今回は富士フイルムより発売されていたアルカリ電池を紹介します。富士フイルムは1989年にアメリカの電池メーカーであるエバレディ(現・エナジャイザー)と提携し電池事業に参入しますが、この電池はその時に富士フイルムが発売した初のアルカリ電池です。
ブランドは富士フイルムのブランドに提携先の“EVEREADY”ブランドを冠したダブルブランドで、EVEREADYのロゴは本国のものではなく日本オリジナルのロゴを使用していました。
注意書き部分。生産国は“Made in Singapore”となっており、シンガポール製です。富士フイルムは電池製造工場を持たず、電池を製造しようともしなかったため、殆どの電池が他社に製造を丸投げしての他社OEMでした。これもエバレディのシンガポール製であると推測されます。この電池は非常に液漏れしやすいと電池マニアの間でもかなり有名で、なかなか綺麗な状態の個体を入手できないとされる電池だったりします。
注意書きの全文は以下の通りで、アルカリ電池であったためか文量は若干多めです。住所表記は現在でも所在する、富士フイルム西麻布本社の住所となっています。
<ご注意>この電池は充電式ではありません。充電すると「液も れ」「破損」のおそれがあります。「液もれ」「破裂」のおそれがあ りますので(+)(-)は正しく入れてください。新しい電池と使用 した電池、または他の種類の電池をまぜて使わないでくださ い。「ショート」「分解」「加熱」「火に投入」はしないでください。 富士写真フイルム株式会社 |
プラス・マイナス側。外装は現在アルカリ電池で主流のラベル外装となっています。底面の刻印は「91-01」となっており、1991年1月製造の電池であると推測されます。
この後、富士フイルムのアルカリ電池はEVEREADYからEnergizerへブランド移行を経て、2008年に電池事業から撤退します(ただし、一部の低価格アルカリ電池はEVEREADYブランドを続行しました)。
おまけ。富士フイルムが電池事業参入時に関係者に配布したと思われるテレホンカードです。『富士フイルムからエバレディ電池 新発売』と記載されており、富士フイルムの電池事業開始を天地創造と掛けた『電池創造。』としているユニークなキャッチコピーとなっています。