補聴器用空気電池PR44/PR48とPR44P/PR48Pとの違い

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補聴器用の空気電池にはPR44P/PR48Pのように“P”符号が付けられているものと、PR44/PR48のように“P”符号が付けられていないものがあるのをご存知でしょうか?
一般的に“P”符号が付けられている空気電池は重度難聴者向けの高出力補聴器用の電池とされ、“P”符号が無い電池と比べ、大電流を流せる仕様になっているようです。上記写真はかつてのパナソニックの補聴器用空気電池のラインナップで、PR44PやPR48Pが掲載されていることがわかります。
しかし、現在ではこの“P”符号が付けられている補聴器用空気電池はネクセル製のみで、上記で紹介したパナソニックを含め発売されていません。
補聴器は医療機器であり、実際に該当している電池を使用している方にとっては死活問題に当たります。そこで、PR44/PR48をPR44P/PR48Pの代わりとして使うことが出来ないのかを補聴器用空気電池を発売している各メーカーに問い合わせて見解を聞いてみました。
※:なお、各社の問い合わせは完全抜粋だと怒られるので一部要約して掲載しています。


●パナソニック
パナソニックの補聴器用空気電池は現在発売されているドイツ製のロットについてはPR44/PR48でもパッケージに“PR44P(PR48P)と同じように使えます”と記載され、普通に“P”符号が付けられていない電池でありますが使えることになっています。これは現在のカタログにも記載されています。

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なお、この理由をパナソニックのホームページ上では『性能向上によって一般補聴器用に統合した』と記載しています。
パナソニックは補聴器メーカーとしての一面を持っているせいかこの対応はさすがと言えます。

●日立マクセル
弊社ではPR44PやPR48Pは販売していませんとした上で“現在販売している一般補聴器用のPR44やPR48は性能向上により、高出力補聴器でも基本的に使用可能”というパナソニックとほぼ同じ見解を頂きました。

●FDK(富士通)
FDKの見解はパナソニックや日立マクセルのものとは異なり、JIS(日本工業規格)上ではPR44PやPR48Pは定義されておらず、“FDKの補聴器用空気電池はJIS規格に基づいているのでPR44/PR48をPR44P/PR48Pを代用しても問題無い”というものでした。
メールで問い合わせをしたのですが、JIS C8515一次電池個別製品仕様の空気亜鉛電池の項目を抜粋したものを添付頂きました。確かにその資料には“P”符号が付いているものはありませんでした。そもそも“P”符号付きの空気電池を一番初めに発売したメーカーはどこなんだという話になってきますが…。

●ソニーエナジー・デバイス
ソニーの見解は“高出力用補聴器に高出力ではない電池が使用できるかどうかは分かりかねる”というものでした。使用している補聴器が高出力用補聴器の電池(PR44P/PR48P)を推奨しているのであれば補聴器メーカーに確認して欲しいとのことでした。
最初からPR44/PR48がPR44P/PR48Pと互換性が無いことを前提とした話になっているのが残念ですね。両者互換性があるのかという電池メーカーとしての見解を聞きたかったのですが。

●東芝ライフスタイル
弊社では高出力補聴器用の空気電池はラインナップしていないとした上で“一般補聴器用の電池を高出力補聴器用の電池への代用はできない”という見解でした。高出力補聴器用の空気電池に関しては補聴器購入の販売店か、電池メーカー他社(パナソニック)に問い合わせて欲しいとのことでした。
電池メーカー他社の問い合わせ先が競合他社のパナソニックになっており、いいのか?という見解でありました。いっそ、「パナソニック様の空気電池だったら“P”符号で代用できる製品がありますよ」、と教えて貰った方がよかったかも。


日本メーカーの補聴器用空気電池の殆どは“ドイツ製”であり、殆どパナソニックや日立マクセルのような見解なのではと思っていたのですが、実際に問い合わせてみると、各社様々な見解で意義深かったと思っています。電池メーカー各社の皆さん、こんな他愛の無い質問に回答頂きありがとうございました。
今回の問い合わせでは少なくともパナソニック・日立マクセル・FDK(富士通)のものはPR44/PR48でもPR44P/PR48Pとして代用しても大丈夫とのことなので安心して使いましょう。他2社は使えないと表明しているので何かあっても保証してもらえないかもしれない。


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