今回はかつてラジコンメーカーとして知られた“株式会社 ニッコー”のマンガン電池を紹介します。ニッコーはニカド電池“ニコニカ”を発売していたことで知られ、こちらの方はよく見かけますが、充電式では無いニッコーの乾電池は珍しい存在なのでは無いでしょうか。
恐らく、ニッコーのラジコンに付属していたマンガン電池と見られ、販売していたのかは不明。カラーリングから赤マンガンに相当する電池かと思われます(付属品にふさわしい!)。
電池の外観。デザインは見た目そのまんまな赤マンガンと言った印象ですが、金色の模様が入っている点が他のマンガン電池に比べると珍しい特徴となっています。注意書きは日本語と英語の2ヶ国語表記。社名表記は住所と社名が併記されたものになっていますが、補償付きの電池ではありません。この電池が製造されたのは1991年で補償が付与されていた時期なのではありますが…。やっぱり、市販された電池では無いのかもしれません。注意書きと社名表記は以下の通りです。
ご注意 この電池は充電式ではありません。充電する と液もれ破損のおそれがあります。はれつのおそれが あるので(+)(-)は正しく入れてください。 Caution:Do not recharge, connect backwards, heat or dispose of in fire. 株式会社 ニッコー |
注意書きのフォントと文面はナショナルのマンガン電池と一致、『単三形』という表記の字体もまた同じなのでOEM元はそこから推測できそうな感じです。“MADE IN JAPAN”という生産国の表示は見られますが、JISマークの許可番号や略号などは見られませんでした。
プラス・マイナス側です。プラス極の絶縁リングは「赤」となっています。「91-08」の刻印が見られますから1991年8月製造の電池であると思われます。その刻印の下に「M」という刻印が見られますが、これは主に松下電池工業製電池で見られた製造工場を表す記号です。主な略号の意味は以下の表の通りです。
略号 | マンガン乾電池(JIS C8501) 許可番号 |
工場名 |
T | 690 | 松下電池工業 乾電池事業部 辻堂工場 |
N | 691 | 松下電池工業 乾電池事業部 名古屋工場 |
M | 689 | 松下電池工業 乾電池事業部(守口工場) |
K | 692 | 松下電池工業 乾電池事業部 九州工場 |
※:当ブログ“JIS認定番号一覧”より抜粋。
以上のことからこの電池は松下電池工業の守口工場で製造された電池であると推測できます。現在、パナソニックの守口工場ではマンガン電池の製造からは既に撤退していますが、現在でも日本で流通される単1~単4までの乾電池エボルタとエボルタネオの製造を現在でも行っています。将来は貝塚市の二色の浜工場に移転する計画があるそうです。