CR-P2

★CR-P2はコンパクトフィルムカメラ用に開発されたリチウムパック電池で、1985年に松下電池工業(現・パナソニック)がフッ化黒鉛リチウム電池BR-2/3Aを2つパックにした“BR-P2N”として開発したのが始まりです。2CR5がデジタルカメラにも転用されたのに対し、CR-P2はフィルムカメラのみの採用に留まったため、需要が減少傾向にあり販売を中止するメーカーも増えています。IEC形式の型番は“2CP4036”。


実際に各メーカーのCR-P2を見てみると、形状違いが数種類あることがわかります。コレクションを紹介する前にこれらの違いを比較して行きたいと思います。

●パナソニックタイプ
開発元であり、一番メジャーなタイプと思われるものです。パナソニックタイプの特徴は上部端子部分にある「(+)」と「(-)」刻印の間に四角い印が見える点です。
側面から内蔵電池の一部が見えたりプラス極側下部に丸印が見えるのもこのタイプの特徴です。
ロット番号は基本数字3ケタ

 

このタイプにはBR系(フッ化黒鉛リチウム電池)CR系(二酸化マンガンリチウム電池)の2種類が存在しますが、これは側面から見える内蔵電池の外装色から見分けることが可能で、黒ならBR系灰ならCR系と見ることができます。

 

 

●三洋タイプ
三洋電機の“2CR5”に使われていたタイプです。仮に『三洋タイプ』としています。パナソニックタイプと比べると側面から内蔵電池の一部が見えていましたが、このタイプでは電池が樹脂パックに覆われている構造となっています。
また、上部の端子部及び下部の両方に丸印の中に点が見える凹みが見えるのもこのタイプの特徴です。
ロット番号は基本アルファベット2ケタ

 

●東芝タイプ
こちらは三洋タイプに似た特徴の『東芝タイプ』で、その名の通り東芝電池の“CR-P2”に使われていたタイプです。
構造は三洋タイプに似ていますが、正面下部に窪みが見られるのが特徴。そのためか、ラベルが貼られている範囲が狭かったりします。
極性(プラス・マイナス)表示が他タイプと異なり、奥側に配置されているのも、このタイプ唯一の特徴であります。
ロット番号は基本アルファベット3ケタ

以上が日本製3タイプの特徴となります。ロット番号のパターンは2CR5と同一であることがわかりますので、CR-P2も概ね同じメーカーが製造していたのでしょう。
また、2CR5とは異なり日本製のみならず、アメリカ製のものも存在しており、近年は中国製のものも登場しているようです。これらのタイプについては『アメリカタイプ』、『中国タイプ』と記載することとします。


コレクションはブランド50音順→年代の順で並べています。

Kodak SUPRALIFETM LITHIUM BATTERY PACK K223L
CR-P2_001_1
CR-P2_001_2
SUPRALIFEはコダックが80年代頃に展開していた乾電池のブランド名であり、結構古いものである様子。パナソニックタイプで側面のラベルを剥がしてみると黒い外装が見られることからフッ化黒鉛リチウム電池(BR-P2)相当らしい。


パナソニックタイプ日本製/0F4P

SONY(R) LITHIUM CR-P2
CR-P2_004_1
CR-P2_004_2
ソニーのCR-P2。2CR5同様に黒いラベルはシブくてカッコいいですね。社名表記は“SONY CORPORATION”となっています。


三洋タイプ日本製/ZH

TOSHIBA Lithium CR-P2 6V
CR-P2_010_1
CR-P2_010_2
“TOSHIBA”ブランドのCR-P2。恐らく2世代目のデザインではなかったかな?と記憶。社名表記は“東芝電池株式会社”となっている。


東芝タイプ日本製/TMR

Panasonic LITHIUM BATTERY BR-P2P 6V FOR PHOTO
CR-P2_015_1
CR-P2_015_2
初代BR-P2Nの後継と思われるパナソニックブランドのBR-P2Pで、型番通りのフッ化黒鉛リチウム電池となっています。CR-P2発売後もしばらくは生産していた様子。


パナソニックタイプ日本製/731

National Lithium BATTERY CR-P2N 6V
CR-P2_007_1
CR-P2_007_2
ナショナルブランドで初めてのCR系リチウム電池であったと記憶。パナソニックになってもしばらくこのデザインが続いた定番デザイン。


パナソニックタイプ日本製/8Z1

Panasonic Lithium BATTERY CR-P2P 6V
CR-P2_005_1
CR-P2_005_2
上記のナショナルブランドがパナソニックに変わったもの。これに伴い型番も変更されている。多分CR-P2Pの“P”はパナソニックのP?


パナソニックタイプ日本製/013

Panasonic Lithium CR-P2P 6V
CR-P2_013_1
CR-P2_013_2
さらなるマイナーチェンジモデル。『充電禁止 DO NOT RECHARGE』の表記が大きく目立っている。そのかわり、Panasonic Lithiumの下にあった「BATTERY」の表記が省略させられた。


パナソニックタイプ日本製/438

Panasonic Lithium CR-P2 リチウム電池 6V
CR-P2_003_1
CR-P2_003_2
上記の後継モデルでフルリニューアル。型番が大きく目立つようになった。前モデルにあった『充電禁止 DO NOT RECHARGE』もそのまま健在で下に移動している。


パナソニックタイプ日本製/565

Panasonic CR-P2 Lithium
CR-P2_002_1
CR-P2_002_2
お馴染みパナソニックの現行品。白いボディは他社に無く印象的なデザインです。社名は“Matsushita Electric industrial Co., Ltd.”となっていて微妙に古い。


パナソニックタイプ日本製/743

VARTA PHOTO CR223A・LITHIUM・6V
CR-P2_009_1
CR-P2_009_2
なかなか珍しい“VARTA(ファルタ)”ブランドのCR-P2で、実際に記されている型番はCR223A。海外ではこちらの型番が一般的なようです。


アメリカタイプ米国製/5I1113

Fujitsu CR-P2 Lithium Battery 6V
CR-P2_012_1
CR-P2_012_2
“Fujitsu”ブランドのCR-P2。社名表記は現・FDK株式会社の前身となる「富士電気化学株式会社」の表記となっています。


三洋タイプ日本製/AK

FUJI FILM EVEREADY リチウム電池 6V CR-P2 LITHIUM
CR-P2_006_1
CR-P2_006_2
富士フイルムの初代と見られるCR-P2。“EVEREADY”のロゴが大きく配され、提携していたエバレディ(現・エナジャイザー)色が大きいが、それとは裏腹にパナソニックタイプの日本製となっている。


パナソニックタイプ日本製/994

CR-P2 FUJIFILM EVEREADY LITHIUM リチウム電池
CR-P2_014_1
CR-P2_014_2
上記の後継モデルと思われる“FUJIFILM”ブランドのCR-P2。富士フイルムのロゴが大きくなり、EVEREADYのロゴが小さくなっている。


パナソニックタイプ日本製/443

maxell Lithium MnO2-Li BATTERY 2CR17/33
CR-P2_008_1
CR-P2_008_2
日立マクセルの初代と思われるCR-P2だが、型番が2CR17/33と何故か異なっている。アメリカ製で底面のロット番号刻印の他に、三洋タイプのようなアルファベット2文字のロット番号も印字されている。


アメリカタイプ米国製/1I0961(VK)

maxell Lithium CR-P2 6V
CR-P2_011_1
CR-P2_011_2
日立マクセルのCR-P2で現行品前モデルと思われる一品。『充電禁止』の表記が型番に匹敵するほど大きいのが特徴。


三洋タイプ日本製/AB

※:タイプ/生産国の後に記載されているアルファベットや数字は電池に記載されているロット番号です。後で分析できるように敢えて記載しています。