某オークションで入手したニカド電池8本と充電器セット。これは現在でも有名な玩具メーカー“バンダイ”が発売していた「ラジオトロン」というラジコンのシリーズのオプション品である充電器セットのようです。
自分はラジオトロンという名称はもちろん、バンダイがラジコンを発売していた事自体が初耳でネット上で検索しても全く出てこなかったので、それほどマイナーな存在であったのでしょう。
パッケージ上に残された値札には“5000円”の表示が…。当時の充電式電池は高嶺の花であったことが伺える光景です。
パッケージの社名表記部分など。キャッチコピーは『●強力パワー ●500倍の寿命』。発売元は“株式会社バンダイ ホビー事業部”で、バーコードのベンダーもバンダイ(4902425)のものでした。
中身を開けてみた。取扱説明書、充電器およびニカド電池も付属した完全フルセット。恐らく、デッドストック品でしょう。電池もプラス極から若干液漏れがある個体があるものの、比較的状態は綺麗でした。
オークションの場合、デッドストックで出品されている充電器セットでも電池が盛大に液漏れしているのか、出品者が使えないと判断しているのか、電池のみが抜き取られて出品されているケースが多いように見えます。
まずは充電器。ACアダプタに電池ボックスを付けたような構造です。ちなみに電池ボックスは脱着することは出来ず、なんだか出っ張り感がある充電器ですね。
これは蛇足ですが、自分が幼い時に初めて買ってもらったニッコーのラジコンの充電器も同じようなもので、単3電池6本でしたが全く同じ構造であったのを覚えています。
充電器に記載されている定格。入力は「100V 50/60Hz 3VA」、出力は「12V 50mA」。この充電器は定電流充電器で、いわゆる標準充電器というやつです。電池に記載してある標準充電値(500mAhのニカド電池なら50mAで15時間)通りに充電する模範的な充電器です。このような充電器は充電時間は長くなりますが、電池自体を痛めにくいという特徴を持っています。
次にニカド電池。ニカド電池は“パワニカ(POWER NICA)”という名称で「(R)」表記があるので、登録商標なのでしょうが、現在、特許電子図書館で調べても見当たらず、失効しているものと考えられます。
著作権表記は充電器もニカド電池も“(C)BANDAI 1985”となっており、1985年に発売されたものと思われます。定格は「1.2V 500mAh」。
注意書きは『火に投入したり、ショートさせないでください』のみで極めてシンプル。
プラス・マイナス側。プラス極には赤い絶縁リング?樹脂?があり、パナニカ(写真左2本)の特徴に似ているので、これは松下電池(現・パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社)製であると思われ……、
と思ったら、取扱説明書に思いっきり製造元が記載されてありました。ニカド電池は製造元“松下電池工業(株)”と書いてありますから、やはりパナニカOEMだったのですね。
充電器の方は製造元“三枝乾電池(株)”という企業で、ネット上で検索してもこの企業の情報はヒットせず、現在は存在しない企業なのではないかと思われます。なお、充電器本体記載の電気用品取締法の認定番号の社名が“SDB”になっており、この略号が三枝乾電池を指すものと思われます。
充電中の様子。充電器本体にはパイロットランプなどの類が全く無く、通電状態もわからないので電池が接触不良で充電できていないとしても全くわかりません。
充電時間は14~16時間。もちろん、自動停止するわけもなく、時間が来たら自分でコンセントから充電器を取らなければなりません。