大変レトロ感漂う“湯浅電池(現・ジーエス・ユアサコーポレーション)”のマンガン電池です。同社は1924年に乾電池の研究に着手、翌年には乾電池の生産販売を開始。松下電器産業(現・パナソニック)が乾電池の自社生産を始めるのが1931年ですから、湯浅はその7年も前から自社生産を始めていたことになります。
その後1949年には乾電池部門を分離し、“湯浅乾電池(株)”を設立。1954年に同社と“湯浅蓄電池製造(株)”と合併し、“湯浅電池(株)”となります。
このようにかつては自社生産を行っていた湯浅電池ですが、1972年版の「JIS表示許可工場名簿」に掲載されているマンガン電池の認証工場一覧では既に同社の社名は見られなかったので、1970年代までには乾電池の製造からは撤退していたと思われます。
電池の外観。電池は紙巻外装でも金属外装でもない樹脂外装で、黄色いボディが非常に印象的です。この黄色い色は外装である樹脂そのものの色でその上から黒いインクでロゴや文字が印刷されているものとなっています。
表は「ユアサ ウルトラ スーパー」と日本語表記、裏は「YUASA ULTRA SUPER」と、英語表記となっています。
側面。社名表記“YUASA BATTERY CO.,LTD.”と価格“\40”の表記のみで注意書きの表記は全くありません。以前、本ブログで紹介したノーベル(富士電気化学)の紙巻マンガン電池が35円の表記であったのに対し、今回紹介したユアサ ウルトラ スーパーは40円であるので、両者は近い年代の電池なのではないでしょうか。
プラス側。この写真を見るとわかるかもしれませんが大きい樹脂の容器が電池全体を覆っているような構造になっています。樹脂外装と言うのは聞いたことがあったのですが、見たのはこの電池が初めてです。
なお、プラス極には“YUASA BATTERY”の刻印があります。
マイナス側。サビサビですw。サビが電池内部の亜鉛缶を侵しているのか、電池外装の樹脂の所々にヒビが入っており状態が非常に悪いです。
マイナス極の底板の刻印はサビサビながらも「890」という数字が見えます。なお、この刻印の意味するところは不明です。
マンガン電池の外装の一例、
左:紙巻外装(ノーベル 一般用)
中:樹脂外装(ユアサ ウルトラ スーパー)
右:金属外装(ユアサ)
外装一つ取っても日本が歩んできたマンガン電池の進化の歴史が垣間見える様な気がしますね。