一次電池(特殊)」カテゴリーアーカイブ

特殊形状の一次電池を扱うカテゴリです。

マクセル 乾電池 写真ストロボ用 超高性能 BL-0160

BL-0160_1古~いマクセルの積層電池です。これはプロ用のストロボ(パワーパック)として用いられていた、写真用の積層電池で、同じような電池は本ブログでも富士通(Fujitsu)ブランドの“0210(315V)”と“0180(270V)”を紹介したことがあります
今回紹介するのは“BL-0160(0160)”という240Vの電池で、写真のような単品の他にこの電池を2つ並べた“0160W”と呼ばれる積層電池も存在していました。

 

BL-0160_2本ブログではこの電池に近い年代であると思われるマクセルの006Pを紹介したことがありますが、それでは表も裏も英語表記でした。しかし、このBL-0160では片面は英語表記もう片面は日本語表記になっています。
「マクセル乾電池」の“マクセル”ロゴが何とも時代を感じさせるもので良い感じがしますね。社名表記も“日立マクセル株式會社”となっていて、こちらも時代を感じさせます。

BL-0160_3端子部。こちらにも古い“マクセル”ロゴは健在。以前、本ブログで紹介した富士通の積層電池では「高電圧なので触れたり水をかけると危険」である旨が記載されていましたが、このマクセルの積層電池はそのような注意書きの表記はありません。

 

 

BL-0160_4側面。“MAXELL DRY BATTERY FOR STROBO FLASH GUN”と書いてあります。もう片面も同じデザインになっていて、注意書きなどの表記は一切ありません。生産国は“MADE IN JAPAN”で日本製です。
右下には“055”という印字が見えます。以前、本ブログで紹介した同年代のマクセル006Pと製造時期が同じだとするならば、1965年5月製造の電池だろうか。

BL-0160_5同年代と思われるマクセルの積層電池と並べてみました。左が“BL-015(22.5V)”で右が“006P(9V)”です。この頃のマクセルの乾電池はどれも同じデザインで統一されていて良かった印象がありますね。

 

 

BL-0160_6各種、パワーパック用の積層電池を並べてみた。左から本記事で紹介した“0160(240V)”、“0180(270V)”、“0210(315V)”。後は“0340(510V)”を入手すればコンプリートかな?
ちなみに型番はそのまま中に積層されている電池の数を表していて、今回紹介した“0160”では中に160個の電池が接続されており、240Vとなっています(1.5×160=240)。

 

★関連記事
MAXELL DRY BATTERY FOR TRANSISTOR RADIOS 006P 9V
→本記事で紹介した積層電池と同年代と思われる、マクセルの006Pを紹介した記事。

富士通写真用積層電池
→本記事で紹介した積層電池と同じ、プロ用のストロボ(パワーパック)の積層電池を紹介した記事。


Fujitsu(富士通) 4AA|6V FOR ELECTRONIC EQUIPMENTS

4AA_1かつてトランジスタラジオなどに用いられていた電池である“4AA”。これは内部で単3電池(AA)が4個入っている積層電池(組電池)となっています。
以前は各社がこのタイプの電池を発売していましたが、現在では電池4本を入れて4AA相当にできる電池ボックスが登場し、各社が生産中止になる中、松下(ナショナル)はこれを4AA電池ケース”と称し4AAの代替品として発売していました

そんな中で恐らく、日本で最後まで4AAサイズの電池を発売していたのはFDKで今回、同社の旧・“富士通”ブランド(以下、富士通ブランド)のものと現・“Fujitsu”ブランド(以下、Fujitsuブランド)のものを入手出来たので、比較を交えて紹介してみたいと思います。

4AA_2富士通ブランドの積層電池は箱物の電池がデザインで金属外装の電池がシルバーデザインでしたが、Fujitsuブランドになると全てグレーデザインのものに統一されています。その中で赤いラインが入っている電池が真空管ラジオ(B電池)用やトランジスタラジオ用などの積層電池で、黄色いラインが入っている電池が写真(フラッシュ)用の積層電池と用途により区別されています。

 

4AA_3側面。どちらともFDKの旧社名である“富士電気化学株式会社”の名義。記載の住所は同じもの(浜ゴムビル)ですが、富士通ブランドのものは東京03な電話番号なのに対し、Fujitsuブランドのものはフリーダイヤルのものに変わっています。
どちらもバーコードが印刷されており、富士通ブランドのものは8ケタのコードでFujitsuブランドのものは一般的な13ケタのコードになっています。ベンダーは8ケタのものは該当無し(廃止されたとみられる)、13ケタの方はFDK(4976680)でした。

4AA_4側面その2。富士通ブランドのものは“4AA|6V”という表記が大きいのに対し、Fujitsuブランドの方は小さく控えめに表示されています。どちらとも“Fuji Electrochemical Co.”と富士電気化学の英社名が記載、「MADE IN JAPAN」で両方共日本製です。なお、Fujitsuブランドの方は水銀0化されています。
ちなみに両者とも注意書きは不思議にも書かれていませんでした。

 

4AA_5底面。この面には製造日とみられる印字があり、富士通ブランドの方は「86-07(1986年7月)」、Fujitsuブランドの方は「99-04(1999年4月)」の印字があります。

 

 

4AA_6電池には“FOR ELECTRONIC EQUIPMENTS”、「電子機器用」と書かれていますが、具体的な用途が書かれておらず、トランジスタラジオ以外でこの電池がどのような機器に使われていたのかは不明です。


Panasonic BR-C Industrial Lithium

BR-C_1パナソニックのフッ化黒鉛リチウム電池“BR-C”。フッ化黒鉛リチウム電池(BR電池)は1976年に世界で初めて日本のパナソニック(当時は松下電器産業)が商品化したリチウム電池で、現在主流の二酸化マンガンリチウム電池(CR電池)が登場してからは日陰の立場になるものの、高温特性に優れ、長期信頼性に優れることから、10年定期交換のガスメーターやバックアップ用途など、組み込み用途として多く使われています。まさに縁の下の力持ちってやつですね。

なお、この“BR-C”は話題になった小惑星探査機「はやぶさ」にも、回収カプセルのビーコン発信用の電池として採用され、その性能はあのJAXAにもお墨付きをもらった程なのです。

BR-C_2大きさは単2電池と同サイズでパナソニックが製造している円筒型のフッ化黒鉛リチウム電池としては最も大きいサイズとなっています。単2電池と同サイズですがリチウム電池なので電圧は3V、容量は5000mAhの大容量です。
電池はアルカリ電池と比べるととても軽く、そこはさすが、リチウム電池といった感じです。

 

BR-C_3もちろん市販の単2電池ボックスにもピッタリです。普通、一般市販されている電池では普通の乾電池と同サイズの電池は売られていません。なぜなら、電圧の違う大きさの同じ電池は誤用の危険性があるためです。
その分、このような組み込み用の電池であれば、一般市場には流通しないですし、使える機器が限定されますから、このような同サイズの電池が製造可能なのですね。

BR-C_4電池の外観。電池には“Industrial Lithium(業務用リチウム)”や“Not for Retail Trade(小売不可)”と表記されており、組み込み用の電池であることがわかります。
大きい文字で「充電禁止[DO NOT RECHARGE]」と記載してあります。なお、リチウム電池は水に触れると発火のおそれがある金属・リチウムを使用しているため、表記の通り充電は発火・爆発の恐れがあり、普通の乾電池の充電以上に危険です。

BR-C_5注意書き部分。組み込み用の電池ですが、注意書きは健在で日本語と英語の2か国語で表示、組み込み用の電池であるためURマークもあります(UL規格認定品)。社名表記は“Panasonic Corporation”で日本製です。
なお、電池には『BR26505』という型番も併記されており、これは直径26mm高さ50.5mmのフッ化黒鉛リチウム電池であることを示す型番です。


National Hi-Top long life ガスライター用乾電池 VS08 12V

VS08_1長年電池コレクターをしているとありとあらゆる電池を見ているつもりではあるのですが、時々見たこともない電池が突然現れてびっくりすることがある。今回もそんな存在を全く知らなくて驚いた、積層電池“VS08”を紹介する。
これは12Vの積層電池で、型番の法則からして見ると以前本ブログで紹介した“RV08()”と同種か同時期に発売された電池ではないかと推測される。ちなみにRV08もナショナルの“Hi-Top”ブランドであった。

※:当時、電子ライター用として発売された12Vの積層電池。当時“Hi-Top”ブランドで発売されたのはマンガン電池であったが、現在はアルカリ電池として各社が「23A」という型番で、パナソニックが現在でも「LRV08」という型番で発売されている。

VS08_2電池の外観。電池は角型で金属外装。ナショナルの高性能乾電池(赤マンガン)のブランドであるハイトップ(Hi-Top)ブランドを使用。デザインはトランジスタラジオ用の外付け電池として発売されていたホーム電池(4D-D・6D-D)のデザインに似ている
ちなみにハイトップブランドは一般的な単1~単3・単5・006P以外にも前述した4D-D・6D-DやRV08、4AAなどの特殊電池にも用いられていました。

VS08_3電池の側面。片側には極性表示と「VS08 12V」の型番と電圧が、もう片側には『ガスライター用乾電池』の記載と「084」の印字がある。注意書きの表記は全く無い。
ガスライター用乾電池の記載や12Vの電圧であることから、RV08(LRV08/23A)と同じく、電池で点火する機能を備えた電子ライター向けに作られた電池であると推測されます。

 
この電池で驚かされるのはナショナルのロゴが既に“National”の小文字ロゴになっている点で、比較的新しいものであることだろう。松下(パナソニック)がこのロゴに変更したのが1973年で、電池本体の印字「084」と照らし合わせると1974年8月製造のものであろうか。不思議なのは過去この電池をカタログで全く見なかったこと。特殊用途の電池であったので、パナソニックお得意の特定ルート限定品だったのであろうか…。

VS08_4サイズ比較。左から、単4・VS08・LRV08・単5。単5よりも大きく、単4よりも小さい。

 

 

 

VS08_5もちろん、このサイズの電池は現在発売されていない。LRV08(23A)にサイズを補完するスペーサーの挿入で代用できる気がするけど、直径が若干大きめで電池ボックス自体に入らないと思われます。


NewMax LAYER BUILT BATTERY 22.5V

newmax_1東洋高砂乾電池(現・トーカン)の前身である“高砂工業”が展開していた『NewMax』ブランドの積層電池です。旧・高砂工業は“日本乾電池”ブランドを経て“NewMax(NEW MAX)”ブランドで電池を発売していました。
明治37(1904)年に創業された“日本乾電池製造会社”は屋井先蔵氏の“屋井乾電池”に次いで古い日本の電池メーカーで()、大正7(1918)年に高砂工業に吸収合併されています。その経緯から高砂工業が“日本乾電池”のブランド名を引き継いで使っていたようです。
※:参考文献による。ちなみにこの“日本乾電池製造会社”は電池工業会の参考元の資料においても、正式社名がはっきりしないようで、日本乾電池会社日本乾電池製造合資会社あるいは日本乾電池製造株式会社とも伝えられているようです。

このように東洋高砂乾電池は日本で2番目に古い電池メーカーの血を引く、伝統的な電池メーカーだったのですが、現在では電池事業から撤退、会社は現存していますがエスカレーターの手すりのゴムなどを製造するメーカーになっています。
ちなみに東洋高砂乾電池時代に展開されていた“LAMINA(ラミナ)”ブランドは同社のもう一つの前身である東洋乾電池が用いていたブランドであり、合併時に同社のブランドが引き継がれたという訳です。理由は不明ですが合併時の存続会社が高砂工業ではなく東洋乾電池だったからなのかもしれません。

newmax_2電池の外観。黄色と赤+青の帯が印象的なデザインですが、電池本体には型番が記載されていないというのが特筆すべき点でしょう。電池自体は015(BL-015)タイプの積層電池です。
電池上には“NDB”と書かれたマークが配置されており、よく見ると『NIPPON DRY BATTERY』と書いてあるので、この頃の電池においても“日本乾電池”のブランドも用いていたことがわかります。

 

newmax_3電池の側面。注意書きは無く、「HI-POWER FOR FOTO FLASH & HEARING AID」と用途らしき英文が記載されている。極性表示はプラスのみで、ハンコで押したようなものになっている。こちらにも日本乾電池を表す、「NIPPON DRY BATTERY」のロゴが記載されている。
製造コードらしきものが印字されており、「4G06」と記載。初めて見る4ケタのコードで全くもって意味不明です。

newmax_4外装は金属外装ではなく、樹脂外装の模様。プラス極は「」であるが、マイナス極は「」。普通マイナス極は「」であることが多いですが(写真左の東芝製を参照)、青は珍しい。
製造コードから製造日が読み取ることが出来ないので不明ですが、1970年代を通り越して1960年代の香りがする積層電池です。

 

【参考文献】
一般社団法人電池工業会
月刊機関紙「でんち」 平成21年2月1日号
“電池雑学(53) 日本の電池の始まり(3)”
電池工業会, 2009年2月, p5
月刊機関紙「でんち」 平成24年5月1日号
“電池雑学(91) 電池工業会史の人物伝(3)”
電池工業会, 2012年5月, p3


NATIONAL PHOTO FLASH AND ELECTRONIC EQUIPMENT 015 22.5V

national015_1カメラのフラッシュガンやテスターなどで使われた積層電池である“015”。以前、東芝のものを紹介したことがあるが、今回はナショナルのものを紹介する。
ナショナルのロゴは“NATIONAL”と大文字の古いものになっている。パナソニックのサイトによると、ナショナルのロゴが“NATIONAL”から“National”に変わったのが1973年であるようなので、少なくともその時期に作られた電池であることは確かであると思われる。

 

national015_2右は“National”ロゴの後期版。デザインはほぼ同じで、ロゴと下部の“英文Nマーク”が違う以外の違いは見られない。なお、この電池には日本語表記が全くなく、両面同一のデザインとなっている。

 

 

national015_3電池の側面も“NATIONAL”バージョンのものも“National”バージョンのものも変わりは無く、あるのはプラス・マイナスの極性表示のみであり、注意書きの表記は全く無い。ここまで素っ気ない電池もある意味珍しい。

 

 

national015_4マイナス極には「064」という刻印がある。“NATIONAL”ロゴが使われていたのが1973年までと仮定すると、丁度ロゴの変わり目であると思われる1974年6月製造なのではないか、と思われるが詳細の程は不明である。

 

 

national015_51990年夏号のカタログより。カタログでは90年代前半までは『ナショナル写真用乾電池』と書かれた、本記事の電池よりも古いデザインの電池が写真に掲載されていた。


ナショナル水銀電池 H-2O/h

H-2Oh_1今は亡きナショナルブランドの水銀電池です。今回紹介する水銀電池は“H-2O/h”という補聴器用のもので、今回入手したものは箱に2個入っていました。
写真は電池が2個入っている箱であり、電池そのものではありません。左が裏で右が表。柄は同じですが、表は“松下電器産業株式会社”表記になっているのに対し、裏は“Matsushita Electric”と英語表記になっていました。

 

H-2Oh_2ご覧のように箱を開けると電池が2個入っています。長年電池コレクターをしていますが、ブリスターパックではなく、このような小箱に入っている水銀電池は初めて見ました。
今回、このH-2O/hの2個入りを数箱入手したのですが、ほとんどのもので液漏れがあり、保存状態が相当悪かったのではないかと思われます。

 

H-2Oh_3中身はご覧のとおり、液漏れで外装ラベルがボロボロになっています。マイナス極は極めて綺麗に見えるのですがね(後述するが水銀電池は上部突起側がマイナス極である)。

 

 

H-2Oh_5ボロボロな電池では何なので、1987年夏号のカタログよりこの電池の正常(?)な写真を。1987年当時で1個480円であったようです。

 

 

 

H-2Oh_4注意書き部分。写真上が、
H-2O/h 2.7V
DO NOT DISPOSE OF IN FIRE
写真下が
火に投入・充電やショート
分解は危険です。絶対にしないで下さい。
と、記載してあります。

本体には「77-04」という印字があり、1977年4月製造の水銀電池であると推測されます。

H-2Oh_6電池の大きさは単5の電池とほぼ同じですが、電圧は2.7Vとほぼ倍の電圧を持っています。

 

 

 

H-2Oh_7プラス・マイナス側。これは水銀電池なので、左の平べったい側がプラス極で、右の突起側がマイナス極となります。

 

 

 

H-2Oh_8水銀電池で2.7Vという電圧はどう考えても単セルの電圧ではないので、構成電池なのではと思って分解してみたら、案の定2個の電池が直列で接続されていました。下側の電池は液漏れが少ないのに対し、上側の液漏れが激しいように見えます。
ちなみにこの電池は“H-O(MR01)”という水銀電池のようで、MR系の水銀電池は単セル1.35Vなので、2個で2.7Vとなります。型番は2個のH-Oであるので、H-2Oとなるようです。


VARTA PHOTO special V27PX・MERCURY・5.6V

V27PX_3前回の記事と同じく、今回もドイツの電池メーカーである“VARTA(ファルタ)”の電池を紹介する。前回は一般的なリチウム電池「CR123A」を紹介したが、今回は水銀電池である「V27PX」を紹介する。この電池は一部クラシックカメラに用いられていた水銀電池で、日本メーカーでこの電池を一般発売しているメーカーが存在しておらず、このVARTA製のものを輸入して発売していたようである。
このV27PXは別名“4NR43”・“PX27”と呼ばれ、RM41やNP41という名称であった、“NR43”を4つ接続した構成電池(組電池)である。公称電圧は5.6V。NR系の水銀電池は単セル1.4Vのため、1.4×4で5.6Vとなる。

 

V27PX_1パッケージ。この電池は随分前にカメラ店で売れ残っていたものを購入したと記憶している。下部には「V27PX・MERCURY・5.6V」と書いてあり、水銀電池であることがわかる。

 

 

V27PX_2パッケージ裏。バーコードは「40」から始まるドイツのコードで、ベンダーは“VARTA Consumer Batteries GmbH & Co. KGaA(4008496)”となっていた。現在、同社は“VARTA”ブランドの乾電池を発売するメーカーで、“Rayovac”ブランドの電池を発売するSpectrum Brandsの関連会社のようである()

 

※:VARTAのホームページ上には、
VARTA Consumer Batteries GmbH & CO. KGaA
– a company of the Spectrum Brands Inc., USA
と記載され、同社のホームページ右下においてもSpectrum Brandsへのリンクがある。

V27PX_4注意書き部分。
上2行がドイツ語
Nicht ins Feuer werfen!(火の中に捨てないで!)
Nicht wiederaufladbar!(充電しないで!)”
3行目が英語
May explode in fire! Not rechargeable!
4行目がフランス語
Ne pas jeter au feu! Non rechargeable!
前回の記事で紹介したリチウム電池と同じく、3カ国の注意書きが書かれていました。
水銀電池特有の特徴である、突起側がマイナス極で平たい側がプラス極(一般の乾電池とは逆)であることに注目。

電池には『MADE IN WEST GERMANY』と書いてあり、なんと旧・西ドイツ製です。ベルリンの壁が崩壊して旧・西ドイツと旧・東ドイツが統一したのは1990年なので、それ以前に作られた電池なのではないでしょうか。

V27PX_5前回紹介した“VARTA”ブランドのCR123Aと比較。CR123Aと比較するとV27PXの方が相当小さい電池であることがわかるだろう。

 

 

 
・追記(2014/1/25)
VARTACQ出版社別冊トランジスタ技術 ハードウェア・デザイン・シリーズ 電池活用ハンドブック(1992年初版)』に掲載されたVARTAの広告。CQ出版のトランジスタ技術関係の書籍は初版のみムック扱いになり、広告が掲載され、重版以降は書籍扱いとなり、広告が掲載されなくなることが多いが、この本も初版は各電池メーカーの広告が掲載されていた。
この広告においても“ファルタ”と掲載されていることがわかる。写真には自動車用のバッテリーも見えるが、かつて高級車であるベンツの純正バッテリーとして同社製のバッテリーを採用、自分がこのメーカーの名を初めて知ったのはバッテリーを見てのことだった。


Panasonic 電気ウキ・竿先ライト用 リチウム電池 BR-435/5B

BR435-5B_1釣り具店で見つけたピン型リチウム電池BR435”のお買得パック品。この5個入りのお買得パックはパナソニックのホームページカタログでは見られない製品で、特定ルート限定品であると考えられる。まぁ、特定ルートも何も釣り具店限定でしょうし、そもそも釣り具店でしか売れないでしょう。
通常のBR435の2個ブリスターパックが300円前後の価格なのに対し、この5個入りは500円と断然安く、ヘビーな夜釣りファンは必見かもしれない。

ちなみにパナソニックは電池だけではなく、電気ウキなどの釣り用品も発売していたが、現在は撤退。事業は山田電器工業に譲渡され、同社による“Hapyson”ブランドで発売を続行している。

BR435-5B_2パッケージ裏。パナソニックの電池事業は松下電池工業を経てパナソニックの社内カンパニー、“エナジー社”へ現在は“オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社)”となっているが、エナジー社時代は『パナソニック株式会社 エナジー社』の表記がある記載になっているが、AIS社になってからは『パナソニック株式会社』表記のみになっている。ちなみに、左のエナジー社表記のものと右のパナソニックのみ表記のものでは注意書きの字体(フォント)が異なっている。

バーコードのベンダーはパナソニック(4984824)。両者とも日本製。最近はパナソニックのCR123Aなどでインドネシア製に移行しているが、ピン型リチウム電池は日本が生み出し、世界で初めて実用化されたリチウム電池。この電池だけは日本製を貫き通して欲しいと思う。

★関連記事
ピン型リチウム電池
→本記事でも取り上げたピン型リチウム電池を紹介した記事。


AK 保安灯用3V乾電池 AK-3V

AK-3V_1前回のブログではFDKによる“Fujitsu”ブランドの道路標識灯用のマンガン電池を紹介しましたが、今回は韓国の電池メーカー“ロケット”による「AK」なるブランドの『保安灯用3V乾電池』を紹介します。しかし、この電池FDKは“道路標識灯用”、ロケットは“保安灯用”と名称が統一されていませんね。
前回FDKの「N480C」はホームセンターで購入時『3V棒電池』という商品名で売られていたので、今後このブログでは仮で「棒電池」と呼ぶこととします。

AK-3V_2裏側。FDK“N480C”と比較すると、注意書きがロケット“AK-3V”の方が細かく記載してあります。注意書きは日本語表記のみで、最初から日本市場向けに製造されているもののようです。下部には「マンガン乾電池」の記載もあります。大きさはN480Cと同じで、完全互換で使うことが出来ます。
デザインはFDKの「」に対する「」で、対照的なデザインです。

 

AK-3V_3会社名表記は「ROCKET ELECTRIC CO.,LTD.」でロケットの社名にはなっているが、韓国製ではなくタイ製です。これはロケットのタイ現地法人“ROCKET Thai”の製造で、同社のホームページ上でこの青いバージョンの他に2つの色違いの電池が掲載されている
ちなみに、現在均一ショップ“ダイソー”で出回っている「gigamax」および、ロケットの「MEGACELL」の単4マンガンのタイ製もこのROCKET Thaiによる製造である。

AK-3V_4ソケット部。ソケットそのものは同じ口金であるが、若干異なる構造となっている。FDK(N480C)の方は紙巻に直接印刷されているような構造となっていますが、ロケット(AK-3V)の方は紙巻の上にビニールが被せてあり、そのビニール上に印刷されている構造になっています(マンガン電池のビニール外装に似ている)。

 

AK-3V_5製造日の表記はFDKの刻印とは違い、印字してあるタイプ。印字が薄くて見えにくいが、「03 2003」という文字が見え、2003年3月製造のものと思われる。

 

 

AK-3V_6約10年経過している電池ではありますが、ソケットに電球を入れてみると今でも光ります。前回紹介した2003年2月製造で同時期、さらには保存環境も同じだったFDK“N480C”は光らなかったのを考えると、ロケット・タイ製の方が保存性が高いのかもしれない。