“HUALI”なる謎ブランドのマンガン電池。“JIAILING BATTERY FACTORY”という製造元らしき表記が見えますが、例の如くWeb上で検索してもヒットせず。表記のサイズは「R20」なので単1です。
この写真を見ても分かる通り、プラス極はプラスチックというか樹脂製です。構造は2~30年前の日本メーカーの電池のようですね。
この電池はリサイクルショップで入手したLED懐中電灯に付属品として付いてきたもの。こういったショボイ電池はこのような安物の懐中電灯やスーパーで売られている子供向けのおもちゃだとかに付属していることが多いです。
付属の電池目的で買った懐中電灯やおもちゃが増え続けるのも、これまた電池コレクターの宿命です。ちなみに今回購入したのは3灯タイプのLED懐中電灯で普通に使えました。
電池の側面。特に注意書きや製造元の表記は無く、小さいプラス・マイナスの表記と“ART.NO.821”という謎の番号が記されているのみです。
デザインは赤をベースとし、下部に黒いシマシマが配置されたもの。過去にこれに似た日本メーカー製の電池を見たことがあるような気がしますが気のせいでしょう。たぶんねw。
プラス・マイナス側。プラス極は冒頭にも書いた通り、プラスチック(樹脂)製。“BATTERY TYPE R20”という文字が刻印されています。マイナス極は亜鉛缶剥き出しタイプではなく、一応、底板付きです。
マイナス極の底板には「2008-04」という刻印が見えます。本体に表記が無いので、これが製造日か使用推奨期限の表記がどうかは不明ですが、後にある理由からこの刻印の意味がわかってしまいます。
ところでこの電池。表面をよく見ると、外装の向こう側に別の模様が見えています。こういう電池を見るとなんだかワクワクするぞw。
と、言うわけで、電池の外装を剥いでみたら、やはり別の色・絵柄の電池が出てきました!
この光景を見ていると電池が脱皮しているように見えなくもない。
外装を剥いで出てきた電池がこの“夜明(R)”なるブランドの電池でした。片面は中国語表記で、もう片面は英語表記で“yeming”というブランド名の英語表記らしきロゴもあります。“SHANTOU DIANCHICHANG”という製造元らしき表示もありますが、こちらもWeb上で検索してもヒットはしませんでした。
デザインはなんとも中国製と言った感じのもので、電池マニアにはたまらないデザインです。まるで現代の電池とは思えません。
電池の側面。注意書きの表記は相変わらずありませんが、『補償期一年 生産日期見底部』と書かれてあります。これは保証期限1年で底部に製造日が書いてあるという意味であるようですから、マイナス極の刻印は製造日の表記であったようですね。
電池記載の記号は“R20S”なので、緑マンガン相当であると思われます。表面の英語表記部分には“低汞”と書かれていました。これは水銀は入ってるけど少ないよってことでしょうか。
外観は紙巻ですが、外側がビニールでラミネート加工が施してあります。以前本ブログで紹介した1965年製?の“HITACHI LONG LIFE BATTERY”に似たような外装です(底板付きなのも共通する)。40年以上も前の日本クオリティの電池が2000年代に作られていたというのが凄いなぁ。
“HUALI”とその中から出てきた“夜明(R)”を並べてみました。やはり懐中電灯に付属する電池としては夜明の電池ではデザイン的に相応しくないので、HUALIの皮を被せて供給したのでしょうか…。
個人的には日本メーカーのデザインをパクったっぽいHUALIよりも、中国らしい夜明のデザインの方が好きですね。個性的過ぎますがw。
“SHANTOU DIANCHICHANG”をGoogle MAPで調べたら”汕頭電池廠”の文字が・・・
社名表記は簡体字で、ローマ字は読みそのままなのでしょう。
というかローマ字は全て読みというオチ(ようは英訳ではない)かも。
いつもコメントありがとうございます。
恐らく、ブランド名の英語表記の“yeming”も英語表記などではなく、
ご指摘通り、中国語読みをそのまま(というか無理矢理?)英語表記にしたものなのでしょうね。
一瞬、HUATAIと誤読してしまいました。http://en.huataibattery.com/
マイナス極の作りは上海白象電池と似ていますね。
こちらの電池も1960年代に国内で見られた形状の電池でした。
中国で使われているライン、もしかして国内メーカーが使用していたラインを中国に払い下げて、
今でも使っている、みたいな感じでしょうか。あくまでも推測ですが。
低汞は確か水銀の含有率が0.025%以下という意味だったと思います。
いくら中国でも水銀汚染防止(手遅れの気が…)で水銀含有率が0.025%以上の電池は販売できないと
聞いたことがあります。
コメントありがとうございます。
国内メーカーが使っていたラインを中国に払い下げて使っている…、と言うのはありえるかもしれませんね。以前NHKスペシャルかなんかで見た、日本で使っていた工業用ミシンがみんなベトナムに流れているという話を思い出しました。
一応、中国でも水銀の使用規制はしてるのですね。それでも“水銀ゼロ”に出来ないあたりがなんとも中国らしいな、と思いますが。
楽しく読ませていただきました。
「夜明」ブランドの電池および「汕頭電池廠」については、こちらに参考となる情報があります。
http://www.chiuchow.org.hk/wp-content/uploads/2018/02/2014112464733513.pdf#search=%27%E6%B1%95%E9%A0%AD%E9%9B%BB%E6%B1%A0%E5%BB%A0%27
なお、“yeming”は中国語の「夜明」の読み方をローマ字表記したものです(ピンインといいます)。日本語での表記は「イエミン」です。
この電池と表記に関して結構気になっている点でありましたので、大変参考になりました。
ありがとうございます。
汕頭電池廠と夜明ブランドについて記載されているページがあります。
https://industrialhistoryhk.org/from-chaoan-to-hk-kai-it-battery-factory-%E8%93%8B%E4%B8%80%E9%9B%BB%E6%B1%A0%E5%BB%A0/
以下、Google翻訳を通した文章からの要約です。(住所については「広東州」を要約時に追記)
・1926年に広東州潮州市潮安区で蓋一電池廠(Kai It Battery Factory)設立
・1937年までには夜明ブランドの電池が発売されており、潮州地域で非常に人気があった。
価格はEvereadyの3分の1。
・1938年に日本軍が広東省に侵入したため香港に移転。このとき熟練労働者を連れて行き九龍に工場を設立。
・戦後、潮安の工場が再開。
1948年に本土の生産は広東省汕頭市に移転、その後1955年に公営企業化、1966年に国営の汕頭電池廠になる
・一方香港側の蓋一電池廠は本土とは別に発展。1960年会社設立(法人化?)、1991年解散
(解散の情報はこちら https://www.hkgbusiness.com/en/company/Kai-It-Battery-Factory-Limited)
ちなみに、baiduのストリートビュー的なサービスで汕頭電池廠の所在地(跡?)を見ると「夜明」のロゴを見れます。
https://j.map.baidu.com/a5/k7K
これまたありがとうございます。大変に歴史のある電池メーカーだったのですね。個人的に気になっていた“FLYING BOMB”ブランドの乾電池もこのメーカー製だったということを知って大変スッキリしました。
旧所在地の写真?も拝見しました。しっかりと“夜明”の看板が残されていますね…。