一次電池(特殊)」カテゴリーアーカイブ

特殊形状の一次電池を扱うカテゴリです。

Fujitsu 道路標識灯用乾電池 N480C 3V

N480C_1最近は普通の電池ばっかりを紹介しているので、たまには特殊電池でも紹介しましょうか。積層電池や大型電池など需要の低下から、特殊電池は続々と消えていく中、写真の電池は近くのホームセンターでもあるかもしれない、現在でも入手できる特殊電池の一つです。
この電池は工事現場などにおけるピカピカ光るポールに使われている大型電池です。ホームセンターでは電池売り場ではなく、カラーコーンやポールなど資材関係の売り場で売っていることが多い。

N480C_2上写真の裏側。今回ホームセンターで入手したものは、正規のバーコードの上から違うバーコードが貼り付けてあった。バーコードのベンダーを調べてみると、“株式会社カシワ(458013495)”という社名になっており、この電池の発売元はこのメーカーであるようである。
型番はN480C、公称電圧は3Vでマンガン電池です。もちろん“水銀0使用”。

 

N480C_4貼り付けてあったバーコードを剥がしてみたところ。もちろん、こちらのバーコードのベンダーは“FDK株式会社(4976680)”。

 

 

 

N480C_5底面に記載してある製造日と思われる表記。左側が今回入手したもので「13-07」と記載してあるので、2013年7月製造のものであろう。なので、現在でも製造しているのは確かでしょう。
一方、右側が以前入手したもので、「03-02」なので2003年2月製造のもの。約10年の開きがあります。

 

N480C_6新・旧比較。デザインはほぼ同じで変わっていませんが、『道路標識用乾電池』という文字の細さが違ったり、バーコードが付加されたりしています(バーコードが付いている側が2013年製造、付いていない側が2003年製造)。

 

 

N480C_7どちらとも中国製。富士電気化学時代のものは日本製のものも存在していたようであるが、10年前のもので既に中国製であったので、随分前から中国生産に移行していたのでしょう。

 

 

N480C_8この電池にはプラス・マイナス極が無く、電球のソケット(E10)となっている。通常はこのソケットに点滅球を差し込んで使用しますが、近年になり電球のソケットはそのままにLED式に進化しています。現在では逆に3Vの点滅球自体が入手困難になっています。
しかし、現在のものは更に進化、太陽電池による自己充電・点滅タイプになっており、この電池もそろそろ需要がなくなりヤバイ状態になる可能性があるかも。

N480C_9最後に単1電池2本との比較。単1と比べるとかなり大きいことがわかります。この電池の中には平3(FM-3)や平5(FM-5)の中に入っている大きい乾電池2本が直列接続されているのでは?と言われている。
それにしても、業務用途にしか使われないこんな電池にも“Fujitsu”ブランドを使うのはなんともFDKらしくて好感が持てます。

 

N480C_10この電池は現在(2013年)の富士通乾電池のカタログには掲載されていないが、2000年のカタログには記載されていた。“販売ルート限定品”と書かれており、価格が記載されていない。
写真の通り、今回取り上げた“N480C”の他に、“N401C”という小型タイプもあったようです。


Novel RADIO“B”BATTERY 160B

160B_1今日は富士電気化学(現・FDK)のノーベルブランドで発売されていた積層電池「160B」を紹介します。本体には「RADIO“B”BATTERY」と書いてあり、意味はそのまま真空管ラジオ用のB電池を指しています。価格はFujitsuブランドの頃のカタログでは2300円のようでした
ノーベルのロゴはこの間紹介したノーベルのアルカリ電池と同じロゴを使っています。

 

 

160B_2端子部分。端子は積層電池として一般的なスナップタイプ。90Vで感電するためテープを貼って保管していたので、モロその跡が付いています。ちなみにテスターで電圧を測ってみるも、完全放電しており、電圧はほぼゼロでした。

 

 

160B_3印刷は「94-08K」で1994年8月製造と思われます。右は以前紹介した旧・富士通ブランドのパワーパック用積層電池である“0180”。こちらは「92-02Y」。1992年2月製造でノーベルブランドの160Bよりも古いのです。
なので、当時のFDKの積層電池は全てが富士通(Fujitsu)ブランドであったわけではなく、一部がノーベルブランドの混在であったのでしょう。

160B_4電池の側面。もちろん、日本製。ノーベルではお馴染みの特許番号表記もあります。

 

 

 

★関連記事
富士通写真用積層電池
→今回、製造日の比較として紹介した“0180”を紹介している記事。


Fujitsu 2CR-1/3N

2cr13n_14LR44・4SR44互換サイズの6Vリチウム電池。かつて三洋電機とFDKのみが発売していましたが、いつの間にか発売中止になってしまいました。実はこの電池、FDKが組み込み用(OEM向)として生産を続行しています。写真は秋葉原の千石電商で購入したもので元がバルク品だったからか、自家包装しています。

ブログを見るに千石電商では今年(2013年)の2月に発売されたばかりの電池のようです。

2cr13n_2発売されていた当時のカタログ。この2CR-1/3Nは“CR-1/3N”という電池が2個直列になっている。CR-1/3Nはアルカリボタン電池LR44を縦に2個並べたような大きさのリチウム電池である。

現在、千石電商ではCR-1/3Nが500円、2CR-1/3Nが1000円であるが、当時のカタログを見る限りでは安くなっているといえる(それでも高いが)。

 

2cr13n_34SR44・4LR44との比較。ほぼ同サイズ。

 

 

 

2cr13n_4注意書き部分。
充電、ショート、分解、変形、加熱、火中に投入などしないこと。発熱、破裂の原因となる。
と書かれているだけのシンプルな注意書き。組み込み向けを想定しているのかURマーク付き。反対側の英語の注意書き部分にはWEEEマークもありました。

 

2cr13n_5プラス側の拡大。写真だと見えにくいかもしれないが、「13-02」と刻印されている。普通に考えると、2013年2月製造と推測されそうだが。

 

 

 

2cr13n_6電池のデザインは現在発売されている“Fujitsu”ブランドのカメラ用円筒型リチウム電池と同じデザインである。

しかし、一般市販されていない電池なのにも関わらず、NOVELブランドでなくFDKブランドでもなく、Fujitsuブランドなのはなにか意味があるのでしょうか。


塩化チオニルリチウム電池 その2

本ブログでは以前、“塩化チオニルリチウム電池”という電池を紹介したことがある。この電池はリチウム系一次電池では最も高い公称電圧3.6Vを持つ電池で、主に電子機器のメモリーバックアップなどに使われる電池である。詳しいことは前回の記事をご覧いただくとして、今回は現在製造している日立マクセル東芝ホームアプライアンス以外で以前製造していた日本メーカーの塩化チオニルリチウム電池を紹介する。

●三菱電機 ER6H(AA)

ER_1三菱電機の単3型塩化チオニルリチウム電池。組み込み用の電池のため、URマークがある。

 

 

 

 

ER_2裏側。「90-04(0)」の刻印がある。おそらく、1990年4月製造であることが推測される。「MITSUBISHI ELECTRIC CORPORATION」の社名表示の下に“T.T.K”と書いてあるので、東洋高砂乾電池(現・トーカン)製だろうか。

 

 

ER_3テスターで電圧測定をしてみると、3.68VでLEDを点けてみると、写真の様に直視できないほど明るく光った。約13年経過してもこの明るさとは。さすが、塩化チオニルリチウム電池です。

 

 

●ソニー EF3

ER_4自分も初めて見たソニーの塩化チオニルリチウム電池。しかも角型。もしかしてレア物?写真前側の“LITHIUM”表記の上には『LITHIUM THIONYL CHLORIDE BATTERY』と書いてあるが、これは英語で塩化チオニルリチウム電池を指す。

 

 

 

ER_5裏側。刻印は「93-11」。1993年11月製造と推測される。ソニー・エナジー・テック(現・ソニーエナジー・デバイス)製である。こちらも組み込み用の電池のためURマークがある。
型番も「ER」ではなく「EF」である。ERは塩化チオニルリチウム電池(E)の円筒型(R)を指すが、このソニーの電池は塩化チオニルリチウム電池(E)の平型(角型)(F)でEFとなるようである。

 

ER_6大きさは“1/2AA”と呼ばれるサイズの電池とほぼ同サイズ。上は秋月電子通商で売っている中国製1/2AAサイズの塩化チオニルリチウム電池。

 

 

ER_7電池ケースも秋月電子で買った1/2AAのものがピッタリ。こちらも測定してみると、3.68Vあったのですが、LEDを点灯させてみると、三菱よりも暗い感じがします。

それにしても、ソニーもこのタイプの電池を製造していたのですね。

 

★関連記事
塩化チオニルリチウム電池(ER電池)
→何故か本ブログのアクセス数3位の記事。塩化チオニルリチウム電池を本記事よりも詳しく紹介している。


555 Lighting Battery 発光電池

lightingbattery_1555”ブランドで知られる中国の電池メーカー、「GUANGZHOU TIGER HEAD BATTERY GROUP」のマンガン電池です。見た目はただの単1電池にしか見えませんがこの電池にはある機能が付いています。見出しでバレているかもしれませんが。

 

 

lightingbattery_3なんと、この電池、プラス極側にLEDライトを搭載。同じくプラス極側にあるスイッチを押すことで単独で懐中電灯になる乾電池なんです。こういうデザインのLEDライトだと、あくまでデザイン上電池の形を模したというのがありがちですが、これはちゃんと単1の乾電池としても機能する画期的な電池です。

 

lightingbattery_4暗闇で壁を照らしてみました。予想よりも明るいのは意外でした。実用としては十分でしょう。

 

 

 

lightingbattery_2電池の外観。今回自分が購入したのは迷彩デザインのタイプ。他にも様々な色がありましたが、今回はベーシックな緑迷彩を買ってみました。表に「555 Lighting Battery」のロゴと社名以外は記載されていない、大変シンプルなデザインです。裏を見ても迷彩だけで注意書きはありません。

 

lightingbattery_5専用のハードケースとストラップが付属。バッグとかにぶら下げられます。ただ、実際にぶら下げて格好いいと思われるか、ダサいと思われるかは疑問でしょうが、いかがなものでしょう?

 

 

lightingbattery_8電池本体に注意書きが無い代わりに取説が同封されています(写真クリックで拡大できます)。輸入元はハンファ・ジャパン(現・ハンファQセルズジャパン)です。目立つのは『特許製品につき、模造を禁止します』。ちなみにこの電池は中国製です。
この電池はコイズミ照明が主催する“コイズミ国際学生照明デザインコンペ”の第20回(2007年)に金賞を受賞した「照明電池」が元になっているようで、説明書にもこのコンペを意味する『KOIZUMI ILDC』のロゴが記載されています。

lightingbattery_7マイナス側。使用推奨期限は「09-2012」で既に期限切れ。この電池の欠点は2つある。1つ目は値段が高い。この電池は近所のスーパーで300円程であり、おいそれ2・3本買えない。これを買ったスーパーでもいつまでも残ってました。2つ目は使い捨て。普通のマンガン電池にLEDライトを付けただけの本電池は使ったらライトも捨てるというもったいないスタイル。アルカリ電池にしてくれ、とは言いませんが充電式電池でこのようなライト付き電池を売ったら売れるのではないでしょうか。

と、書いたところでメーカーのホームページを見てみたら、充電式の発光電池があるではないですか。1700mAhのようでUSBコネクタ内蔵のニッケル水素電池に比べると容量は大きく、1700mAhという表記が本当なら実用としても使えそうです。どこかのメーカーが輸入して発売してくれないかなぁ、これ。

ちなみにこの電池、カテゴリ分けに困った…。形は「一次電池(一般)」だけど、形態は「一次電池(特殊)」だよなぁ、と散々迷った結果、後者になりました。これは特殊電池です!

★関連記事
555 ALKALINE BATTERY
→本記事の発光電池を発売する「GUANGZHOU TIGER HEAD BATTERY GROUP」の単3アルカリ電池を紹介。


POLAROID POLAPULSE BATTERY

polapulse1今日は記念すべき100件目の投稿になります。という訳で今回はちょっと変わった電池を紹介しましょう。さて、この電池何に使われた電池でしょうか?表面には「POLAROID POLAPULSE BATTERY」と書いてあります。実はこれ、ポラロイドカメラのカートリッジフィルム内に内蔵されている電池なのです。ポラロイドカメラにはフラッシュが内蔵されており、その駆動用の電池をフィルムの中に内蔵しているのです。ポラロイドカメラのフィルムは値段が高いという印象を持たれた方もおられると思いますが、それはこの電池を内蔵していたせいもあるのです。

考え方としては以前紹介したコダックのディスクカメラのようにカメラの中に電池を内蔵するという手段もありますが、それだとカメラの中に入っている電池はいずれ電池が切れてしまう。そこでポラロイドはフィルムの中に電池を内蔵するという考え方で、フィルムを交換すれば電池も新しくなる。コストは上がりますが、アイデア的には素晴らしいと言えます。

polapulse2裏側。この電池はいわゆるペーパー電池と言われるもので、紙みたいに薄いのがこの電池の特徴です。この電池はマンガン電池内部で4セル接続されており6Vとなっています(こちらのブログで中身を分解されております)。表面には『汞 Mercury Free』と書いてあり、水銀無使用の電池だったりします。これはポラロイド600フィルムから抜き取ったものですが、自分はこの電池が内蔵しているのを知っていたので使い終わったポラロイドフィルムからいつもこの電池を抜き取っていました。

polapulse3最後は特殊電池恒例の電圧測定。電池自体には極性は記載されていませんが、写真の様に左側がプラス極、右側がマイナス極です。開放電圧は5.75Vでさすがに年数が経過しているので6Vには達していませんでした。ポラロイドフィルムは10枚撮りであり、10枚程度のフラッシュでこの電池が無くなる訳も無く捨てられていく悲惨な電池でした。アメリカでは取り出したこの電池を使うラジオやライトが存在していたようですが、入っていた電池を捨てるのはやはりもったいない気がしますね。


ピン型リチウム電池

pinrithium1夜釣りの電気ウキ用に作られた電池であるピン型リチウム電池。日本では松下電池工業(現・パナソニックAIS社)のみの製造・販売で、世界で初めて実用化されたリチウム電池であります。現在パナソニックが製造しているのはフッ化黒鉛リチウム電池(BR電池)のみですが、海外では二酸化マンガンリチウム電池(CR電池)もあり、パナソニックで製造していないサイズのものも製造されているようです。
※写真の物は「National」ブランドのものですが、現在は「Panasonic」ブランドでの発売となっています。

pinrithium2各種ピン型リチウム電池。上から「BR211」、「BR425」、「BR435」。現在でも売られているBR425とBR435は1976年発売で、写真上のBR211は1984年に追加発売された超小型のピン型リチウム電池。比較として置いた爪楊枝よりも小さい電池であることがわかるだろう。刻印も全くなく、一目見たら電池とはわからないのはないだろうか。現在では誤飲の原因となるためか生産中止となっている。


23A電池を集めてみた。

23A_15月最後の今日は単5形の12V積層電池「23A」を取り上げる。この電池は単5よりも細身の電池であり、中で小さな電池(ボタン電池)が直列で接続されており、12Vになっている。主にクルマのキーレスエントリーやテスター、昔の電池点火式のライターに用いられている電池である。今回は国内メーカー発売のものを中心に取り上げてみたい。

 

 

23A_7今回は国内メーカー発売のものを中心に取り上げるのだが、このタイプの電池を国内ではいつから発売していたのだろうか?

実は、既に1982年の松下電池工業の「電池総合カタログ」に“電池ライター用積層乾電池”の名で発売されていたことが記載されている。まだ当時はマンガン電池で型番は「RV08」という型番で発売されていた。パナソニックは今でもこのタイプのアルカリ電池を発売しているが、一般的な「23A」の型番を使わず「LRV08」という型番で売られているのはかつてこのマンガン電池を売っていたことの名残であったわけです。ちなみに、このマンガン電池のRV08は電池ライター用だっただけに販路が限られており、当時でも入手困難だったと思われます(当時、渋谷の東急ハンズでは売られていた)。

 

●パナソニック

23A_2まずはパナソニックから。前述した経緯から、同社では一般的な「23A」ではなく「LRV08」という型番を使う。型番は違うものの両者は同じ電池なので双方で使うことが可能です。写真上が初期デザインで下が現行のデザイン。初期のほうはかつてのパナソニックの海外版のアルカリ電池のデザインと同じです。

 

 

23A_3裏側。初期デザインのものが前面英語表記なのに対し、現行デザインのものは日本語でも表記してあります。パッケージも現在発売されているものは日本語表記ですが、かつて発売されていたものは英語版パッケージで売られていました。ちなみにどちらとも中国製です。

 

 

●富士通(FDK)

23A_4いつの間にか発売されていた富士通の23A。デザインは可も不可もない普通のデザイン。上記のパナソニックに比べるとあまり店頭では見られないのがこの富士通発売のものですね。こちらも中国製ですってか、パナソニックとプラス側の刻印が同じなので両方共OEM元は同じ??

 

 

●三菱

23A_5三菱のLR23A。ちなみにこれは日本未発売なので、どこに行っても入手できないので注意。こちらは三菱のかつて発売されていたアルカリ電池のデザインを模していてなかなかかっこいいデザイン。WEEEマークの「Hg」表記や中国語の『含汞電池減少使用』という表記から若干量の水銀を含有している模様。ちなみに、上記のパナソニック製もカタログでは性能確保のため微量の水銀を含有していると表明している。

 

●おまけ

23A_6日本以外のその他のメーカーの電池。左から「Goldenpower A23」、「Goldenpower ALKALINE SUPER P+US A23S」、「Vinnic 23A」、「CHENER ALKALINE」。Goldenpowerの電池はロゴマーク刷新でさらに新しいデザインになっているようです。

 

 

・追記(2014/4/19)
23A_8この記事、意外に反響が多いようで、何処かから分解しろという声が聞こえてきたような気がしたので、中身を開けてみました。
積層電池と言うと、このような中身を想像する人も多そうですが、この電池はボタン電池がそのまま直列に接続されているような構造になっています。

 

 

23A_9中身の電池を取り出してバラした様子。“LR932”という型番のアルカリボタン電池が8個入っています。このボタン電池は日本では発売されていないもので、もしこのボタン電池を使う機器があるとすれば、この電池から分解して入手するしか無いと思います。


NIHON KOHDEN Medipower HM-4N-NK

medipower1日本光電工業医療用水銀電池。電池自体はカメラ・ヤシカエレクトロ35などに用いられたHM-4N(4NR52)で型番は“HM-4N-NK”という別注?型番が付いている。HM-4Nという型番は主にナショナル(現・パナソニック)が用いていた型番でこの電池も松下電池工業(現・パナソニックAIS社)製造のものである。写真の電池にも『Manufactured by Matsushita Battery Industrial Co., Ltd.』という表記が見える。

 

medipower4今回はこの貴重な医療用水銀電池を未開封状態で入手した。写真のような5連パックになっている。水銀電池発売後期は1個入りのブリスターパッケージが一般的だったが、かつてはこのような5連パックで売られていた時期もあった。ちなみに1992年のカタログでHM-4Nの標準価格は820円なので、ここにあるだけで4100円相当の電池になります。

 

medipower5パッケージ表の拡大。ピンク色の個性的なデザインで水銀電池っぽく見えない。はっきりと「販売 日本光電工業株式会社」「製造 松下電池工業株式会社」と書いてあり、OEM元がはっきりわかります。ZB-311P・ZB-511P・ZB-521H・ZB-600Aという対応機器と思われる品番が書かれている。現在メーカーのホームページ上でこの型番の機器は見られないが、類似の型番を調べてみると医療機器にデータを送る為の送信機のものみたいです。

medipower6パッケージ裏の拡大。ここでようやく『この水銀電池は、ご使用後販売店に必ずお返しください。』という表記があり、水銀電池であることがわかる。製造日は1995年11月。水銀電池の製造中止が1995年末なので、発売中止直後に購入してそのままになってしまったというケースでしょうか。ちなみに、パッケージにはミシン目が付いていて1個づつ切り離せるようになっています。ってか、そうでないと不便ですよね。

medipower2電池の注意書き部分。プラス・マイナスの表記は当時の水銀電池でよく見られた矢印の表記。ちなみに水銀電池は一般電池とは違い、突起部分がマイナス平たい側がプラスである。今更水銀電池を使う人はいないとは思われるが、注意しておくといいだろう。

 

 

medipower8電池のプラスとマイナス側。この電池は水銀電池“NR52”が内部で4個接続されている構成電池となっている。そのためプラス側には「NR52」表記が見える。Panasonic表記。これを見る限りでは別段医療用にカスタムした電池ではなく、一般のものと同じみたいですね。マイナス側には「5C」の表記が見える。1995年11月製造なので、5は西暦末尾(1995)なのだろうが、Cはよくわからなかった。

 

medipower7最後は電圧測定。公称電圧が5.6Vだったにに対し、測定電圧はなんと5.89Vでまだまだ元気です。水銀電池は製造後持っても2年位という本の表記を見たことがあったので、この電圧は意外でした。


富士通写真用積層電池

fujisu_sekisou1プロ用ストロボの電源(パワーパック)として用いられていた写真用の積層電池です。積層電池は内部で小さな電池が直列に接続されていて、電圧が高いのが特徴なのですが、今回紹介する積層電池は写真左の“0210”で315V、右の“0180”で270Vと桁違いな高電圧が特徴です。

写真の0210が富士通ロゴが新しいものでグレーベース、0180が旧富士通ロゴでブルーベースのデザインになっています。

fujisu_sekisou8当時のFDK(富士通)積層電池のラインナップ。保存状態が悪く、汚いのは申し訳ない。0210が定価7000円、0180は6000円と記載してありますね。やはり、高電圧の積層電池。これくらいするのでしょうね。

この写真を見ればわかりますが、“Fujitsu”ロゴ時代の積層電池は写真用積層電池がグレーベースの黄色デザイン、その他の積層電池がグレーベースの赤色デザインと見た目でわかるようになっています。

 

fujisu_sekisou3側面。0180が富士電気化学名義のわかりにくいですが、1992年2月製造のもので、0210がFDK名義で2002年5月製造です。ちなみにこの電池はビニール袋が被されており、包装という意味ではなく不慮な感電を防ぐようになっており、機器のセットもこのビニールに入ったままで行います。

 

fujisu_sekisou4側面2。旧富士通ロゴのものは型番・電圧表記が大きいが、FDK時代にものは控えめになっている。両方共日本製。この電池の型番(数字)の意味はそのまま、中で接続されている電池の個数を表している。このブログの電卓で調べてみて下さい。

 

 

fujisu_sekisou5端子部。端子が出ていると感電するので内に引っ込んでいる。実際のストロボではこの部分に針のような端子が入り込むようになっているようです。『高電圧ですから端子に手を触れたり、水などをかけると危険です。』と書いてあります。他の電池ではあまり見られない注意書きです。

 

fujisu_sekisou60210の電圧を測定してみた。公称電圧が315Vで測定電圧が336Vありました。まだ元気そうです。ちなみに、0180も測定してみましたが、220Vしかありませんでした(公称電圧が270V)。測定中も電圧が下がっていったのでこちらは劣化が始まってそうです。