今回の解体シリーズはいつもと趣向を変え、バッテリーパックではなく、携帯ゲーム機である任天堂のゲームボーイの周辺機器である“充電式アダプタ”を解体してみます。
これは単3電池4本で動く初代ゲームボーイ(DMG-01)用の外付けバッテリーで、後に発売されたゲームボーイポケット・ライト・カラー・アドバンスなどでは使用できず、初代ゲームボーイのみでしか使えない周辺機器であります。
今回のドナーとなる充電式アダプタはハードオフのジャンクで税込108円で入手したもの。
この充電式アダプタは結構使い込まれている個体が多く、表面の“Nintendo GAME BOYTM”の文字が剥がれている物が多いのですが、今回ようやく幾分かマシな個体を入手することが出来ました。
ちなみに今回入手したものはゲームボーイに差し込むプラグが直線になっているので初期版です。後期版はプラグがL字型になっています。
アダプタのお尻にはAC入力端子が付いていて、付属のケーブルを使ってAC電源を直接接続可能です。8時間充電で10時間使用可能。
なお、このAC電源を繋ぎながらゲームをプレイすればACアダプタとしても使用可能であり、そのため初代ゲームボーイ用の純正ACアダプタは存在しません(ただし、後にホリ電機、現・ホリからACアダプタ単体も発売されました)。
裏側。この部分にはフックが付いていて、腰のベルトなどに取り付けることが可能です。しかし、当時このフックを活用している人を見たことはなかったなぁ…。
解体はこの部分に付いている4つのネジを外すだけなので、いつもの様にこじ開けたり、Pカッターを駆使する必要は無いのでラクと言えます。ただし、ネジは特殊なタイプなので、専用のラインヘッドドライバーを使って緩めます。
自分はエンジニアと言う工具メーカーが発売している“DTC-27”というドライバーを使っています。と、言うかこのタイプのネジを緩められるドライバーはこれしか無いのではないでしょうか。
これが中身を開けてみた様子です。外見の大きさに比べると中はシンプルな印象を受けます。
幼いころはこのサイズだったら単2かサブCのセルが内蔵されているのかと思っていました。しかし、実際には単3サイズのセルが4個組になっているものであり、これは意外でした。
AC入力端子より見た内部基板です。トランスにはミツミ電機のロゴが見えます。やはり、ミツミ電機は任天堂の周辺機器ではおなじみの存在ですね。
取り出した内部基板。トランスにはこの充電式アダプタの型番である“DMG-03”が書かれていますから、このアダプタのために設計された特注品なのでしょう。
トランスの他にはブリッジダイオード(東芝製1B4B41)と抵抗だけのシンプル構造。定電流充電方式らしく、自動で充電が停止する回路などは一切搭載されていません。
内蔵されていた充電式電池。モデルナンバーは電池が固定されていた両面テープとともに剥がれてしまったため読み取りできません。公称電圧は4.8Vであることがわかりますが、公称容量は読み取れませんでした。頭“60…”が見えますから時期的には600mAhのニカド電池であると推測されます。
組電池を更に解体。紙筒に覆われた、単3サイズの電池が4個入っていました。特に右側の電池は液漏れが進んでしまったようで、外装がボコボコになってしまっています。
プラス極の大きさやマイナス極底板の「(-)」表記の特徴から、これは三洋のカドニカOEMなのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか?
楽しく拝見いたしました。
子供の頃なけなしの小遣いで買ったコレが間もなく故障したので
キリで無理やりネジを開けて抵抗のところをエナメル線でバイパスして修理した記憶があります…(^O^;)
コメントありがとうございます。楽しんでいただけたのであれば幸いです。
自分もモロ初代ゲームボーイ世代でありましたので、この記事と同様の初期版を持っていました。
電池パックとしてではなく、ACアダプタとして多用していた為か電池がダメになってしまった記憶があります。
この充電式アダプターの電池は現在市販されてるエネループなどに代用ができるのでしょうか?また、秋葉原なんかでこういう黄色とか青とかのビニールで覆われてる電池を見たことが有ります。そういうものに換装することができるのでしょうか?
また、もし出来た場合、「8時間充電10時間駆動」だった本来の商品の性能を大きく上回ることが可能なのでしょうか?
私は、いま初代のゲームボーイをよく遊んでいます。3DSもGBASPも持っていますが、初代のゲームボーイをやることが楽しくなってきたのであえて初代を使っています。なのでもしこのバッテリーが新品のように使えることができればとても嬉しいのですが、もしご存知でしたら教えていただけませんでしょうか?
結論から言えば、中にエネループなどを入れての代用は可能です。ただし、本記事で紹介しているニカド電池の容量は“600mAh”で、現在のエネループ(スタンダードタイプ)の容量は“1900mAh”で従来の約3倍の容量を持っていますから、性能は上回ります。ですが、アダプタの充電機能を流用する場合は充電時間もそれだけの時間がかかってしまいます。
ですから、換装を行うのであれば元々から内蔵されていたものと同じ“ニカドタイプ”をお勧めします(容量的に従来とほぼ同じ充電・使用時間ですが)。しかも、普通の電池にはんだ付けをしてしまうと、電池が壊れてしまうので、はんだ付け用のタブが付いている電池が良いでしょう。本当なら、電池ボックスが入ればそれがいいのですけどね。
参考として、amazonで充電式アダプタに元々使われているメーカーと同じニカド電池が入手可能です。高いですけどね。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00E4KXEVY/
どちらにしろ、換装は自己責任なので、換装を行って電池や充電式アダプタが爆発したとしても私も任天堂も保証しないのにはご注意を。
よくわかりました、教えてくれてありがとうございます!
初めまして。こんにちは。資料を探していたところこちらの素晴らしいサイトに辿り着きました。
分かりやすい説明で有難いです。
そして、とても懐かしい品をとても良い状態で見れて感激しています!
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今後共、よろしくお願いします。
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初めまして。初代GB専用の充電式アダプタの分解レビュー探していたのでとても役に立ちました。
バッテリーセルの誤魔化し方はこちらを参考にされると良いですね。
KL-1200の修理
http://www.urban.ne.jp/home/date/NameLand/KL1200.htm
書いたはずの情報が消えてしまいましたので別の話を。
バッテリーセルの交換を専門に行っている業者があるので、こちらに依頼すれば
安全に改造してもらえると思います。使用済みセルも回収してくれます。
http://www.batteryspace.jp/html/page11.html
まぁ、こういったセルのリフレッシュを行っている業者は山程ありますが、やはり価格がネックになってきますよね…。充電式アダプタの当時の価格が3800円(税別)ですが、この価格以内に収まるかが気になるなぁ。