”ブランドや“KOBE”ブランドでカーバッテリーを発売していた蓄電池メーカー“新神戸電機株式会社”を吸収合併することを発表しました。合併予定日は2016年1月1日
新神戸電機は“HITACHI”および自社ブランドである“KOBE”ブランドのバッテリーの他に、ニカド電池“HITANICA(ハイタニカ)”やニッケル水素電池“Cell Ace(セルエース)”を製造・販売していたこともあります。

なお、2013年には新神戸電機の営業・事業企画・研究開発部門を日立化成に移管し、カーバッテリーの製品情報は日立化成のホームページ上に移動されていました。その矢先での合併発表でありましたので、既に感付いていた方もいたのではないでしょうか。
なお、この合併に先駆け、4月1日に新神戸電機は電池工業会より脱退、日立化成が新たに電池工業会に入会しています。

shinkobe_2余談ですが、かつて新神戸電機が販売していたニカド電池“HITANICA(ハイタニカ)”は日立化成工業(現・日立化成)が販売を担当していました(写真の社名表記“Hitachi Chemical Co.,Ltd.”)。
合併後に“HITANICA”の販売が復活するとすれば、やはりこの社名表記に戻るのでしょうかねぇ…。


FDKがFDKトワイセルを吸収合併へ

fdktwicellFDKは100%子会社で、ニッケル水素電池を開発・製造する“FDKトワイセル株式会社”を本日12月1日付で吸収合併した。
FDK発表の資料によると、合併理由として経営資源の相互活用による効率化およびニッケル水素電池と電池部品の複合製品の開発連携向上によるビジネスの一層の強化を図るためとのことです。
 

 
FDKトワイセルのホームページ自体は現在でも閲覧可能ですが、FDKのホームページ内“会社紹介”ではFDKトワイセルの項目が削除され、同社の所在地が“高崎工場”と記載されていますから、合併は完了されたものと推測されます。
FDKトワイセルは1966年に東芝電池のマンガン電池工場として操業を開始(※1)。当時、同工場で作られた東芝のマンガン電池には“R-O-T”・“T-T”の記号が付けられていました。そして、1991年にニッケル水素電池の生産を開始(※2)、2001年に三洋電機の資本となり、2010年にFDKの資本に変わり現在に至っています。
現在FDKトワイセルが製造し、大ヒットしたニッケル水素電池“eneloop”も2000年に東芝電池が開発し、三洋電機が実用化した「超格子合金」の技術(※3)が無ければ完成しなかったとも言われています。今後も革新的な技術を期待するとともに“MADE IN JAPAN”のニッケル水素電池を開発・販売し続けて欲しいものです。

・追記(2014/12/24)
fdktwicell2
現在、FDKトワイセルのホームページにアクセスすると“会社合併に関するお知らせ”という記載に変わっており、FDKとFDKトワイセルが12月1日をもって合併することになったことが正式に発表されています。実質FDKトワイセルのサイトが閉鎖された状態となりました。


※1:高崎新聞・みんなが知りたい工場の中~やっぱり高崎はすごかった~
※2:FDKトワイセル・Twicellのあゆみ(ウェブ魚拓によるアーカイブ)
※3:電池工業会・電池の知識:電池の歴史「3)小型充電式電池(二次電池)」


東芝、4月に新会社設立へ

toshiba東芝は3月12日にテレビやパソコン、生活家電を取り扱う新会社東芝ライフスタイル株式会社”を4月1日に設立することを発表した。
これは東芝の社内カンパニーである“デジタルプロダクツ&サービス社”の映像事業を分割、生活家電を扱う“東芝ホームアプライアンス株式会社”と統合し、映像事業、家電事業それぞれの人員や物流などの経営資源の共通化、コスト最適化を進め、効率的な事業運営を図るという。

これにより、現在東芝の乾電池やニッケル水素電池などは“東芝ホームアプライアンス”の名義で発売されていますが、4月からは“東芝ライフスタイル”の名義に変更されることが推測されます。ただし、製造工程・時期の都合上すぐに電池上の表記が変更されることは無いでしょう。


テトラジャパンがスペクトラムブランズジャパンに社名変更

spectrumbrandsjapan熱帯魚用品で知られる“Tetra(テトラ)”ブランドなどを展開している“テトラジャパン”。2013年12月に同社が“スペクトラムブランズジャパン”へ社名変更していたことが判明した。これは2005年にアメリカのSpectrum Brands社がテトラ社を買収したことによるもので、熱帯魚用品メーカーから総合ペット用品メーカーへ転身する意味が込められているようだ。

 

Spectrum Brands社は2005年にレイオバック(Rayovac)から社名変更したアメリカの日用品販売メーカー。“Rayovac”ブランドの電池を販売するほか、VARTAの一般向け電池を発売している“VARTA Consumer Batteries GmbH & Co. KGaA”を傘下に持つ電池メーカーとしても知られている。

現在、スペクトラムブランズジャパンは電池を発売していないが、テトラジャパン時代の2012年4月に電池工業会の賛助会員に入会()。それを知らせる電池工業会の機関紙では『・日本におけるレイオバック・ブランド電池製品のマーケティング』とあり、社名変更による多角化でいずれ日本でもRayovacブランドの電池が見られる日が来るのかもしれない?

【参考文献】
一般社団法人電池工業会
月刊機関紙「でんち」 平成24年5月1日号
電池工業会, 2012年5月, p1