SANYO FRESH RED SUM-2(FR)

SUM-2(FR)_1三洋電機(三洋電機照明設備)が1980年代初頭に発売していたと思われるマンガン電池です。年代的には、過去本ブログで紹介した“SANYO HI-RED”と“SANYO MALLORY SUPER”の間に位置していた電池であると思われます。
ブランド名は“FRESH RED”で名の通り、赤マンガン相当の電池であると思われます。恐らく、黒マンガン相当は“FRESH BLACK”でしょう。相変わらず、三洋のマンガン電池のブランド名は推測しやすいw。

SUM-2(FR)_2この“FRESH RED”、単2を4本入手したのですが、プラス極の特徴が違うものが混在していました。写真左の電池のJISマーク表記が『C8501 F.D.K. R14』となっており、写真右の電池は『C8501 M.D.B. R14』となっていましたので(表示部分の拡大)、左が富士電気化学(現・FDK)製で右が日立マクセル製であると思われます。そう言えば、以前紹介した“SANYO HI-RED”もこの2社製造が混在していました。

このJISマーク表示部分の英社名は“SANYO ELECTRIC CO.,LTD.”となっており、後述する液漏れ補償時の電池の送り先である“三洋電機照明設備”とは異なっています。

SUM-2(FR)_4電池の外観。表側は“SANYO”ロゴと注意書きが、裏側には液漏れ補償の条件が記されています。いずれの下部にも東芝キングパワーシリーズのギザギザ模様を意識したような、斜め線をモチーフにした模様があるのがこの電池の最大の特徴と言えます。
保証期間は電池底面の製造年月より3年間、送り先は当時の大阪府守口市に所在した“三洋電機照明設備株式会社”となっています。

当時の補償付きマンガン電池は単3以下が2年補償単1と単2は3年補償だったようで、この電池もこれに準じています。ちなみにこの電池の送り先である“三洋電機照明設備”は1977年3月に設立された三洋電機の関連会社で、三洋電機グループがスポンサーに付いていた“兼高かおる世界の旅”の中で放送されていたグループCMでもクレジットされていたことがあるようですが、それ以外は全く不明な会社です。三洋電機ではセールスマン用カタログ上でも電池と電池関連用品は“照明”のページにカテゴライズされており、それと関係ありそうな気はします。

注意書きの表示は以下の通りで、

<ご注意>●(+)(-)は正しく。
●この電池は充電式ではありません。
●器具を使わない時はスイッチを
かならずきってください。

器具を使わない時はスイッチを切れという、電池の注意というよりかは器具の立場に立った注意書きが何とも珍しいです。結果的にはスイッチを切らないと液漏れに繋がるということを考えれば正しいのでしょうが、このような注意書きは初めて見ました。

SUM-2(FR)_5この電池ならではの特徴があり、下部に使用開始日の記入欄があることです。“「1~12」月の「上旬」「中旬」「下旬」使用開始”のチェックがあり、チェック欄は小さいものですからレ点を付けるというよりはマジックで点を付ける程度のチェックしか出来ないと考えられます。

 

SUM-2(FR)_6電池のプラス・マイナス側。富士電気化学製と思われる写真左2本は「83-02」との記載があり、1983年2月製造の電池であることがわかりますが、日立マクセル製と思われる写真右2本は2本共電池の液漏れが酷く、マイナス極の底板をヤスリで削っても腐食が進みすぎてとうとう製造年月はわからずじまいでした。

 

ただ、この電池には謎が残ります。この電池の前モデルと思われる“SANYO HI-RED”の製造日が1980年10月製造でした。そしてこの電池の後継モデルと思われる“SANYO MALLORY SUPER”の製造日が1984年6月でした。それを踏まえると、この“SANYO FRESH RED”は少なくとも1981年~1983年という極めて短期間の発売時期となり、不自然です。
その上、“SANYO FRESH RED”が製造された1983年2月には既に三洋電機とデュラセルの合弁会社である“三洋デュラセル(現・FDK鳥取)”が現存していることです(同社は1982年3月設立)。そう考えると従来の三洋電機からの流れである“三洋電機照明設備”系の電池と新会社となる“三洋デュラセル”系の電池が同時に流通していた可能性もあるのではないでしょうか。

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SANYO HI-RED SUM-3(H)
→本記事紹介“FRESH RED”の前モデルと思われる、赤マンガン相当の電池。富士電気化学製と日立マクセル製が混在しているという特徴が“FRESH RED”と同様。

SANYO MALLORY SUPER SUM-2(S)
→三洋電機とデュラセルの合弁会社である“三洋デュラセル”のマロリーブランドを冠したマンガン電池。こちらは東芝電池の佐久工場製で“FRESH RED”や“HI-RED”と製造元が異なる。


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