電池あれこれメモ

電池関係の事柄を調べていたときにわかったことを書き込むチラ裏的なメモ書きです…。

●法人登記
電池メーカーの詳細を調べてみました。個人でも「登記情報提供サービス」を使用すれば、登記簿謄本を入手することが可能です(有料)。解散した企業の登記簿(閉鎖登記簿)の入手も可能ですが、保存期間はおよそ20年間と定められており、解散後20年を超えた企業の閉鎖登記簿を入手することは難しいと思われます。

■岡田乾電池製造所

商号 岡田乾電池製造所
営業所 東京都品川区(荏原郡品川町大字南品川宿1561番地)
商号使用者の氏名及び住所 荏原郡品川町大字南品川宿1561番地
岡田悌蔵
営業の種類 乾電池並ニ電気用品ノ製造販売

●東京都内“乾電池”というワードで絞っていて見つけた古そうな商号登記。『荏原郡品川町』とあるから大分古いものと思われるが、登録の年代がわからず何もかもが不明。使用者にも岡田悌蔵氏の名前が見られるが、岡田乾電池創始者の初代岡田悌蔵氏なのか、二代目岡田悌蔵氏なのかもわからないです…。
○なお、住所に関して「東芝電池三十年史」によると明治39年12月29日当時の東京府荏原郡品川町南品川6丁目76番地に「岡田電気商会」として設立されたとあり、これとも一致しない。ただし、明治43年には南品川3丁目1561番地に新工場(現在の東芝電池(株) 本社所在地)を設立するに至ったとある。1561番地という数字のみはヒットしているのでこれが当時の住所であり、この新工場の商号が“岡田乾電池製造所”だったのかも知れませんね(激しく妄想w。


■三枝乾電池株式会社

商号 三枝乾電池株式会社
本店 東京都北区滝野川七丁目5番9号
東京都北区滝野川七丁目5番6号 平成5年10月23日移転
会社成立の年月日 昭和24年3月26日
目的 1.乾電池の製造並びに販売
2.充電器の製造並びに販売
3.包装材料の一式販売
4.前項に附帯又は関連する一切の業務
平成17年4月6日株主総会の決議により解散

[SDB]という略号でニカド電池などの充電器を製造していたことで知られる企業。左の写真は雑誌“トランジスタ技術”1993年10月号に出稿されていた双葉電気株式会社との合同広告。
○社名に乾電池と入っており、目的にも「乾電池の製造並び販売」とあることから乾電池も製造・販売していた可能性は高いと見られるのですが、同社が製造していたと見られる電池は見たことがない上に同社の電池製造工場がJISに登録されていた形跡は見られない。

 

 

 

★余談
昭和17年(1942年)11月7日に社団法人電池工業会の前身に当たる“日本乾電池工業組合”が結成されている。第一次指定27社の中に“三枝乾電池製作所”という当社に酷似した企業が入会している。しかし、この法人登記で見られる三枝乾電池は昭和24年の創立で、日本乾電池協同組合が創業される遥か後の企業となっている。系譜的には同じ電池メーカーの可能性もあるだろうが、法人格は引き継いておらず別会社という位置づけになっている。

※社団法人電池工業会、機関紙「でんち」平成23年4月1日号より抜粋。


■デュラセル・バッテリー・ジャパン株式会社

商号 デュラセル・バッテリー・ジャパン株式会社
本店 東京都台東区蔵前二丁目6番4号 マスダヤビル
会社成立の年月日 昭和51年11月26日
目的 1.電池の輸入、輸出、製造、開発、頒布及び販売
2.前記に附帯する一切の業務
平成9年8月28日株主総会の決議により解散、
平成9年12月12日決算結了。

●言わずと知られた、アメリカの電池メーカーであるデュラセルの日本法人。会社成立の年月日は「昭和51年11月26日」となっており、2004年に日本電池工業会が発行した“日本乾電池工業会史”の会社小史に記載されている同社の設立年月日と同じ。同誌では“マロリー・バッテリー・ジャパン”として設立とあるが、登記簿ではその記録は無かった。平成9年8月28日に会社解散。
○現在の“デュラセルジャパン合同会社”は当社解散後に再設立された企業らしく、法人格は引き継いでいない模様。


■東芝電池株式会社

商号 東芝電池株式会社
本店 群馬県安中市郷原3000番地2
会社成立の年月日 昭和29年4月22日
目的 1 下記製品の製造及び販売
(イ)電池及び電池応用商品
(ロ)家庭用電気器具及び電子応用機器
(ハ)電池材料
2 家庭用日用品雑貨の販売
3 前各号に付帯、関連する一切の事業

●東芝ライフスタイルグループの電池メーカー。かつて、Wikipediaの“東芝電池”記事にて当社が解散したとの記載があったので閲覧。会社成立の年月日は「昭和29年4月22日」となっており、これは当社の前身に当たる日本レイ・オ・バック乾電池の設立日である。従って、現在に至るまで解散していないことがわかる。
○本店所在地は3度に渡り変更されており、以下の通りである。

東京都品川区南品川三丁目4番10号
→東芝電池 東京工場の所在地と同様。日本レイ・オ・バック乾電池創業の地でもある。創業当時の住所は東京都品川区南品川三丁目1561番地。
東京都千代田区外神田二丁目2番15号[平成18年6月13日に本店移転]
→かつて東芝ホームアプライアンス→東芝ライフスタイルが所在した住所と同じで旧・東芝昌平坂ビル。現在はウエルシアビル。
群馬県安中市郷原3000番地2[平成26年4月14に本店移転]
→東芝電池 碓氷川工場の所在地。

■松下電池工業株式会社

商号 大東金属工業株式会社
松下電池工業株式会社 昭和54年9月4日変更
本店 大阪府守口市松下町1番地
大阪府守口市松下町1番1号 平成8年8月5日住居表示実施
会社成立の年月日 昭和22年7月14日
目的 1.電池および電池応用製品の製造、販売
2.電気および電子機器の製造、販売
3.医療・保健・衛生用機械器具および工具の製造、販売
4.炭素・マンガン等の工業材料および製品の製造、販売
5.前各号に関する設備・機械器具および工具の製造、販売
6.前各号の製品に関する工事ならびにその他の建設工事の設計、施行、請負
7.各種事業に対する投資
8.前各号に付帯または関連する一切の業務
会社分割 平成16年10月1日静岡県湖西市境宿555番地パナソニックストレージバッテリー株式会社に分割
平成20年10月1日大阪府門真市大字門真1006番地パナソニック株式会社に合併し解散

●言わずと知れた大手電池メーカー。前商号は“大東金属工業株式会社”という企業名となっており、松下電池工業設立時に既存の休眠会社?を引き継いで創立されたと見られる。そのためか会社成立の年月日は昭和22年7月14日となっているが、松下電池工業に社名変更した昭和54年9月4日が真の設立年月日であろう。
○平成20年10月1日にご存知の通り、パナソニックに吸収合併され解散。現在はパナソニックの社内カンパニー“インダストリアルソリューションズ社”となっている(旧・エナジー社)。会社分割の履歴も残されており、平成16年10月1日に蓄電池事業をパナソニックストレージバッテリーに分割。現在はGSユアサ エナジーとなっている。