Fujitsu 7300 アルカリ乾電池 単3形 LR6(F)

かつて、富士電気化学(現・FDK)が主力アルカリ電池として発売していた“7000シリーズ”の単3です(7300)。現在FDKのアルカリ電池は用途に応じた3つのブランドをラインナップしていますが、この電池を発売していた1990年代はアルカリ電池と言えばこの“7000シリーズ”と、音楽向けアルカリ電池“WAVE(ウェイブ)シリーズ”を展開していたようであります。
ちなみに今回紹介するこの電池、液漏れしており色ムラが凄いことになっています。

電池の注意書き部分です。この電池、アルカリ電池としては珍しい液漏れ補償が付与されています。富士電気化学は1987年10月にアルカリ電池で液漏れ補償を付けて発売、同業他社はマンガン電池に液漏れ補償を付けて発売していましたが、アルカリ電池は富士電気化学のみであったと記憶しています。期間は不明ですが、マンガン電池と同じく使用推奨期限の表示が開始される1993年頃まで行われていたと思われます。

補償条件の全文は以下の通りです。社名表記は現・FDKの旧社名である“富士電気化学株式会社”となっており、住所も現本社の前に当たる浜ゴムビルのものになっています。


●正しくご使用いただいたにもかかわらず、この電池の液も
れにより使用している機器に損傷が生じた場合、電池と一緒
に下記へお送りください。修理または相当品と交換いたしま
す。補償有効期限 製造後2年 TEL(03)434-1271
富士電気化学株式会社  〒105 東京都港区新橋5-36-11

次に注意書きの全文です。90年代の電池とは言え、アルカリ電池だからか分量はちょっと多めになっていますね。

ご注意:この電池は充電式ではありません。充電すると液もれ、破損
のおそれがあります。 ●+-は正しく入れてください。 ●未使用の電
池と使用した電池、他の種類の電池とまぜて使ったり、ショート、分
解、火に投入、加熱しないでください。 ●機器の使用後はスイッチを
切り、使い切った電池は取り出してください。

電池の形名表記部分にはJISマークの記載があります。“C8511 380130”の記載があるため、現・FDK鷲津工場製であることがわかりますね。認定番号のみで略号(FDKなど)の記載はありません。このデザインのアルカリ電池は後継の新デザインになっても、100円均一ショップなどで廉価版のアルカリ電池として発売されていました。位置付けは変わっても同じデザインの電池が長年に渡り発売していたことになります。

プラス・マイナス側です。写真左側の電池が特に液漏れしています。マイナス極の絶縁リングは「」。マイナス極底板には「90-03」と刻印されており、1990年3月製造の電池となります。保証期間はこの製造日から計算する方式となっており、補償条件には『補償有効期限 製造後2年』とありましたから、この電池では2年後の1992年3月までが補償期間となります。

 

折角なので、廃棄する前に外装ラベルを剥がしてみました。ちょっと昔な富士電気化学時代のアルカリ電池にも興味があったので…。外装缶には特にロット番号の印字や刻印などは見られませんでした。現在のFDK製造のアルカリ電池ではロット番号の印字があったり無かったりするので、単純に記載の無いロットに当たってしまったのかもしれませんが。

 

最後に絶縁リングの拡大です。黒い絶縁リングで、真円では無く切り欠きが付いているものです。特に数字やアルファベットの刻印などは見られませんでした。
なお、マイナス極のガス抜き穴ですが、現在の4つ穴タイプとは異なる2つ穴タイプ(リンク先は液漏れしてますので閲覧注意)となっていました。底板も現在のザラザラなものとは異なって、比較的ツルツルなものになっていますね。


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