今は亡き“日本電気ホームエレクトロニクス”の単3マンガン電池。同社は親会社であった日本電気(NEC)のラジオ事業部が独立、“新日本電気”として設立され、1983年に同社名となった。社名は“日本電気ホームエレクトロニクス”であるが、公式には「NECホームエレクトロニクス」、「NEHE」、ユーザーの間では「NEC-HE」の略称も使われた。
ゲーム機などの不振で2000年に解散、事業は“NECライティング”や“NECディスプレイソリューションズ”などに受け継がれている。
電池が1本しか無いので、例の如く合成で。NECのマンガン電池には赤マンガン相当の“SUPER”と黒マンガン相当の“NEO SUPER”が存在、これは三洋電機とデュラセル・バッテリージャパンがマロリーブランドとして発売していたマンガン電池のブランド名と共通するが、両者がかつて提携関係(三洋デュラセル)であったことから、繋がりがあったと思われるが、NECに関しては同じブランドでも特に関係は無かったようである。
電池は当時主流であった補償付きのもので“2年補償”となっている。宛先は『日本電気ホームエレクトロニクス株式会社 電化事業部』。
電池本体にはJISマークがあり、「C8501 T-T」と記載されているため、この電池は東芝電池の高崎工場製(現・FDKトワイセル)であると思われる。
このJISマーク上には“NEC Home Electronics, Ltd.”と、日本電気ホームエレクトロニクスの英社名が書かれている。
プラス・マイナス側。プラス極の絶縁リングは「黒」。マイナス極は酸化して黒ずんでいて写真では見にくいかもしれないが、「89-05」と書いてあり、1989年5月製造と思われる。
NECホームエレクトロニクスの「セールス用カタログ“’91秋号”」より。カタログには電池も掲載されており、価格も記載されているため販売はされていたようである。ただ、発売されているのを見たことが無いため、シャープの「GI」や「GII」などと同じように実質付属品としてしか流通されていなかったというパターンかもしれません。
自分がこの電池を初めて見たのは1990年に発売された携帯ゲーム機“PCエンジンGT”に付属していた動作確認用の電池で、このゲーム機は当時珍しいTFTカラー液晶を採用、単3電池6本(9V)を使用し、アルカリ電池でも2~3時間程しか持たない電池喰いであった。
それ故、付属のマンガン電池では30分~1時間しか持たず、本当に動作確認用のモニター電池だった。