レトロ電池」カテゴリーアーカイブ

古いレトロ電池を扱うカテゴリです。
本ブログでは~1995年までの電池をレトロ電池と判別しています。

National ALKALINE BATTERY アルカリ乾電池 6AM6

6AM6_1今回は姉妹サイト“006P電池展示館”よりナショナルの古い6P形アルカリ電池を紹介します。
この電池は松下電器産業(現・パナソニック)初のアルカリ電池である“ナショナルマロリーアルカリ乾電池”に続く2代目のアルカリ電池で、黒いボディから一転全面シルバーボディのデザインになったのが特徴です。
写真の電池は左が表右が裏になっており、裏側は英語表記になっています。Nマークがまでも“National”になっていて細かいですね。

6AM6_3この電池、当時の業務用カタログには掲載されているものの、セールスマン用カタログには掲載されていませんでした。なので、一般販売向けでは無かった可能性もありえます。どちらにしろ、レアな電池であることには間違いないでしょう。
ちなみに、この電池の前モデルである“ナショナルマロリーアルカリ乾電池”では6P形は存在していなかったようでありますので、恐らくナショナル初の6P形アルカリ電池なのではないでしょうか。

 

6AM6_2側面です。プラス極側には型番が、マイナス極側には注意書きが記載されています。型番は“6AM6 9VOLTS”と書いてあり、電圧表示が変わっていますね。その下にカッコ書きされているのは他社互換品で“MN1604”がデュラセル(旧・マロリー)品番、“No.522”がエナジャイザー(旧・エバレディ)品番を表しています。
注意書きは日本語と英語での表記です。ちなみに、注意書きの全文を以下に掲載します。

<ご注意> この電池は充電式ではありません。
充電すると液もれ、破損するおそれがあります。
ショート・加熱すると液もれ、はれつのおそれがあります。
MAY EXPLODE OR LEAK IF RECHARGED
OR DISPOSED OF IN FIRE.

6AM6_4端子部。マイナス極は主にデュラセルなど、アメリカ製の電池でよく見られる「四角形」のスナップとなっています。ちなみに、この端子構造は現在、海外でOEM向けとして出回っているベルギー製のパナソニックアルカリ電池(6LR61XWA)でも見られます(写真右下)。
なお、端子部分のプラスチックは「」となっており、現行品のデュラセルのものともパナソニックのものとも異なっています。

6AM6_5底面。両者同じアルカリ電池なのですが、左の底板は金属なのに対し、右の底板はプラスチックとなっています。ちなみに製造日は写真ではプラスチックの方は見えにくいですが、金属の方は「81-05」でプラスチックの方は「82-06」と記載してありました。
さすが日本製の電池です。製造日から30年近く経過しているのにも関わらず、膨らみも液もれもありません。アメリカ製の6P形アルカリ電池は未使用でも液もれ・膨らみは普通ですからね。

しかし、1980年代初頭の6P形アルカリ電池って初めて見たような気がします。他メーカーでも見なかったような気がしますので、この分野でもパナソニックは先駆けだったのでしょうか。
今回は補足したいことがあったのでブログ上で紹介しましたが、姉妹サイト“006P電池展示館”に展示されている電池で取り上げて欲しい電池がありましたら教えて下さい。多くのリクエストがありましたら、紹介してみたいと思います。


Roland DRY BATTERY BR-2 [SUM-2(S)]

SUM-2(S)_1日本の電子楽器メーカーである“ローランド”のマンガン電池です。ローランドの乾電池は以前本ブログでもアルカリ電池の6P形を紹介したことがありますが、こちらが全面黒ベースのシブいデザインだったのに対し、こちらは一転しシルバーブルーの目立つデザインになっています。
以前紹介した6P形もそうでしたが、この電池でも“FOR MUSICAL INSTRUMENTS”と楽器用を主張しています。

 

SUM-2(S)_2注意書き部分。注意書きは日本語と英語の2ヶ国語表示。この電池は単2のマンガン電池で、表に“DRY BATTERY BR-2”という型番らしき記号も見られますが、こちらの面にも“SUM-2(S)”という別の型番も記載されています。
社名表記は液漏れ補償における送り先として“ローランド株式会社”が、英語表記で“ROLAND CORPORATION”の記載がありました。生産国は“MADE IN JAPAN”で日本製です。

JISマークが記載されており、“C8501 R14 FDK”の表示があることから、富士電気化学(現・FDK)製であると見られます。なお、注意書き全文は以下の通り。注意書きに対して、起こる症状が強調して表示されていますね。

<ご注意>この電池は充電式ではありません。
●充電すると<液もれ><破損>のおそれがあります。
●(+)(-)を正しく入れないと<はれつ>のきけんがあります。
●電源スイッチの切れ忘れは<液もれ>の原因になります。

SUM-2(S)_3電池は1980年頃から主流となった“液漏れ補償”付きのマンガン電池でこの電池は底面表示の製造年月から3年間となっています。当時の液漏れ補償付きマンガン電池は単1と単2が3年単3と単4が2年であることが多かったようです。
なお、液漏れした電池の送り先が大阪市住之江区の住所となっていますが、これはローランドの旧本社です。2005年に静岡県浜松市の細江工場内に移転、同工場は本社工場となっています。

SUM-2(S)_4プラス・マイナス側。マイナス極・底板の刻印は「85-04」となっており、1985年4月製造の電池であると思われます。プラス極の構造も一般的なもので、一時期の“FUJI NOVEL”ブランドやそのOEMで見られた金属製のキャップで覆われたものでもありません。

 

★関連記事
Roland 6LR61/9V ALKALINE Battery For Musical Instruments
→本ブログで紹介した電池の後に発売されることになる、同じくローランドの6P形アルカリ電池を紹介した記事。


SANYO FRESH RED SUM-2(FR)

SUM-2(FR)_1三洋電機(三洋電機照明設備)が1980年代初頭に発売していたと思われるマンガン電池です。年代的には、過去本ブログで紹介した“SANYO HI-RED”と“SANYO MALLORY SUPER”の間に位置していた電池であると思われます。
ブランド名は“FRESH RED”で名の通り、赤マンガン相当の電池であると思われます。恐らく、黒マンガン相当は“FRESH BLACK”でしょう。相変わらず、三洋のマンガン電池のブランド名は推測しやすいw。

SUM-2(FR)_2この“FRESH RED”、単2を4本入手したのですが、プラス極の特徴が違うものが混在していました。写真左の電池のJISマーク表記が『C8501 F.D.K. R14』となっており、写真右の電池は『C8501 M.D.B. R14』となっていましたので(表示部分の拡大)、左が富士電気化学(現・FDK)製で右が日立マクセル製であると思われます。そう言えば、以前紹介した“SANYO HI-RED”もこの2社製造が混在していました。

このJISマーク表示部分の英社名は“SANYO ELECTRIC CO.,LTD.”となっており、後述する液漏れ補償時の電池の送り先である“三洋電機照明設備”とは異なっています。

SUM-2(FR)_4電池の外観。表側は“SANYO”ロゴと注意書きが、裏側には液漏れ補償の条件が記されています。いずれの下部にも東芝キングパワーシリーズのギザギザ模様を意識したような、斜め線をモチーフにした模様があるのがこの電池の最大の特徴と言えます。
保証期間は電池底面の製造年月より3年間、送り先は当時の大阪府守口市に所在した“三洋電機照明設備株式会社”となっています。

当時の補償付きマンガン電池は単3以下が2年補償単1と単2は3年補償だったようで、この電池もこれに準じています。ちなみにこの電池の送り先である“三洋電機照明設備”は1977年3月に設立された三洋電機の関連会社で、三洋電機グループがスポンサーに付いていた“兼高かおる世界の旅”の中で放送されていたグループCMでもクレジットされていたことがあるようですが、それ以外は全く不明な会社です。三洋電機ではセールスマン用カタログ上でも電池と電池関連用品は“照明”のページにカテゴライズされており、それと関係ありそうな気はします。

注意書きの表示は以下の通りで、

<ご注意>●(+)(-)は正しく。
●この電池は充電式ではありません。
●器具を使わない時はスイッチを
かならずきってください。

器具を使わない時はスイッチを切れという、電池の注意というよりかは器具の立場に立った注意書きが何とも珍しいです。結果的にはスイッチを切らないと液漏れに繋がるということを考えれば正しいのでしょうが、このような注意書きは初めて見ました。

SUM-2(FR)_5この電池ならではの特徴があり、下部に使用開始日の記入欄があることです。“「1~12」月の「上旬」「中旬」「下旬」使用開始”のチェックがあり、チェック欄は小さいものですからレ点を付けるというよりはマジックで点を付ける程度のチェックしか出来ないと考えられます。

 

SUM-2(FR)_6電池のプラス・マイナス側。富士電気化学製と思われる写真左2本は「83-02」との記載があり、1983年2月製造の電池であることがわかりますが、日立マクセル製と思われる写真右2本は2本共電池の液漏れが酷く、マイナス極の底板をヤスリで削っても腐食が進みすぎてとうとう製造年月はわからずじまいでした。

 

ただ、この電池には謎が残ります。この電池の前モデルと思われる“SANYO HI-RED”の製造日が1980年10月製造でした。そしてこの電池の後継モデルと思われる“SANYO MALLORY SUPER”の製造日が1984年6月でした。それを踏まえると、この“SANYO FRESH RED”は少なくとも1981年~1983年という極めて短期間の発売時期となり、不自然です。
その上、“SANYO FRESH RED”が製造された1983年2月には既に三洋電機とデュラセルの合弁会社である“三洋デュラセル(現・FDK鳥取)”が現存していることです(同社は1982年3月設立)。そう考えると従来の三洋電機からの流れである“三洋電機照明設備”系の電池と新会社となる“三洋デュラセル”系の電池が同時に流通していた可能性もあるのではないでしょうか。

★関連記事
SANYO HI-RED SUM-3(H)
→本記事紹介“FRESH RED”の前モデルと思われる、赤マンガン相当の電池。富士電気化学製と日立マクセル製が混在しているという特徴が“FRESH RED”と同様。

SANYO MALLORY SUPER SUM-2(S)
→三洋電機とデュラセルの合弁会社である“三洋デュラセル”のマロリーブランドを冠したマンガン電池。こちらは東芝電池の佐久工場製で“FRESH RED”や“HI-RED”と製造元が異なる。


FUJI EXTRA LIFE 2600 NOVEL S-006P(N)

S-006P(N)_1電池メーカー“FDK”の前身“富士電気化学”が発売していたノーベルの9V形マンガン電池(006P)です。ブランドは“2600 NOVEL”で、2600は2000シリーズの9V形を表し、赤マンガン相当の電池であると思われます。
今回、同ブランドの電池で製造元が違うと思われる電池を発見しましたので紹介します。パッと見では端子部のプラスチックの色が違っており、左の電池が赤右の電池が黒になっていることがわかります。

本記事では便宜上、写真左の電池を「」、写真右の電池を「」と記載します。

S-006P(N)_2マイナス側の側面です。上が「」のもので、下が「」のものです。両者とも型番は“S-006P(N)”で生産国の表記も“Tokyo Japan Made in Japan”で同じですが、字体(フォントが)若干ながら異なっています。
また、社名表記は表面“FUJI”ロゴ上に“Fuji Electrochemical Co.”の表記があるためか、この面には記載されていません。

 

S-006P(N)_3今度はプラス側の側面です。同じく上が「」で、下が「」。「」の方は何の表記もありませんが、「」の方にはJISマークがあり、さらにノーベルブランドの電池でお馴染みだった特許番号の表記もありました。
JISマークには認定番号や略号の記載が無いので、どこで製造されているかは不明です。

 

S-006P(N)_4」の底面です。黒い厚紙のようなものの端に製造年月が記載されているのが特徴で、“C8501 F-D-K”の記載がある三洋電機“NEO SUPER”と同じ特徴でありますから、「」の方は富士電気化学自社製であることは間違いないと思われます。
ちなみに、“2600 NOVEL”は「80-12(1980年12月製造)」で、“NEO SUPER”は「90-12(1990年12月製造)」であり、ちょうど10年の空きがあります。偶然ですが凄い。

S-006P(N)_5問題は「」の方です。底面が錆びており、製造年月の表記が読めません。錆びているということは金属な底面ということであり、窪みの形状・大きさは松下電池工業製(写真右)に似ています。が、印字が確認出来ないため、確証は持てません。少なくとも富士電気化学自社製ではないことは確かであると思われます。
ちなみに端子側の赤色も“National Hi-Top”と同様でよく似ています

S-006P(N)_7」の方の製造日がわからないので、「」と混在であったかは不明ですが、10年後でも自社生産を続けているので、自社生産から他社生産に切り替えた可能性は極めて低く、混在であった可能性が高いと見られます。
なお、現行の“Fujitsu”ブランドの9V形マンガン・“3600”でも、パナソニック製と思われる中国製のロット(写真左)とGP製と思われる中国製のロット(写真右)が混在していた時期がありました(現在は概ね前者で落ち着いている模様)。


maxell “400” SUM-3(SG)

SUM-3(SG)_1日立マクセルがかつて発売していたマンガン電池である“maxell “400””です。この頃のマクセルのマンガン電池はFDK(富士通/Fujitsu)と同じく、ランクを数字で表現したものになっており、“100”が青マンガン相当“200”が赤マンガン相当、そして今回紹介する“400”が黒マンガン相当となっていました。
今回入手した”400″はちょっと残念な個体で、上部シルバー部分が腐食して黒ずんでいます。

 

SUM-3(SG)_2電池下。社名は最下部に表示されており、“Hitachi Maxell, Ltd. Made in Japan”と生産国も併記されています。
冒頭ではこの”400″の色を橙と表現しましたが、どちらかと言うとオレンジを更に薄くした様な感じの色となっており、人によっては黄土色にも見えるかもしれません。
デザインとしては上部はシルバー、下部はメイン色(“400″の場合は橙)と黒のシマシマ模様になっています。

SUM-3(SG)_3注意書き部分。JISマークはありますが、認定番号および略号が記載されておらず、製造工場は不明です。
興味深いのは“SUM-3(SG)”という型番で、SGと言ったらマクセルじゃなくて日立本体のマンガン電池ではないの?という点です。この点からこの時期に発売していたマクセルのマンガン電池(特に数字シリーズ?)は日立と型番を共有していた可能性が高いと思われます。

 

電池には“ALL-ROUND USE”と黒マンガン相当である故か、すべての用途に最適であることが書いてあります。注意書きは日本語と英語のみの記載で年代的にシンプルなものになっています。

[注意]はれつのきけんがあるので、充電をしないこと。(+)(-)を正しく入れること。
MAY EXPLODE IF CHARGED OR SET REVERSELY.

SUM-3(SG)_4プラス・マイナス側。プラス極及びマイナス極両方共に絶縁リングがあるタイプで、両方共「」となっています。
写真では見えにくいかもしれませんが、マイナス極の刻印は「79-02」となっており、1979年2月製造の電池であると思われます。個人的にこの年代のマクセルの電池は空白地帯であり、今回この電池を入手できたのは嬉しかった次第であります。

 

・追記(2016/7/14)
この電池はマクセル公式ツイッターにて、デラックスゴールド“300”タイプの後継として商品化された「塩化亜鉛形乾電池」がこの“400”タイプであるというツイートが残されていました。世界の先駆者的なマンガン電池だったということで、凄い電池だったんですねぇ。


SONY ULTRA SUPER S-006P(U)

S-006P(U)_1ソニーがかつて発売していた、6P(9V)サイズのマンガン電池である“ULTRA SUPER”です。写真では2つ並んでおり、違う電池であるように見えます。実は表と裏であり、カラーリングが逆転しているデザインになっています。
この頃のソニーの電池は相変わらずビジュアル重視で素晴らしいですねぇ。“Sony Chronicle”の新しいのが出るのであれば次は乾電池も掲載して欲しいなぁ…と思う今日この頃。最後は5年前なのでそろそろ出るかなと思うのですが。

S-006P(U)_2側面。正面デザインの都合上、片面が「」でもう片面が「シルバー」となっています。“DISTRIBUTED BY SONY-EVEREADY INC.”の表記があり、ソニーエバレディ時代の電池です。なお、日本語での社名表記はありません。
「黒」側には英語での注意書きが、「シルバー」側には日本語の注意書きがあります。時代が時代なのか、日本語での注意書きは少なめです。

上写真、「黒」側がちょっと見えにくいかもしれないので、注意書きも一応、書いておきます。
英語:“MAY EXPLODE OR LEAK IF RECHARGED OR IMPROPERLY INSTALLED
日本語:“ご注意●この電池は充電式ではありません。●「液もれ」のおそれがあるので(+)(-)は正しくいれること。

S-006P(U)_3今回紹介したこの2つの電池、底板の表記が異なっていました。
1つは印字タイプで年代はサビて見えませんが、ちょこっと見える「-02 M」の印字がナショナル(松下)製にそっくりな特徴です。
もう1つは刻印タイプで底板の突起の形状や製造日の字体が東芝電池製にそっくりな特徴です。こちらは「85-02」の印字が見えるので1985年2月製造の電池であることがわかりますね。
印字タイプの製造年が見えないのが本当に残念です。

S-006P(U)_4今度は上部から見てみました。注目してみたのが、端子部のプラスチックの違い?です。東芝似の方がつや消しのようになっているのに対し、松下似の方はつや有りになっている点が両者よく似ています。
その他、継ぎ目から見た端子の位置が一致しており、東芝似はマイナス極側に継ぎ目が付いていますが、松下似はプラス極側に継ぎ目が付いています。

その継ぎ目と端子の関係から、正面から見た端子の位置が逆になっていて、上の写真でソニーの電池は同じ「黒|シルバー」側を向けていますが、プラス・マイナスが逆を向いているのがわかると思います。そのため、本記事1枚目の写真では表裏なのにもかかわらず、端子が同じ向きを向いているという…。

S-006P(U)_5他に何か違いは無いのかな?と、電池をまじまじ見つめていたら、松下似の方「シルバー」側の下部に本当に小さい文字で“L”の記載がありました。これは何かの識別記号なのかな??
ちなみに今回、上記で比較対象だった「National NEO Hi-Top」は“MABI”の記載があったので、松下電池工業製と思われ、「TOSHIBA キングパワーU」には“T-T”の記載があったので、東芝電池の高崎工場製であると思われます。

S-006P(U)_6ソニーの“ULTRA SUPER(ウルトラスーパー)”ブランドのマンガン電池は1970年後期頃に発売していた黒マンガンであり、後に本ブログでも紹介したことのあるNEW ULTRA(ニューウルトラ)”ブランドに移行しますが、単5と006Pのみは“ULTRA SUPER”ブランドを使い続けていました
※:写真は『ソニー・アクセサリー集 NO.10』(昭和53年10月発行)より抜粋したものです。


National Hi-Top SUM-3(D)

SUM-3(D)_1今回も松下電器産業(現・パナソニック)のナショナルブランドによるマンガン電池“Hi-Top(ハイトップ)”を紹介します。
前回紹介したものは“NATIONAL”ロゴの1970年初頭のものでしたが、今回紹介するのは“National”ロゴの1970年後半のものです。ハイトップが登場した当時はマンガン電池に赤だとか黒だとかの概念はありませんでしたが、ネオハイトップが登場し黒マンガンが定着、この頃は既に赤マンガンが認知されている時代であります。

SUM-3(D)_2“National”ロゴのハイトップにはナショナルマーク(Nマーク)の左右に“long life”となっているバージョンもありますが、こちらの電池は既に表記が無くなっているものであり、1991年の“NEO(赤)”まで多少注意書きなどのデザインが変更されるものの、ハイトップは最後までこのデザインを貫きました。まさにロングライフデザイン言えるのではないでしょうか。

 

SUM-3(D)_3注意書き部分。“NATIONAL”ロゴのものには注意書きがありませんでしたが、この電池には注意書きが記載されています。
ご注意 はれつのおそれがあるので
(+)(-)は正しく入れ、充電はしないこと。
アルカリ乾電池などとまぜて使わないこと。
“アルカリ乾電池”という単語が、この頃アルカリ電池が普及し始めた時期であることを物語っていますね。

型番も“UM-3D”から“SUM-3(D)”へ変更、JISマークは記載されていますが、認定番号が省略されているのでどこで製造されているのかは不明であります。また、プラス・マイナスの記号もよりわかりやすいものに変化しています。

SUM-3(D)_4プラス・マイナス側。前回の“NATIONAL”ロゴのものと同様、プラス及びマイナス極両方共に絶縁リングがあり、両方共「」となっています。
マイナス極には「78-01 T」の刻印があり、1978年1月製造の電池であると思われます。

 

SUM-3(D)_5今回は今まで紹介したハイトップの単3電池を並べてみました(年代的に所々抜けがありますが)。
左:NATIONAL Hi-Top」(1969年9月頃製造)
中:National Hi-Top」(1978年1月製造)
右:National Hi-Top[ディズニーバージョン]」(1990年10月製造)

 

 

★関連記事
NATIONAL Hi-Top UM-3D
→本記事の前記事。1969年頃製造と思われる“NATIONAL”ロゴ時代のハイトップ単3を紹介した記事。


NATIONAL Hi-Top UM-3D

UM-3D_1松下電器産業(現・パナソニック)が発売していたマンガン電池である“Hi-Top(ハイトップ)”です。このハイトップは国産初の完全金属外装を実現した“ナショナルハイパー乾電池”の後継として1963年に発売したマンガン電池で同電池の2倍の寿命を実現し、大ヒットとなった電池です。
その後、1991年のマンガン電池無水銀化によりブランド再編が行われ“NEO(赤)”に変わるまで発売されていたロングセラー電池でありました。

 

UM-3D_2初代に当たる“NATIONAL”ロゴのハイトップにはナショナルマーク(Nマーク)の左右が“leak proof”となっている初期バージョンと、“long life”となっている後期バージョンがあります。
こちらの電池は“leak proof”となっていますから、初期バージョンであることがわかります。

 

UM-3D_3注意書き部分。と、言っても年代なのか注意書きの記載はありません。『\35.UM-3D』と価格および型番が表示されているのはこの年代ならではの電池と言える特徴でしょうか。
JISマークの認定番号は“690”となっているので、松下電器(当時)の辻堂工場で製造された電池のようです。この工場は1932年に岡田乾電池より譲り受けた工場で、2012年3月末に閉鎖されています()

UM-3D_4プラス・マイナス側。プラス及びマイナス極両方共に絶縁リングがあり、両方共「」となっています。電池の状態は非常に綺麗で、多少の膨らみがあり、缶の繋ぎ目が若干広がっていますが液もれは全くありませんでした。
マイナス極には「099」の刻印があり、“NATIONAL”から“National”に変わった年代を考慮すると1969年9月製造の電池なのではないかと思うのですが…。

UM-3D_5これは昭和45(1970)年9月当時のナショナル乾電池のラインナップです。本記事で紹介した“UM-3D”も掲載されており、価格も正価35円で一致しています。以前、本ブログで“UM-2”という“D”符号が無いハイトップを取り上げたことがありますが、恐らくは黒マンガン相当に当たるネオハイトップが登場し“N”符号が付けられたのに対し、旧来のハイトップには新たに“D”符号が付けられたのではないかと推測されます。従って、同符号が無いハイトップは最初期ロットなのではと思われます。

 

ちなみにこのカタログには超絶レアな“ナショナルマロリーアルカリ乾電池”の単5(AM5H)が写り込んでいます。当時発売されていた“トランジスタ用特単5(UM-5T)”が正価20円でアルカリが5倍に当たる正価100円ですから、実物は多分自分が生きてるうちに見れるか見れないかの電池じゃないかなぁw。

UM-3D_6ようやく初代“leak proof”表示のハイトップ単1から単3までが揃いました。“D”符号無しの最初期版まで集めるとなると大変そうな感じがしますが…。

 

 

 

【参考文献】
茅ヶ崎市
辻堂駅西口重点整備地区整備計画書【改訂版素案】
平成18年度~平成46年度

茅ヶ崎市, 2014年9月, p43

★関連記事
NATIONAL Hi-Top UM-1D/UM-2
→本記事と同じく“leak proof”表記の初代ハイトップの単1と単2を取り上げた記事。


National Hi-Top ディズニーバージョン SUM-3(DDB)

SUM-3(DDB)_11990年初頭頃のナショナル(松下電器産業、現・パナソニック)の乾電池には通常のラインナップに加え、ディズニーバージョンのキャラクター電池が発売されていましたが、その一つであると思われるディズニーバージョンの“National Hi-Top”です。
今回入手したものは単3で、をベースとしたボディでハイトップブランドですから赤マンガンであることがわかります。

 

SUM-3(DDB)_2電池の外観。表は赤をベースとし、上に黄色で“National Hi-Top”のブランド名とその下にはキャラクター(写真ではミニーマウス)がプリントされている。この電池は過去にも見たことがあり、その時はミッキーマウスであった記憶があるので、複数のデザインがあったのかもしれません。
注意書き部分にはディズニーの許諾マークがあり、型番は“SUM-3(DDB)”となっています。

JISマークには“C8501 JAPAN MABI”の表記があるので、松下(パナソニック)自社製の電池であると思われます。また、この時期のハイトップは液もれ補償対象の製品だったはずですが、その記載がありません。過去に三菱電機が発売した“うる星やつら”のキャラクター電池では電池本体に補償内容の記載はありませんが、補償対象の製品であることがパッケージに記載されていました。このハイトップも同じようなものなのかもしれませんね。

SUM-3(DDB)_3マイナス極。写真では見にくいかもしれませんが「90-10 T」の記載があり、1990年10月製造の電池であると思われます。プラス極の絶縁リングは1枚目の写真を見れば分かる通り、「」でこれは通常品のハイトップと同じ特徴なので中身は通常品と同じでしょう。


NATIONAL PHOTO FLASH AND ELECTRONIC EQUIPMENTS W10 15V

nationalw10_1 カメラのフラッシュガンに用いられた積層電池である“W10”です。以前、本ブログでは東芝のものを紹介したことがありますが、今回はナショナルのものを紹介します。
積層電池とは中で小さい電池が積み重ねられて高い電圧を実現した電池のこと。この“W10”も中に10個の小さい電池が積み重ねられ、15Vという高い電圧が実現しています。
型番の“W10”とは中で積み重ねられた電池の数である10個が由来となっています。

nationalw10_2ナショナルのロゴは“NATIONAL”の古いものになっています。パナソニックのサイトによると、ナショナルのロゴが“NATIONAL”から“National”に変わったのが1973年なので、少なくともその頃に作られた電池であると思われます。
写真左は以前本ブログで紹介した同年代に製造されたと思われる“015”で、同一のデザインになっており、両者とも注意書きなどの記載が全く書かれていないことも同じです。

nationalw10_3マイナス側。プラス側は“015”・“W10”共に「」でしたが、マイナス側は“015”が「」、“W10”が「」となっていました。
また、マイナス極には「042」の刻印がありました。以前の“015”の読み方と同じであれば、1972年4月製造であると思われますが、詳細は不明です。ちなみに“NATIONAL”ロゴの変わり目は1973年ですから、年代的には一致しています。

 

nationalw10_4ちなみにこの電池、ハードオフで税込108円で購入したナショナルのフラッシュガン“PB-3”の中に入っていました。年代的に考えても、当時のものがそのまま入っていたのではないかな?

 

 

 

nationalw10_5折りたたみ式の反射板(アンブレラ)を開いてみたところ。なかなか昭和レトロな感じがしてカッコいいですね。電池も無ければフラッシュバルブもありませんから、実際発光させるのは不可能に近いのですが。

 

 

nationalw10_6裏の電池蓋を開けてみたところです。本記事で紹介した電池である“W10”のとなりにはキャパシタ(電解コンデンサ)が入っています。積層電池のみでは内部抵抗が高く、直接フラッシュバルブを発光させる事ができないので、一旦電解コンデンサに充電して発光させる方式を使用していました。
また、電解コンデンサにも容量抜けによる寿命が存在していたので交換可能だったものが多かったようです。

nationalw10_7キャパシタ(電解コンデンサ)と積層電池を外してみたところ。この面には電池の入れ方の参考のためか電池の絵が書いてある紙が挿入されていました。
この絵のデザインは今回紹介した“W10”の1世代前のモデルでしょうか。『ナショナル 写真用乾電池』の記載があるものです。

 

nationalw10_8さらなるおまけ。真ん中においてあるのがフラッシュガンの中に入っていたキャパシタ(電解コンデンサ)。容量は170μF
大きさは単5電池(写真上)よりも細身で若干大きい様な印象です。ちなみに写真下は昨今のデジタルカメラなどに内蔵されているフラッシュ用の電解コンデンサです(330V 70μF)。

 

 
★関連記事
NATIONAL PHOTO FLASH AND ELECTRONIC EQUIPMENT 015 22.5V
→本記事で紹介した積層電池と同年代と思われる、ナショナルの“015”を紹介した記事。

TOSHIBA 乾電池 W10 15V
→本記事で紹介した積層電池“W10”で東芝ブランドのものを紹介した記事。推定1970年代のものと、1988年製造のものを比較して紹介。