HITACHI LONG LIFE BATTERY SIZE D UM-1(H)

UM-1(H)_1日立の古いマンガン電池です。年代は後ほど分析しますが、1960年~1970年までに発売された電池であると思われます。白ベースに赤三角のデザインはとても印象的でとてもモダンな印象を受けるデザインです。“HITACHI”の旧ロゴもその印象を際立たせています。

 

 

UM-1(H)_2電池の外観。表側は白+赤三角なのに対して、裏側は白+黒三角のデザインで対照的なものになっているのが特徴です。これまた素晴らしいデザインです。注意書きは一切記載されていません。

 

 

UM-1(H)_3この電池は紙巻なのですが、ただの紙ではなく紙の上にビニールが加工された構造になっています。隣に置いたノーベルの紙巻と比較してみると、電池の表面がツヤだっているのがわかるかな?
電池の裏側には「POLYLAMINATE JACKET(ポリラミネートジャケット)」と書いてあるが、これはこの特殊な紙巻外装のことを表すと思われる。このような外装にしたのは耐漏液性を高めるためなのだろう。

 

UM-1(H)_4JISマーク表記。「JIS C8501 NO.7987 MDB」と記載してあることから、日立マクセル製である。認定番号から大阪府茨木市丑寅の工場で作られたと思われ、もちろん日本製である。
これは日立ブランドのものであったが、マクセルのものにも、この特殊な紙巻外装(ポリラミネートジャケット)のものが存在したのだろうか?あったのならぜひ見てみたいですね…。

 

UM-1(H)_5この年代の電池にしては珍しい補償(GUARANTEE)付きの電池です。英文で「IF THIS BATTERY DAMAGES YOUR FLASHLIGHT, SEND BOTH TO OUR COMPANY, WE WILL REPAIR OR REPLACE FREE OF CHARGE.」と記載してあります。大まかに要約してみると「この電池があなたの懐中電灯に損傷を与えた場合、弊社に両方を送って下さい。無料で交換または修理致します。」というところでしょうか。

注意書きをも割いてまで、この保証の一文を入れるとは相当の自信があったのでしょう。これは現在発売されている日立マクセルの「ボルテージ」にも通ずる物がありますね。

UM-1(H)_6プラス・マイナス側。プラス極のキャップはプラスチックのものではなく、黒い金属です。マイナス極は紙巻電池にありがちな亜鉛缶が直接露出しているものではなく、底板付きです。液漏れもほぼ見られず、構造的に見ても、かなり高クオリティーのものであることが伺えます。
底板の刻印は「065」と記載。推測すると1965年か1975年の6月製造の電池であると思われる。

 

UM-1(H)_7それではこの電池の製造年についてを掘り下げてみましょうか。写真はシャープのレトロ電池の記事の時にお世話になった、学研の歴史群像シリーズ「図解 誰かに話したくなる社名・ロゴマークの秘密II」という本。日立はロゴに関する資料が無いのか、この電池の社名表記部分にも用いられている、欧文ロゴタイプのものが昭和35(1960)年から使われたということが掲載されているのみで、間がバッサリ抜けていきなり、現行の“Inspire the Next”のロゴのものが掲載されている。

現在でも日立の社章として使われている「日立マーク」は記載されていますが、肝心のこの電池に用いられている“HITACHI”ロゴがありません。

UM-1(H)_8同じく、学研の「学習ずかん百科6 じっけん・かんさつ」という本ではこの記事で紹介したデザインと同じ電池が用いられています。しかし“HITACHI”ロゴは本記事で紹介したものよりも新しいものになっています。この本の発行日が1970年なので、本記事の電池はそれ以前に製造されたということが言えるでしょう。

 

もう一つの手がかりが本家・電池コレクションのサイト内、「私宛てにご連絡頂いた乾電池」というコーナーの最後に掲載されている、日立乾電池の袋でしょう。解像度が小さく見えにくいですが、本記事で紹介した電池のデザインに近く、“HITACHI”ロゴも近いように見えます。この袋には「1964 TOKYO」と年代が書いてあり、以上を踏まえると今回紹介した電池は1965年に製造されたものではないのかな?と推測されます。

UM-1(H)_9おまけ。今回紹介した電池と同年代と思われる、日立のオープンリールテープ。やはり“HITACHI”ロゴが古いものになっています。テープも電池も英文字体も同じで、似通ったイメージに見えますね。
日立は“Inspire the Next”なんてカッコつけをするよりもこのロゴに戻るべきですねw。ムリでしょうけど。


HITACHI LONG LIFE BATTERY SIZE D UM-1(H)」への5件のフィードバック

  1. 某茶葉生産地市民

    日立の昔の欧文ロゴははじめて見たかな?
    祖母の家の電化製品が日立中心だったのですが、さすがにこの記事の電池のロゴの記憶はありませんでした。
    (蛍光灯も昔はでっかくあの亀の子マークが印字されていて、東芝の傘マーク以上に怖いものです 三菱も同じような感じでスリーダイヤが印字されていましたが、やはり亀の子の方が怖い でっかい亀の子マークつきは祖母の家に未だに器具に付いたまま残っていると思います)

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    1. みはりん 投稿作成者

      自分は日立マークはそういうものだと捉えていたせいもあるのかもしれませんが、別段怖いものと思ったことはありませんでした。
      ちなみにこの「日立マーク」ですが、本によると、日立製作所の創業者である小平浪平が考案したもので、由来としては「日」という字と「立」という字を同心円的に重ねあわせたもので、外側を囲む円の上下左右の突起は太陽の後光を表現、「日立」は創業の地名であると同時に、「日(太陽)と共に立つ」という創業の意志を示しているマークなのだそうです。

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  2. 雪兎

    日立の欧文ロゴなのですが、1960年からということですが、1955年製の試作交流電気機関車・ED441にこの欧文ロゴの銘板がついていたはずです。しかし、国鉄がこのしゃれたロゴを問題視したらしく、銘板の規定が出来てしまって、この機関車も漢字表記の銘板に交換されたという曰くがあったと記憶しています。

    他にも同時期日立が手がけた鉄道車両のカタログにもこのロゴが見られます。

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  3. まさまさ

    今使われている日立ロゴは、1965年に制定されたロゴを、1995にリファインしたものです。(線の太さ、間隔、縦横比など〉お手持ちの電池のロゴは、1959年から1966年にかけて使われたものですね。
    1967年に扇風機を買ったら、不自然な新ロゴシールがはられていたのて剥がしたらこの旧ロゴがでてきた。

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    1. みは 投稿作成者

      コメントありがとうございます。
      新ロゴのシールを剥がしたら、旧ロゴが現れると言うのはとてもレアそうでいい感じですね。

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