LIR2032の充電器を作ってみた

前回の記事ではリチウムコイン電池“CR2032”と同サイズのリチウムイオン電池“LIR2032を紹介しましたが、電池だけで充電が出来なくては割高なCR2032です。そこで今回の記事ではLIR2032の充電器を作成することにしました。

li-ioncharger_1そこで、使うのが秋葉原の“aitendo”という電子工作ショップで入手した「リチウムイオン電池充電モジュール」です。これはリニアテクノロジー社のリチウムイオン電池充電IC“LTC4054”を搭載したリチウムイオン電池充電モジュールで、充電電流を決定するプログラム抵抗を外付けするだけで簡単にリチウムイオン電池の充電を行うことが出来ます。
ちなみに写真のバックが赤いのは「絵師100人展 04」の図録の上で撮ったためで、特に意味はありません。

問題なのは充電対象であるLIR2032の充電電流がわからないこと。秋葉原の千石電商で売られていたLIR2032はGREAT POWERというメーカーのものだったので、同社のホームページを見てみても見当たらず、結局は適当に検索して見つけたLIR2032のデータシートを参考にしました。
このデータシートを見てみると、充電方式に“CC/CV(定電流・定電圧充電)”を使い、35mAで充電すると書いてありますね。LTC4054のプログラム抵抗値の求め方は“1000(V)÷[充電電流]=kΩ”です。LIR2032の充電電流は35mAですから、「1000÷35=28kΩ」となります。28kΩの抵抗は定数として無いので30kΩの抵抗を使います。なお、充電方式に関しては専用IC(LTC4054)を使っていますから問題ありません。

li-ioncharger_2それを踏まえて完成した充電器がこれです。この充電器はただ“リチウムイオン電池充電モジュール”にスイッチや電池ホルダーなどを外付けしたものであるので、作り方などの説明は割愛します。
電源はACアダプタを使用、携帯ゲーム機「PSP」や東芝のデジタルオーディオプレーヤー「gigabeat」などに使われている、EIAJ極性統一プラグを用いた5VのACアダプタを使用するタイプとしました。

 

li-ioncharger_3電池ホルダーはケースに組み込んだ時に電池が取り出しやすくするために高床にしてあります。電池ホルダーはほとんどが機器組み込みを想定としたCR2032用のものであり、取り出しやすい構造になっているものが少なく、結局はパナソニック製のBCR20H4を使用しました。これなら比較的取り出しやすいですし、逆装填もしにくい構造にもなっています。本当はFDK製のCR2032BHを使いたかったのですが、生産終了しているようです。

li-ioncharger_4充電中の様子。充電中はモジュールに付いているLEDが光ります。ちなみにこのLEDは電池を入れていない状態でも光ります。最初は通電ランプも付けようと思ったのですが、電池が入っていない状態でも光るのなら問題無いような気がしてきました。

 

 

 

li-ioncharger_5充電完了。写真ではLEDが消えているように見えますが、完全にLEDが消えているわけではなく、ほんのりとLEDが光っています。

 

 

 

li-ioncharger_6今回作った充電器はLIR2032用の充電器ですが、ML2032も充電できるようにしてみました。ML2032は充電電流2mA以下とLIR2032よりも格段に少なく、どちらかと言うとトリクル充電に近い充電方法であり、このような充電は向かないのですが、無理矢理「1000÷2=500kΩ」で510kΩを取り付け、スイッチでプログラム抵抗を切り替えられるようにしてみました(写真手前のスイッチ)。

 

ML2032とLIR2032では公称電圧が違いますのでモジュールのLEDが消えることがありません。それ以前にML2032の充電電圧は3.3Vで、LTC4054の実測出力電圧は約4.2Vなので大幅にオーバーしています。試しに2時間程充電してみましたが、電池自体は発熱などの異常はありませんでした。ですが、メーカー規定外の使い方ですから、あまりこの使い方はオススメしません。ML2032はCR電池と同じく金属・リチウムを使用しているので、誤使用は破裂や発火の危険があります

今回の記事のカテゴリは“充電器”とするか“小ネタ”にするかで迷いましたが、自作の充電器ですので“小ネタ”とすることにしました。


LIR2032の充電器を作ってみた」への4件のフィードバック

  1. 匿名

    コアな内容でおもしろかったです。ぜひ参考にしていきたいので、これからもブログ頑張ってください。

    返信
    1. みはりん 投稿作成者

      ありがとうございます。そう言って頂けると、ブログをやっていて良かったと実感できます。
      今後共よろしくお願いします。

      返信
  2. 匿名

    推奨されている回路通りにML2032の充電器を作ってみたのですが、最大2mAの3.3V定電圧充電なのでクソ遅くて使えません
    そこで充電が進むにつれて保護抵抗の値を小さくすればいいのではないかと思っているのですが、これって危険ですかね?

    返信
    1. みは 投稿作成者

      コメントが遅くなり、申し訳ありません。
      確かにこの通り作ったら充電時間が遅すぎてしまいますね。

      >充電が進むにつれて保護抵抗の値を小さくすれば…
      電池の電圧検出とか面倒くさくなりそうな予感はしますが、その方法が実現できればアリかとは思います。

      返信

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