今日で「平成」が終わり、明日から「令和」時代が始まります。そこで平成時代に印象的だった電池関係の出来事を振り返ってみます。
●アルカリ電池の性能が飛躍的に進歩した
平成はアルカリ電池が飛躍的な進歩を果たした年でした。1993年に電池の使用推奨期限の表示が始まったとき、単3アルカリ電池の使用推奨期限は2年でした。その後、2004年には当時の日立マクセルが使用推奨期限4年を実現したNew「ダイナミック」を発売、その1年後にはFDKが使用推奨期限5年のアルカリ電池を発売します。これは日本が誇る電池製造技術の賜物で、漏液防止技術と長期保存技術が可能にした技でした。
その後、パナソニックから乾電池エボルタが発売。当時の世界最長使用推奨期限10年を達成。これが各電池メーカーに派生し、現在は使用推奨期限10年が一般化しています。
2009年に当時の日立マクセルがNew「ボルテージ」でアルカリ電池の液漏れ補償を付与。続き、2014年にFDKがプレミアムタイプで液漏れ保証を付与します。保証期間は使用推奨期限内、すなわち10年間という驚くべき数字です。これらは電池メーカーがアルカリ電池の漏液耐性に自信を持っている現れであると言えるでしょう。
●ニッケル乾電池の誕生、そしてオキシライド乾電池
デジタルカメラの普及期になると、当時消費電力の大きかったデジタルカメラに対応した、新電池「ニッケル乾電池(ニッケルマンガン電池)」が誕生します。この電池はアルカリ電池の正極にオキシ水酸化ニッケルを加えた改良版で高負荷に強く、消費電力の高い機器で電圧が安定していることからデジカメ用として発売された電池です。しかし、普通の乾電池と同じ用途として使うとアルカリ電池と寿命が変わらない価格の高い電池として普及すること無くひっそりと姿を消しました。
そのニッケル乾電池を改良したのが、パナソニックから発売された「オキシライド乾電池」です。これはニッケル乾電池の低電圧特性を改善し、消費電流の少ない機器でも長持ちするように改良された電池でした。初期電圧が高いため、一部ユーザーには好まれたものの、これが原因で誤動作する機器があり、結局は姿を消してしまいました。
●ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの新型充電式電池が誕生
平成は二次電池の業界でも革命を起こしました。1991年、当時のソニー・エナジー・テックが世界初のリチウムイオン電池を実用化して発売。金属リチウムの危険性をできるだけ減らして、高電圧化を図ったこの充電式電池はモバイル機器に革命を起こしました。現在でもスマートフォンやタブレット端末における主電源の多くはこのリチウムイオン電池が使われています。
同じく、1990年頃に実用化されたのがニッケル水素電池です。この電池は今まで乾電池の代替として使われていたニッケルカドミウム電池の後継としての位置付けとして、同電池よりも大容量で、有害物質カドミウムを使わない利点から大きく普及しました。
ここでキーとなるのが東芝電池が2000年に発表した“超格子合金”という技術です。この技術を継承した三洋電機が大容量のニッケル水素電池を開発しますが、さらにこの技術を発展し世界で初めてニッケル水素電池特有の自己放電を解決した「eneloop(エネループ)」を発売。今まで使いにくいと言われていたニッケル水素電池が普通の乾電池と同じように使えるこの充電式電池は爆発的なヒットを果たしました。
という訳で、個人的に平成で印象的だった電池関係の出来事を取り上げてみました。令和時代もきっと私達を驚かせる新電池、そして新技術が登場するに違いありません。
今年で「電池コレクションブログ」は早いもので6年となります。これからも様々な電池を紹介するブログとして活動してまいりますので、新時代となる令和、そして7年目の当ブログをどうぞよろしくお願いいたします。