今回は“塩化チオニルリチウム電池”を紹介する。この電池は主に電子機器のメモリーバックアップ用途に用いられており、一般の店では売られていない。リチウム系一次電池では最も高い3.6Vの公称電圧を持つ電池である。
日本ではマクセルが「SUPER Lithium」のブランドで、東芝ホームアプライアンス(旧・東芝電池)が「ULTRA LiTHIUM」のブランドで発売している。他にもイスラエルのタディランバッテリーもこの電池を発売しているメーカーとして知られている。
この電池があまり世に出回らないのは理由がある。中の電解液として使用されている塩化チオニルは空気中に触れると人体に有害な塩化水素や亜硫酸ガスが発生する。そのため、マクセルでは書類を取り交わさないと発売できない。
電池自体もプラス側は写真の様にガラスシールがなされている特殊形状で写真の電池は単3サイズだが単3の電池ボックスは使えない(だが、最近は単3電池互換サイズも発売されている模様)。
この電池は別名「ER電池」呼ばれるが、これは二酸化マンガンリチウム電池がCR、フッ化黒鉛リチウム電池がBRなのに対し、この塩化チオニルリチウム電池はERだからである。