3回目の解体となる今回はソニーのインフォリチウムLタイプバッテリーパック“NP-F530”です。過去の解体記事の全てがソニーのバッテリーパックだけですが、特に意味は無く、使えないバッテリーパックが何故かソニーだけが集まるという。たまには他メーカーのバッテリーパックも解体してみたいですね…。
写真のバッテリーパックはインフォリチウムLタイプのバッテリーパックですが、古いもののため表記が“infoLITHIUM”のみで「L」のマークがありません。
今回解体するバッテリーは写真下のもの。写真上の抜け殻は以前“NP-F330”の時に比較のために分解したもので、今回解体するバッテリーよりも注意書き部分が黄色く、注意書きが多いので今回解体するバッテリーパックの方が古いと思われます。
ちなみにこのバッテリーパックには5ケタのロット番号が記載されており、このバッテリーではありませんがリコールで同タイプのリチウムイオン電池が回収されており、これから製造年月の読み方が発覚しています。
今回解体するバッテリーパックには“7A6EA”と書いてあります。製造年月はこの5ケタのロット番号の3ケタ目と4ケタ目です。3ケタ目が西暦下一ケタ、4桁目が月で1~12月がA~Lまでのアルファベットに割り振られているようです。解体するバッテリーパックは“7A6EA”=“6”が1996年を指し、“E”がAから5番目なので5月を指し、この電池は1996年5月製造の電池と読み取れる訳です。
同じ要領で新しい方のバッテリーパックも読み取ると、“7L7KQ”と書いてありますから、1997年11月製造の電池であると思われます。
殻割りした様子。中にはソニー・エナジー・テック(現・ソニーエナジー・デバイス)の“US18650S(GR)”が入っていました。以前、分解した時に出てきた新しい方はパナソニックの“CGR18650”が出てきましたので、同じバッテリーパックでも中身のセルはロットによって違うのでしょう。
リチウムイオンタイプのバッテリーパックには通常、このような保護回路が内蔵されており、過充電や過放電にデリケートなリチウムイオン電池を監視しています。
リチウムイオン電池の製造メーカーでは保護回路を入れて使うことを推奨しており、一部店舗では保護回路を含まない、いわゆる“生セル”と言われる電池も売られていますが、そのような電池を扱う時は過放電や過充電に注意をする必要があります。
基板内に回路が実装できなかったからか、ICが延長されて取り付けられていました。ちなみに、このICは以前分解した時には同じものが基板上に実装されていましたので、回路が高集積化されたのかと思われます。
取り出した電池。今回この電池を解体したきっかけは充電しても極端に電池の寿命が短くなるというリチウムイオン電池にありがちの現象からです。取り出した電池の電圧を調べてみると片側が1.34Vでもう片側が3.73Vでした。どうやら、片側の電池が劣化していたようです。
内蔵されている電池は同ロットのセルのようですが、どうしてもこのような現象が発生してしまうようで、このような電池の寿命低下の原因の大抵はセルの劣化のようです。
片側1.34Vの劣化セルを以前、本ブログで取り上げたことのあるSoshineのSC-S7での充電を試みてみます。液晶には『FAIL』と表示され、充電不可能でした。一応SC-S7にはこのように劣化セルの判別機能が付いています。
なお、もう片方の3.73Vの方は充電可能で“あきばお~”で売っていた18650電池でUSB給電できる電池ケースを使って携帯電話の充電をしてみると充電は可能でしたが、持ちが悪く片側程では無いものの若干劣化が進んでいるようでした。