SAFT LS26500 3.6V Li-SOCl2

フランスの電池メーカー“サフト(SAFT)”の塩化チオニルリチウム電池です。日本では馴染みのない電池メーカーですが、かつて日本電池(GS、現・GSユアサ)と合弁でジーエス・サフトを設立し、ニカド電池やニッケル水素電池を製造していたことがあります。
こちらは単2サイズ(Cサイズ)の比較的大型な塩化チオニルリチウム電池で、とあるデータロガーに使われている電池だそうです。この電池は一次電池であり、充電は出来ません。

なお、一般的に市販されているアルカリ電池やマンガン電池が1.5Vの電圧なのに対して、この塩化チオニルリチウム電池は倍以上の3.6Vとなっているため、普通の乾電池を使う機器で使うことは出来ません。最悪、機器が故障してしまう可能性があります。

電池の外観です。型番は“LS26500”。塩化チオニルリチウム電池は通称“ER電池”と呼ばれ、ERから始まる型番が付けられることが多いのですが、こちらはLSから始まる独自型番となっています。LSシリーズは高容量重視のモデルで、このLS26500は7.7Ah(7700mAh)の容量となっているようです。26500という数字は直径26mm高さ50mmの電池を示しています。
生産国は“Made in France”で自社製と思われるフランス製


今回、結構な本数を入手したのですが、1本だけ注意書きが異なっているものがありました。多くは英語とフランス語の2ヶ国語な注意書きなのですが、1本のみ英語だけの注意書きになっていました。一見、英語のみの注意書きが古いもののような印象を受けますが、今回は多くの電池を入手したこともありロット番号を見てみることにしました。
電池本体に印字されたロット番号は“08.350.H49”のような2・3・3の形式で記されたものになっています。その中で先頭の2桁は08や09、13などの表記が見られることから西暦の下2ケタを表しているものと推測できます。そこで各ロット番号を集計してみたのが以下の結果です。

07.241.A34:3本
07.278.038:4本
07.348.D45:4本
07.352.E49:1本
08.350.H49:1本
09.048.I07:1本
10.021.D02:1本
10.048.B06:3本
10.270.C37:6本
13.036.C01:7本
13.324.G44:1本

で、注意書きが異なっていたのがどれかと言うと、上記表中一番下の“13.324.G44”という一番新しいと思われるロット番号の電池でした。従って注意書きが英語だけなのは古いものなのでは無く、新しいものではないかということが判明したのです。

プラス・マイナス側です。プラスもマイナスもあまり見たことがない独自の形状です。プラス極は空気電池でも無いのに2つの穴が見えます。マイナスも3つの模様が見えますね。

 

 


外装を剥がしてみました。外装はビニール(PVC)外装となっています。電池にはロット番号“H01L4R L3 N”の印字の他に、Nと言う文字と二次元コードと思われるものもレーザー刻印されています。ちなみに電池本体のロットは13.036.C01です。


プラス極には緑色の絶縁リングらしきものが見えたので、引っこ抜いたらプラス極ごと抜けちゃいました…。後で絶縁リングとプラス極を分離してみると、プラス極から伸びたヒゲのような細い線が電池本体のプラス端子に接続されていました。


プラス端子の拡大。外装缶がマイナス極でしょうから、大分プラス極が近いですね。この状態で使ったら短絡しそうです。プラス端子の周りに見える白いものはガラスシールでしょう。塩化チオニルリチウム電池では塩化チオニルという電解液が液体のままで封入されています。そのため、ガス抜き穴などは設けない完全密封構造となっています。それが塩化チオニルリチウム電池が充電出来ない理由です。充電するとガスの逃げ場が無いため、最悪爆発を引き起こす可能性が高いです。

最後にマイナス部分の拡大です。マイナス極の底板が溶接で取り付けられているようです。マイナス極の模様は溶接の跡だったようですね。

 

 

★関連記事
Panasonic BR-C Industrial Lithium
→当電池と同じ、単2サイズのリチウム電池を紹介した記事。こちらはフッ化黒鉛リチウム電池。どちらも普通の単2乾電池とは電圧が異なっているため代用は出来ない点は注意が必要。

塩化チオニルリチウム電池(ER電池)
→当ブログで初めて塩化チオニルリチウム電池に触れた記事。この記事に記されていることは当電池にも通じることなので、併せて読んでみるといいかもしれないです。

塩化チオニルリチウム電池 その2
→当ブログで塩化チオニルリチウム電池に触れた記事の続編。三菱電機とソニーの塩化チオニルリチウム電池を紹介している。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です