月別アーカイブ: 2017年1月

MARKYN CP9V 1200mAh Lithium 9V

今回は秋月電子通商で売られている6P形のリチウム電池である“CP9V”を紹介します。この電池はネットショップ上では見られるものの、秋葉原の店頭では長らく見られなかった電池でしたが、最近店頭で発見し入手しました。
同じく、秋月電子通商で売られている、単3の塩化チオニルリチウム電池と同様に中国の電池メーカー“Guangzhou Markyn Battery Co., Ltd.”製のようで電池の側面(写真では上)には“MARKYN”のロゴが見られます。

同じく6P形のリチウム電池であるFDKの“CP-V9JU”と比較してみました。見た目の外観は市販の6P形の電池と同様で、公称電圧も9Vなので代替使用は可能と思われます。ただし、秋月電子通商のホームページではバックアップ用と銘打って売られており、大電流よりも小電流の方が多く電気を取り出せることが記載されています。外装はどちらともプラスチック。CP9Vの方が電池全体にラベルが覆われています。

注意書き部分。注意書きは日本語の表記は無く、ドイツ語と英語のみの表記となっています。書かれていることは焼却やショートを行わない、充電をしないこと、極性は正しく、などごく一般的な事です。原産国の表記はありません。恐らくは中国製だとは思うのですが…。
ちなみに公称容量は1200mAh。よっぽどアピールしたい点なのでしょう。この表記の部分が光っていますw。

 

やはり、皆さんが気になるのは中身ですよね?ということで開けてみました。中にはラミネート加工された薄型リチウム電池3個が入っていました。単セルそのものには印字などはされておらず、本当に1200mAhの容量を持つ電池なのかは不明です。
メーカーのホームページ上でラミネート加工のリチウム電池は見られますが、これと同サイズのリチウム電池はありませんでした。この電池の為に作られたオリジナルのセルなのでしょうか。

なお、電池の外観はリチウムイオンポリマー電池にそっくりの構造をしていますが、この電池のデータシートを見てみると“lithium/ manganese dioxide”と書いてあるので、二酸化マンガンリチウム電池のようです。従って、充電は不可能なので注意が必要です

最後にFDKの“CP-V9JU”と中身を比較してみました。CP-V9JUには“CR1/2 6・L”という円筒形の二酸化マンガンリチウム電池が3つ入っています。この電池は1000mAhの公称容量を持っているため、CP-V9JUも1000mAhとなっています。
日本で薄型リチウム電池を入手することはまだ困難なので、このCP9Vを分解して取り出すといいかもしれません。ただしいつもの決まりごとですが、分解使用は自己責任ということでお願いします。

 

★関連記事
FDK CP-V9JU Lithium Battery 9V
→FDKが特定用途向けとして販売している6P形のリチウム電池を紹介した記事。

GMB POWER(R) ER14505H 2.4Ah
→本記事と同じく秋月電子通商で売られている単3の塩化チオニルリチウム電池を紹介した記事で、メーカーも同一となっている。


HITACHI SG SUPER GOLD MANGANESE DRY-BATTERY SUM-2(SG)

今回はちょっと古めな日立のマンガン電池を紹介します。これは黒マンガンの“SG”こと「スーパーゴールド」と呼ばれる電池で、現在でも発売され続けている超ロングセラーと言えるマンガン電池であります。
この記事で紹介する電池は1990年台前半にデザインが刷新された直後のもので、まだ液もれ補償も付けられていた頃のものです。

 

電池の表。この前世代に当たる“SG”は縦型のデザインを採用しており、紫色を取り入れたデザインが古臭い印象でしたが、1991年頃に思い切ってデザインを刷新、横型のモダンなデザインに生まれ変わりました。
このデザインは現在でも継承されており、赤色の部分が緑色に変わったり、双葉のマークが追加されたりと細かい変更が加えられていますが、ほぼそのままのデザインになっています。

注意書き部分。前述の通り、液もれ補償付きの電池で保証期間は3年となっています。この頃の補償付きのマンガン電池は単1~単2までが3年でそれ以下は2年であるケースが多かったようです。JISマーク付きで『C8501M.D.B.』の記載があることから、日立マクセル製であると推測されます。
液もれ補償における電池の送り先は『株式会社 日立家電』の電池係となっており、この電池から“HITACHI”のロゴも刷新され、日立マーク(亀の子マーク)が無い現行のものに変わっています。

注意書きの全文は以下の通り。注意書きの文面は少なめで、液もれ補償の文面が逆に多くなっています。

補償 この電池の液もれにより使用器具を損傷させた場合、使わ
れた電池と一緒に上記へお送り下さい。お客様が充電した
り、(+)(-)を逆に入れた場合を除き、器具を修理または交換いた
します。保証期間:製造年月より年間(製造年月は底面に表示)
                            [水銀0使用]
<ご注意>■この電池は充電式ではありません。
●充電すると「液もれ」「はそん」のおそれがあります。
●(+)(-)を正しく入れないと、はれつのきけんがあります。

プラス・マイナス側。刻印は写真では見えにくいかもしれませんが、「92-07」となっており1992年7月製造の電池であるようです。プラス極の絶縁リングは「」となっていました。

 

 


おまけ。“SG”の新・旧デザインをカタログ上で比較してみました。これを見ると、大きくデザインが変わっていることが伺えると思います。ちなみに旧デザインの“SG”が1991年春のカタログに掲載、新デザインが1991年秋・冬のカタログに掲載されていることから、1991年の中頃にデザインが変わったのでは無いかと推測されます。

★関連記事
HITACHI SG SUPER GOLD MANGANESE DRY-BATTERY UM-5(SG)
→本記事で紹介した電池と同時期に発売されたと思われる単5のマンガン電池を紹介した記事。金属外装でありながらも液もれ補償が付いたレアな電池となっています。


venice 乾電池型消しゴム 50-KK

皆さま、遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年も去年同様にマイペースでの更新となりますが、様々な電池を紹介していければと思っています。
2017年1発目は電池ではなく、電池にそっくりな消しゴムを紹介します。この消しゴムは大正13年に創業され、ファンシー文具や学童文具を中心に発売してきた文具メーカー“ベニス(venice)”の製品です。同社は2001年に破産しています。

 

電池…、じゃなくて消しゴムの外観です。外装は金属外装を採用していて、マンガン電池にそっくりです。今回入手したのは3種類のデザインでもっとバリエーションがあるのかもしれません。
venice U1-6 ULTRA ERASER
SUPER ERASER venice CO.,LTD.
ERASER 1.5V DRY BUTTERY
どれも表面には電池とは記載されていません。

消しゴムの裏面です。さすがに電池では無いので電池と同じような注意書きではなく、「お願い」として“使ったあとは、このケースに入れましょう。”という消しゴムの注意書きしかありません。
とは言ってもどれもプラス・マイナスの極性表示と『単3形 1.5V』の表記があり電池らしさが満載です。写真下の金色の電池はアルカリ電池がモデルになっているらしく、“アルカリ乾電池”の記載があります。

社名表記は“venice CO., LTD.”。この会社が健在だった頃は“ベニス株式会社”という社名だったそうです。どれも“50-KK”という型番らしきものが記載されており、これがこの消しゴムの型番であると推測されます。ちなみに生産国は“MADE IN JAPAN”で驚きの日本製です。

電池のプラス・マイナス側に相当する部分です。マイナス側から消しゴムが出てくる構造になっており、プラス側の突起を押すことで消しゴムが出てくるようになっています。
プラス側は本物の電池そっくりですが、プラス極の絶縁リングが無いため電池コレクターや電池マニアには電池ではないことがわかってしまうでしょう。これを電池マニアに見せるのは止めましょうw。

 

最後に本物な金属外装タイプの電池と混ぜてみました。溶け込み過ぎてどれが偽物で本物だか、分からないレベルです。まるで間違い探しのようですね。
ちなみにこの消しゴムのデザインはオリジナルデザインのようでモデルとなった電池は無いようです。でも、レトロ感が溢れるこの消しゴムのデザインは素晴らしいですね。
この消しゴムを使って電池メーカーが販促品の消しゴムを作成したら最強だった気がする…。

 

★関連記事
ナショナル乾電池型消しゴム
→こちらも電池のデザインを使った消しゴム。パナソニックのアルカリ電池に付属していた販促品でナショナル往年の電池を模している。外装は紙巻きで普通の消しゴムと言った感じのもの。